NHKスペシャル「こもりびと」とETV特集「親の隣が自分の居場所」と「三島由紀夫没後50年」

◎見事な柿色の柿。水曜の午後、チャイムが鳴って外に出てみるとビニール袋を下げたOさんでした。萱野校区にある唐池公園へ向かう途中の箕面校区のはずれにあるお宅はお庭が南向き。柿の木が南西の角にあり、夫がいつぞや厚かましくも美味しそうな柿の実をねだったことがあって、それ以来その年の一番に採った柿を持ってきてくださいます。我が家はお任せ野菜の佐藤さんのサニーレタスと合わせて柿サラダにしたり、刻んでヨーグルトを掛けていただいたりしています。

10数年前、お母様がお独り暮らしだった頃、隣町の豊中に住んでおられて、私は民生委員として毎日実家へ通っておられたO(旧姓)さんともお話をするようになりました。北小学校の4つほど先輩だと思います。庭には温室があって蘭の花を咲かせたり花咲かおばさんでグリーンフィンガーズの持ち主です。85歳の夫であるSさんはついこの間まで現役でビルの管理人をしていたそうです。それがコロナと年齢で辞めたとたんにヘルペスになって1か月間入院、退院してまだ一月だそうです。

柿の実は誰が?と聞いたら息子に頼んだとのこと。私は火曜日の朝起きたらぎっくり腰もどきの腰痛、痛くて腰が伸びなくて鏡の自分を見るのも嫌なお婆さん腰になっていました。水曜のヨーガはメールでお断りを入れて用心して休んでいましたが、午後には治って背筋を伸ばせるようになりました。そんな話をしていたら、Oさんが「私も背中は曲がってしまってるの」と言われたので、背中を触ってみるとなるほど湾曲して曲がって飛び出ていました。さすりながら大変ね~と私。座るときもクッションが必要とか。お互い園芸趣味もほどほどね、庭仕事が負担になったところで夫たちが畑をするようになったので譲ることにしたと同じような話になりました。週明けの晴天の日、滝まで紅葉狩りに出かける予定でしたがダメになってしまいました。

◎11月22日(日)、「いいふうふ」の日だったそうですが、NHKスペシャルではドラマが放送されました。その日の朝日新聞で紹介された番組案内です。

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NHKスペシャルドラマ「こもりびと」11/22放送!松山ケンイチが10年以上にわたるひきこもり役を好演! - ナビコン・ニュース (navicon.jp)

かつては若者に特有のものとされた「ひきこもり」は、今では「中高年のひきこもり」が61万人に上り、総数では100万をこえるといわれている。世代を問わず、多くの人にとって身近なテーマの一つとなっている。新型コロナウイルスの影響で自粛生活を多くの人が送った2020年は、この「ひきこもり」を考えるいい機会になるとNHKではプロジェクトを組んだ。プロジェクトの名前は「#こもりびと」だ。この名前は、神奈川県大和市がひきこもりのことを暖かくみまもるためにつけたネーミングだ。家にこもっている1人1人の人に焦点をあてる。

 

主役の倉田雅夫は、強いストレスから働けなくなって10年、家に閉じこもっている。その倉田を演じる松山は「ステレオタイプのひきこもりからこの作品を通して少しでもその印象が変化していくことに期待していますし、各々の捨ててしまったもの、忘れてしまったものを振り返る機会になっていただけたらと思っています」とコメントしている。

■あらすじ
10年以上にわたってひきこもり生活を送る倉田雅夫(松山ケンイチ)。重いストレスを抱え働けなくなったことがきっかけだった。厳格な父・一夫(武田鉄矢)は元教師。地元でも尊敬を集める存在だが、雅夫の存在を世間から隠し、立ち直らせることも諦めていた。しかし、自らの余命宣告を機に、最後にもう一度息子と向き合うことに。一方の雅夫は、閉ざされた部屋の中で人知れず、ひきこもりから抜け出す道を必死で探っていた──。

NHK総合11月22日(日)「こもりびと」。出演:松山ケンイチ北香那迫田孝也根岸季衣武田鉄矢ほか。作:羽原大介、音楽:上野耕路、挿入歌:ザ・ブルーハーツ

◎40歳と言えば我が家の息子たちより10年ほど若いということに。武田鉄矢演じる父親の言葉を引き取って松山ケンイチ演じる息子はツィッター名を「カチナシオ」にします。「お前なんて生きてる価値なしだ」と口走ったことがあったのですね。親は親で子どものことを考えて何とかしたいと思いつつ、結局は子どもが生きる時代の本当のこと、厳しさとか辛さとかはどんな親も理解不能なのだと思います。それが「わからない」と言えなくて、自分の思いを優先して子どもを責める言葉になってしまう。見ていて辛いドラマでした。最後に命がけの親の反省と努力と思いが息子に通じて良かったですが、出来れば生きているうちにこうなればと思います。

★後先逆になりましたが、この前日の21日のETV特集は「親の隣が自分の居場所▽みとり医・小堀鷗一郎と親子」でした。私は録画していたのでドラマの後でこれを見ました。こちらはもう少し上の世代、50,60代の息子が父親、母親の介護をしている問題を取り上げていました。いわゆる8050問題ですね。

 終末医療の医師、小堀鷗一郎氏は森鴎外の孫だそうですが、この方の人間性が90代の親と息子の関係にとても良い影響を与えているような気がしました。どこか煮詰まらない、煮詰まる手前でそっと息を抜く、手を抜く術をどちらの息子さんも上手に備えておられるような気がしました。ですから、ドラマの「こもりびと」のような切羽詰まった関係にならない。とても見ていて気持ちが良い感じでした。本当は、親が亡くなった後どうするんだろうとかいろいろ問題があるでしょうに・・・これだけ優しく立派に介護が出来る人たち、きっと生きていける…なんて無責任なことですが、そんな思いになりました。もう一組、母親を介護していた息子さんが母の入院先に酔っぱらって訪ねてきてその夜自宅で自死するというケースも。上手くいっているお話ばかりではないんですね。

親のとなりが自分の居場所 ~小堀先生と親子の日々~在宅での終末医療を担う小堀鴎一郎医師。

訪問先の高齢患者には、仕事を持たず家にこもり続ける中高年の子供がいる場合が多い。そんな「こもりびと」の子供たちが、小堀医師に支えられ、親の「しまいの時間」に向き合い続けている。
親の看取り(みとり)を担うことで、社会的に孤立した人々が、自分の居場所を見つけていく姿を取材した。

NHKエンタープライズ 情報文化番組部 エグゼクティブ・プロデューサー
下村幸子)

★★21日の土曜日は同じくNHKスペシャル三島由紀夫・没後50年」 がありました。その前にもいくつか特集があったのでメモ代わりに並べておきます。「正直な人」と言う感想を言った方が何人かいました。番組を見た感想もそれに尽きます。

 NHKオンデマンド | NHKスペシャル 「三島由紀夫 50年目の“青年論”」 (nhk-ondemand.jp)

三島由紀夫没後50年 研究者が語る新たな実像|サイカルジャーナル|NHKオンライン

半世紀が経過した今、若い世代では三島の自決を知らない人も多くなっている。一方でそれは、三島の「死」という巨大なイメージから離れ、三島の「生」を見つめることで、これまで語られてきた三島像とは異なる一面に出会えるチャンスであるかもしれない。佐藤教授への取材では最後に、「三島はどのように生きた人間だったと思うか」を尋ねた。
「小説を書くことは“弱さ”も含めて自分を見つめ直すことで、今から思えば、三島の“弱さ”は小説の中にも現れてしまっているものでした。物語の主人公たちもみんな生きづらさを抱え込んでいて、その生きづらさの中でなんとかやっていこうと、逆転を図ろうと生きる人がいて、一生懸命に現実に適応しようとする人もいました。そして三島自身も、時には現実に適応しようとしたり、時には逆転を図ろうとしたりしてきたのではないかと思います。私は、三島由紀夫は正直な人だったと思うんです正直に生きるというのは、小さなうそをつかないということと同時に、自分自身が本当に望むものは何なのかを見つめることでもあるし、社会がどうあるべきか、自分はどう考えるべきかを見つめることでもある。そうしたことに正直であろうと努力した人だったと思います」

三島由紀夫没後50年 美輪明宏が語る“素顔”|サイカルジャーナル|NHKオンライン