新『裸の王様:詐欺師とグルの王様、脱法平気の権力中枢、従う配下』の結末を作るのは私たち!(「憲法を考える」朝日5/2より) 

◎日本は経済だけではなくて、人権問題や平和問題、報道の自由や教育そして今回は医療の分野でも「先進国」ではなくなってしまいました。日本の誇りだったいろんなものが失われていくのをただ黙って見ているしかないのか。憲法や法律までが長年の常識を覆すような解釈で侵されていくのを黙って見ているしかないのか。憲法学者の蟻川氏の寄稿文を書き移しながら考えてみたいと思います。その前にツィッター憲法記念日の朝のNHKニュースの画面から:

 山崎 雅弘 5月1日

かつては政治の世界でも一定の良識が保たれる「先進国」だった日本国が、こんな三流腐敗国家に堕落して、もう何年にもなる国民の税金で飯を食いながら、国民ではなく三流腐敗政権に奉仕する国家公務員に、仕事へのプライド等はないのまともな国に戻そうと思わないのか。

引用ツイート

あらかわ @kazu10233147  4月30日

アベノマスク第4社目の「株式会社ユースビオ」。入札でなく随意契約。政府が契約を結んだ先月時点では、定款上で「マスクの製造業務」や「輸出業務」はない4月に入り「貿易及び輸出入代行」を追加。政府が契約後に定款変更辻褄合わせ森友、加計、黒川と同じことをくり返す安倍。(画像 news23)【省略】

NHK3日の「おはよう日本」から憲法についての調査。

7,8割が憲法改正よりコロナ対策をと(写真は撮れなかった):

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憲法改正について、コロナで不備が分かったから改正すべきという学者と

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コロナ対策の不備を憲法に結びつけて考えるのは筋違いという学者

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共産党の志位さんの憲法記念日の日のツィート。緊急事態宣言では強制できないから憲法に緊急事態条項をと誘導する考え方がありますが:

内田樹さんがリツイート

志位和夫  @shiikazuo 5月3日

いま行われている緊急事態宣言とは全く違う政府の一存で国民の人権を停止できる「緊急事態条項」憲法に盛り込むことを、この機に乗じて行うとは火事場泥棒そのものだ。コロナ対応で国民に一致協力を求めている今年は、せめて持論を棚上げにするという判断もできないのか

◎3日の憲法記念日の前日、朝日新聞のオピニオン頁に憲法学者の蟻川恒正氏の寄稿文が掲載されました。「憲法を考える」の副題で「その国の7年半」と題するかなり長文です。内容はイラストと見出しがヒントです。プロローグ部分を端折ってまとめながら

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憲法を考える  その国の7年半  朝日新聞5月2日)

                 憲法学者  蟻川 恒正

               (1964年生まれ。日本大学大学院法務研究科教授)

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この7年半近くの日本の政権を振り返ってみよう。

🔲「法が出来ないと言っていることを、法を変えもしないで出来ることにした」

1)2014年7月歴代内閣法制局答弁により憲法9条違反であることが確立した政府解釈となっていた集団自衛権の行使を、同条約改正に言及することなく、閣議決定のみで合憲へと解釈変更した

2)2020年1月検察庁法22条の下で検察官には国家公務員法の定年延長規定は適用されないとする39年間疑われなかった政府解釈を新たな政府見解を発しただけで変更し、一人の検察官の定年延長を強行した。

🔲この二つの法解釈変更の問題点は、単なる違憲や違法の法運用ではなく、政治権力を法で拘束する立憲主義それ自体を骨抜きにする違憲や違法の法運用なのである。
1)「集団的自衛権の行使を容認した現政権の閣議決定の問題点」は、

自衛隊武力行使を求める国際社会の一部からの圧力を押し返す憲法9条の力を弱めた。だが、より問題なのは、憲法が出来ないとしていることを一内閣でできるとしたことにより、憲法改正規定(憲法96条)を裏から侵犯した

▼安定的に行われてきた法の解釈は、法それ自体とほぼ同視されるから、その解釈を変えるには法改正が本道である。これを解釈変更のみで代替するのは、法の適用者が法の制定権を行使するのに等しい

 憲法改正に寄らなければ認められないとされた集団自衛権の行使を閣議決定で合憲としたことは、国民が保持する憲法改正権を内閣が簒奪したことを意味する

2)「閣議決定による検察官の定年延長の問題点」は、

★総理大臣をも訴追しうる権限を持つ検察官の定年規制を政府見解のみで反故にすることを許せば、政権の言うことを聞く検察官は定年を延長し、聞かない検察官は延長しないとすることが出来る。政権の存亡にかかわる刑事事件が、その政権の手に落ちる。

🔲(1)一方で内閣法制局の人事慣行を破って、長官の首を集団自衛権行使容認論者にすげ替えた。(2)他方で「一強」となった首相が法務大臣の、事実上首相の息のかかった内閣人事局法務省幹部職員の、それぞれ首根っこを掴んだ。

それにより、内閣法制局法務省が長年とってきた立場とは矛盾する前記の法解釈変更をそれぞれの機関に迫り、おのおのおの「国の法をつかさどる機関の責任者」が、唯々諾々とこれに従ったのである

 法の秩序は、ほとんど破壊されたと言っても言い過ぎではない

        ■ ■ ■ (以下、極力原文どおり、少し端折って、【】by 蛙)

 現政権が滅しても病巣は根治しない

だが、権力分立の破壊を目指すのが独裁者なら(蛙:独裁者がいかに権力分立を破壊してきたかをみてきたが)、政権中枢は独裁者ではない。その「配下」の者たちも、政権中枢のハラスメントにあえぐだけの単なる被害者ではない。【共犯者である】

・【主犯】 政権中枢についていえば、……目的を達するのに必要な法制定を待たずに抜け道を探る政権中枢は(その頂点にある者が時に自ら用いる「立法府の長」という誤称が連想させる万能の立法者とは対極の)脱法行為さえ厭わない政治家の集団に近い憲法の基本原則を壊しているという大それた意識もなしに権力分立の根本を掘り崩すことのできる「政権中枢」>

・【従犯】 政権中枢から無茶な法解釈変更を求められ、身体的にも精神的にも疲弊の底に突き落とされた「配下」の者たちもまた、そその代償として組織防衛なり人事上の利益なりを暗黙に期待した限りで、結果的に権力中枢との間に不純な共犯関係を築いている。【元財務省理財局長佐川氏や安倍昭恵氏つきの秘書を務めた外務省の職員や財務省近畿財務局で赤木氏の上司だった人たち】<何らかの見返りを期待するがゆえに政権中枢の求めとあらば多くの法律家が不可能と考える法解釈変更の正当化さえ甘んじて行う「配下」の者たち>

前者を主犯とし後者を従犯とするこの【共犯】関係なくしては1947年5月3日施行の日本国憲法の下で着実に法の歩みを重ねてきたわが国に法の秩序の破壊と呼ぶべき事態が襲うことはなかった。

      ■ ■ ■   (全文を書き移しと写真で)

 現在の日本の政治を取り仕切る最高責任者を自称する首相は、冒頭のお伽話のAからCに相当する人物【政権中枢】を自分に近いところに置き、政権中枢の思惑に「配下」の者たちを丸ごと巻き込む(巻き込まれない個人は徹底的に追い詰める【元文部次官前川氏】)政治の型を作り上げてきた。憲法に合わせて政権の都合を抑制するのではなくて、反対に政権の都合に合わせて憲法の意味を伸縮自在に「解釈」す大小の政治実例が近年目に余るのは、この型の政治支配がいよいよ完成に近づきつつあるしるしでもある。

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◎ 端折ったプロローグのアンデルセンの童話を引いて安倍政権の今を語るくだりを省いては最後の言葉は理解できないですね。前後しましたが最初のくだりを書き移しです:

 さる国のお伽話である。

 詐欺師A【日本会議の誰か?あるいは日本会議系の憲法学者?】が、その国の政治を取り仕切る最高責任者を名乗るX【Abe氏】に不埒な知恵を吹き込んだ。「この国の法ではできないことになっていることも、法を変更することなく、できるようにしてみせます

 それを聞いて、Xは喜んだ、それが本当なら、この国の政治は自分の思いのままになると考えたからである。だが、そんな夢のようなことが本当に可能なのか、自分では判断がつかなかったXは、側近のBにそんなことができるのかと尋ねてみた。Bは、そんな夢のようなことができるのか、本当はわからなかったが、できないと言えばXの機嫌を損ねると思い、よく考えもせず、「できますとも」と答えた。

 それを聞いて、Xは喜んだ。だが、実は小心なXは、もっと確かな保証が欲しいと考えた。そこで今度は、Xの「配下」の者ではあるが、この国の法をつかさどる機関の責任者であるCに、保証はできるかと尋ねてみた。Cは、そんなことができるはずはないと考えたが、保証をしなければXの機嫌を損ねると思い、Bと同じように答えた。「できますとも」

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 こうしてXは、法が妨げとなって自分の思い通りにならないことがあると、Aの甘言に従い、また、Bに背中を押された、理の通らない法解釈をひねり出しては、その法解釈にCのお墨付きを得て、難局をしのいできた。

 そうした時代が長く続いていたある時、「空気」を読まない一人の馬鹿者が人々の前に進み出て、満場にとどろく声で言い放った。「法が出来ないと言っていることを、法を変えもしないでできることにするなんて、いかさまじゃないか」

 アンデルセンの童話「はだかの王様」は、美しい布を織っていると偽って、空(から)の機織り機に向かっていた詐欺師の言葉を、大臣も、側近も、嘘だといえなかったために、王が市中を何も身に着けずに行進する羽目になった物語である。沿道の子どもが「王様は何も着ていない」と言ったのをきっかけに、ようやく王は、わが身に起こったことの意味を理解する。

 さる国のお伽話はこの「はだかの王様」によく似ている。だが、二つの物語には重要な違いがある。それは、「はだかの王様」の哀れな王と違い、このお伽話のXは、A とぐるだったという点である。

 「王様は何も着ていない」という言葉が効果を持つのは、王が騙されている場合である。詐欺師と通じ、分かってやっている者には、「いかさまじゃないか」という告発の言葉は少しも響かない告発を意にも介さなかったその国の政治の最高責任者は、同国の歴史上稀(まれ)なことに、7年半にわたり、その地位にとどまったという。

 NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNN  (おわり)

◎写真で引用したくだりで有川氏は安倍政権の違憲性は憲法99条・公務員の憲法尊重擁護義務違反であると断罪しています。

はだかの王様」は「はだか」が恥ずかしいと思う王様だから、こどもに「はだか」だと指摘されたら身の縮む思いで家臣たちの嘘に気づいたのですね。今のトップは違う、こどもに「はだか(憲法違反のいかさま)じゃないか」と言われても、平気。最初から「憲法や法律の規制をどうやってかわそうかと企んでる仕掛人と一緒になってやってるんだから」というわけです。あとは、そこまで堕ちた王様をどうするか・・・気づいたその国の民が立ち上がるかどうか決めるのは私たち・・・(写真は冬を越して珍しく一凛だけ咲いたノボタンの花)