夏の連続ドラマの最終回と秋ドラマのスタート

コロナの所為でスタートが遅れた夏の連続ドラマの最終回が9月に入って今頃続々と。

◆「MIU404」(TBS/毎日放送)、4日の最終回のアクションシーン、女性でもここまで書く、書ける?!と思ったり、久住の逮捕後も一筋縄では行かない背景とかはありましたが、すっきり良かったとはいかず困りました。途中の一話完結の内容に素晴らしいのが沢山あったのですが・・・菅田将暉ありきの最終回だったかな。最終回ではありませんが東京オリンピックのスタジアムの映像に綾野剛さんの金持ちだけが入れる五輪というようなセリフがありました。放送される時期とドラマをリンクさせた鮮やかなシーンでドラマを見ながらハッと現実を突きつけられるようなドッキリ感のあるドラマでした。綾野剛星野源さんの組み合わせの妙も素敵でしたが。(よんばばさんのブログが取り上げておられました。丁寧に見ておられた感想が素晴らしいです)

f:id:cangael:20200922144426j:plain

◆ほのぼの最終回は「私の家政夫ナギサさん」でしたが、これは以前にふれたので、パス。双子の復讐劇「竜の道」(フジ/カンテレ)、初回を見て余りの暗さにもういいかと思ったものの怖いもの見たさと玉木宏高橋一生の二人の主役や松本穂香遠藤憲一西郷輝彦ほかの助演の方たちのお芝居が素晴らしいので結局録画して見ることに。その最終回(15日)の2時間は息の詰まるような凄まじさ。愛と憎しみ、知と暴力。家族、親子、兄弟姉妹の再生と崩壊。こんなに殴り合い傷つけ合い殺し合い騙し合いという凄惨な場面を直視しなければならないドラマは初めてでした。最後のシーン、竜一は人も殺し整形して身元も消して復讐一途でしたが、殺した人の息子である少年に刺されます。もう復讐が何ものも生まないことを理解した竜一は刺した少年が殺人犯にならないよう早くこの場を去るように言って自らは果てます。これしかないという終わり方でした。運送業界と官僚と政府との癒着についてもかなり突っ込んだ内容でしたし今の時代をリアルに描いたドラマでした。玉木宏さんは秋ドラマではガラッと違って極道のお料理番組らしいですので楽しみです。

f:id:cangael:20200922144300j:plain

◆つづいて、NHKの貫地谷しおりさんの「ディア・ペイシェント~絆のカルテ~」の最終回(18日金曜)。やっと納得でした。田中哲司演じるモンスターペイシェントの怖かった座間を操っていた病院内の人物が分かり、認知症の患者さんの運転する車から貫地谷さんを守って怪我をした座間の苦境と本心も分かりました。医者と患者の絆があってこその医療ということですが、これも見ていられないほど苦しい場面が多くて自殺した内田有紀さんの優しさが救いでした。優しい人は生きていられないのかも。患者側の苦しい立場(経済的なことや闘病や介護の厳しさなど)と医療現場の苦しさと双方の立場の違いとそこを双方でどうやって理解し合えるか、自分がその立場にならないとなかなか分からないことですが必ず自分の身に降りかかることですので・・・

f:id:cangael:20200922144326j:plain

◆カンテレ(フジ系)の「アンサング・シンデレラ~病院薬剤師の処方箋」。薬剤師は昔から女性の多い職業の一つでしたが、病院の薬剤部の男性上司に田中圭、この人に惹かれて同じ職種を目指す若い人に成田凌、主役の薬剤師に石原さとみ、薬剤部のトップの真矢ミキと大阪出身のドライな新人薬剤師に西野七瀬石原さとみさん、巧いですね。一生懸命さが巻き込む職場の様々な人間関係がよく描かれていたと思いました。上司と部下との関係や組織の中でやり過ぎる人との軋轢とかもなかなか正直に描かれてました。そんな中で成長していく部下たちの姿を描く温かさもあって。一見突き放して冷ややかな視線で石原さとみを見守る上司の田中圭さんもやはりいいな~と思わせます。その人が今不治の病に倒れて…次回(24日木曜)、最終回です。

f:id:cangael:20200922144402p:plain

◆この夏ドラマでお化け視聴率をだしている「日曜劇場半沢直樹(TBS/毎日放送)。最終回直前の20日の番組を見ながら、主な出演者のほとんどが満身の力を込めて顔を作り声をあげてそれをアップでとらえる歌舞伎調。そこまで・・・と思わないでもありませんが、この回の内容を見ながら、今の時代、正論を吐くのにここまでの迫力で迫らないと分からない世相なんだろうと思いました。匂わせたり暗示したり察してほしいでは通じない世の中になっていると思います。ドラマ全体が殺伐として悪い人たちが結構言いたい放題ですが、やはり悪いものは悪い。立場は弱くてもみんなの力を借りて悪を暴いていく半沢直樹(歌舞伎に対抗する外様の歌舞伎調演技も決死の必死の形相なのでついつい頑張ってると同情して応援してしまいます)は現代版の勧善懲悪のヒーローですね。ここまで徹底すると文句なしという感じです。前にも書きましたが、一人異質のナチュラル演技で光る賀来賢人さんは儲け役。数少ない女性役の元秘書で女将の井川遥さんはニュートラルな清涼剤?の役割? 次回の27日(日曜)の最終回で政界の大物(柄本明)がどんな最後を迎えるか楽しみです。

◇既に秋の連続の初回が始まったドラマもあります。NHK大河ドラマ麒麟がくる」と朝の連続ドラマ「エール」も再開されました。まず7月に自死した三浦春馬さんの4回分のドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」(TBS・毎日放送)。初回は15日(火曜)松岡茉優さんとのコンビ、快調な出だし。草刈正雄さんが社長で父親役。とても軽快に的確に金銭感覚が普通でない金持ち息子で仕事の出来る役を演じておられる三浦さんが、収録の途中でどうして自ら命を絶つようなことに・・・残念ですね。

NHK土曜ドラマ天使にリクエストを~人生最後の願い」の第1回(19日)を見ました。江口洋介さんの元刑事で探偵、助手に上白石萌歌(萌音さんの妹)さん、介護士に志尊淳、人生最後の願いを叶える仕事を発注する謎の女性に倍賞美津子さん。訳アリ4人のこれからがとても楽しみなドラマ。死の直前に人は何を望むのか、それを叶える仕事を引き受ける個性的な4人の人たちのお話。面白そうです。

◇同じくNHK総合の土曜日の「彼女が成仏できない理由」は、映画「蜜蜂と遠雷」でピアニストの一人を演じたミャンマー出身の俳優・森崎ウィンさんが漫画修行に来日したミャンマーの青年を演じています。まだ1回目(19日)が終わったばかり、部屋に住み着いた幽霊との話ですが・・・