◎先週の土曜日(2月29日)4時ごろからNHKで柄本佑主演のドラマの再放送がありました。番組表をチェックするとTBSの報道特集と重なるので録画して翌日観ることに。翌1日(日)には、1月に放送された同じく柄本佑主演の「心の傷を癒すということ」スペシャル版の放送がありましたので、過去作品を並べて紹介だったのかもしれません。
これは羽田圭介原作の同名小説があり、そのドラマ化で2016年の作品です。30代を目前に突然無職になった若者と同居する高齢の祖父の介護の問題をシニカルかつユーモラスに描いてとても面白いドラマになっていました。祖父の口癖の”死にたい”という望みをかなえようとする孫の行為は殺意を秘めた善意なのか?祖父の特攻隊の話は孫意外に話したことがなく真実なのか作り話なのか?祖父が杖なしでは歩けないというのは本当なのか?というミステリアスな部分も。若者の人生の『破壊と再生』はどのようにして…
◎主要登場人物の相関図をドラマのサイトから:
主人公の健斗(柄本佑)
カーディーラーを辞めたが再就職がうまくいかない28歳。「早う死にたか」とぼやく祖父の願いをかなえるためにある計画を思いつきます。
健斗の祖父(山谷初男 )
87歳の自称元特攻隊員。「早う死にたか」が口ぐせ。謎めいた部分がドラマが進むにつれ、次第に浮かび上がってきます。
健斗の母(浅茅陽子)
父が寝たきりにならないようにあえて厳しく接しています。息子からはうとましく思われています。
健斗の彼女、関本亜美(山下リオ)
介護を始めた健斗と徐々にすれ違い始めます。
友人の大西大輔(浅香航大)
介護福祉士として働いていて、健斗に助言をすることで変化が起きます。
三崎楓 プロボクサー(秋元才加)
健斗が介護のため、体を鍛えるため入ったジムに所属しています。健斗はすごく気にしている人でもあります。
この6人が健斗にいろんな変化を与えます。
◎続いてスペシャル版の 「心の傷を癒(いや)すということ」
これも録画分を水曜日の午後見ました。(関西のみ放送とのこと)
阪神・淡路大震災発生時、自ら被災しながらも、他の被災者の心のケアに奔走した若き精神科医・安克昌(あん・かつまさ)氏。手探りながらも多くの被災者の声に耳を傾け、心の痛みを共に感じ、寄り添い続けた日々。震災後の心のケアの実践に道筋をつけ、日本におけるPTSD(心的外傷後ストレス障害)研究の先駆者となりました。在日韓国人として生まれ、志半ばでこの世を去りながらも、険しい道を共に歩んだ妻との「夫婦の絆」と、彼が寄り添い続けた人々との「心の絆」を描きます。
主人公の精神科医・安和隆を柄本佑さんが演じ、妻役に尾野真千子さん、親友役に濱田岳さん、兄役にはNHKドラマ初出演となる森山直太朗さんが決定しました。阪神・淡路大震災から25年を迎える2020年に、人の心に寄り添い、心の絆を繊細に描くヒューマンドラマをお届けします。
安克昌氏の遺族関係者への取材から得た事実を元に、人の心の傷に寄り添い続けた精神科医の物語として大胆に再構成し、人物や団体名改称した上で、フィクションとしてお届けします。
◎安田という通名で生活していたが、ある時自分たちが実は安という名の在日韓国人であることが分かる。ドラマの最初に出自が明かされ、同じ在日の終子との出会いと結婚。そして震災。精神科医として何が出来るのか・・・安先生の穏やかで落ち着いた話し方が耳に心地よく、先生の人柄を表しています。
4回シリーズの本放送から、被災小学校の校長先生(内場勝則)の孤独や、多重人格の患者(清水くるみ)をめぐるお話などは省かれ、子どもたちが”地震ごっこ”をしたことから、周りの大人たちが運動場で球技大会を開くエピソードが活かされていました。ルミナリエの最終場面、子どもたちが振り返るシーン(安さんの成長した実際の子ども達だったのでは?)もカットされていました。
◎2つの作品に共通した助演者が出演しています。浅香航大という俳優さんです。映画「チア男子」(http://letsgobreakers7.com/)で主演のハル(横浜流星)のチアグループ7人の最年長を演じていたのが浅香航大さんでした。それから名前と顔を覚え、若手バイプレーヤーとしての活躍を知りました。
「スクラップ・アンド・ビルド」では健斗(柄本祐)の友人の介護福祉士、「心の傷を癒すということ」では安先生(柄本祐)を尊敬する後輩医師の北林先生を演じています。
この俳優さん、作品ごとに全く別人になっていますので驚きます。いわゆる悪役から善人まで何でもこなす俳優さんです。
◎もう一人、「心の傷・・・」で多重人格の患者を演じた清水くるみさん。「新聞記者」の藤井道人監督の2018年の映画「青の帰り道」(https://aono-kaerimichi.com/)でも7人の若者たちの一人、母親が工藤夕貴さんで東京へ出て夢破れ前橋に戻ってくる娘を好演。また浅香航大さんと同じく「チア男子」ではハルの姉を演じていました。元の4回シリーズでは多重人格の重要な難しい役を好演していましたが、スペシャル版ではカットされて出演場面は少しでした。
●NHKの番組サイトからメモ代わりに:
精神科医・安克昌(あん・かつまさ)氏 プロフィール
1960年大阪市生まれ。神戸大学附属病院精神科勤務を経て、神戸市西市民病院精神神経科医長を務める。阪神・淡路大震災直後より、全国から集まった精神科ボランティアをコーディネートし、避難所などでカウンセリングや診療活動を行う。震災一年後に臨床報告としてまとめた「心の傷を癒すということ~神戸・・・365日~」で第18回サントリー学芸賞を受賞。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の若き研究者として治療活動に尽力するも、2000年12月死去。共訳に「多重人格性障害-その診断と治療」などがある。
●スタッフの言葉です:
土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」を最終話までご覧いただきありがとうございました。
このドラマの制作に携わっている時、常に出演者・スタッフの胸にあったのは、
主人公・和隆のモデルになった安克昌さんへの思いでした。在日韓国人として生まれ、自分のアイデンティティに悩みながらも、精神科医の道に進んだ安さん。
心の病気への理解が進んでいない時代から、心のケアのパイオニアとして奔走された安さん。
読書や映画、漫画、そしてジャズピアノをこよなく愛し、いつもユーモアを忘れなかった安さん。
安さんについて調べれば調べるほど、安さんに魅せられていき、安さんに会いたいという思い、でも会えないんだという寂しさが募っていきました。「安さんに会えた、見た人がそんな風に感じられるようなドラマにしよう」
私たちは、そう思いながら、ドラマを制作してきました。
でも振り返ってみれば、安さんはいつも現場にいてくれたような気がしています。
今回40日あまりの撮影を行いましたが、どの日も天候に恵まれました。
毎日100人から300人ものボランティアエキストラの方々に集まってもらって撮影し続けた避難所の1週間。
第1話の冒頭で和隆がピアノを弾く光あふれるシーンの撮影の日。
事前の予報が雨でも、不思議と当日になるとお日様が顔を覗かせてくれました。
そして最終話のラストシーン、神戸のルミナリエの撮影。
このシーンは、神戸ルミナリエ組織委員会と神戸フィルムオフィスのみなさんの御協力の元、
ルミナリエの本番をひかえる東遊園地で撮影させて頂きました。その日がちょうど去年の12月2日。偶然にもその日は、安さんの命日でした。
撮影当日の朝は雨。でもなんとか午後には雨があがり、撮影は決行できることに。200人のボランティアエキストラのみなさんに集まってもらい、
2019年の終子と子供たちの春子、洋一、灯、そして愛しい家族をいつまでも見守り続ける和隆を撮影しました。
撮影中、和隆を演じる柄本佑さんの背中が、克昌さんに見えたのは、私だけではなかったと思います。
安さんが実現を願った「傷つきに優しい社会」。心に傷を抱え、弱った人や遅れた人を切り捨てるのではなく、ちゃんと寄り添っていく。誰も一人ぼっちにさせない。
そういうことができる社会になってほしい。
安さんの願いが叶いますように、という祈りをこめたこのドラマ。
多くの方々の心に長く残り、優しい気持ちで人と過ごせるようになってもらえたなら、制作チームとしてこんなに嬉しいことはありません。ご視聴、本当にありがとうございました。
今後も、HPを更新したり、ツイッターでお知らせなどするかもしれません。
これからもこの作品のことを一緒に見守っていていただければ、幸いです。
心の傷を癒すということ」チーム一同 2020.2.8
● 引用元:心の傷を癒すということ | NHK 土曜ドラマ
◎最後にテレビの冬クールの連続ドラマ「知らなくていいコト」(日テレ「水曜ドラマ」)。昨夜第9回、次週最終回ですが、大石静脚本、やはり面白いですね。
NHKの「これは経費で落ちません」で好青年を演じた重岡大毅をこれ以上ない『最っ低男』に配したり、かと思えば、佐々木蔵之介に最高の理想の上司像 を。訳アリの殺人犯?の父親を小林薫。「花子とアン」で知った吉高由里子は若手後輩を育てもする週刊誌の敏腕記者のハンサムウーマンを生き生きと演じてるし、カメラマンの柄本佑はこれまた優しいヒーローを。最終回で事件の真相と二人の不倫にどんな結論が出るのか楽しみです。