「私はわきまえない 『ごまかす笑い 社会の現実』(辻愛沙子さん)」

🔲五輪組織委会長に誰が選ばれるか、今週中には決まると言われていますが、世界も見守る中、世界も納得する人物を選べるか…日本が試されていますね。さて 、今日取り上げる記事は朝日新聞2月9日の夕刊です。東京オリンピックパラリンピック大会組織委員会森喜朗会長による女性蔑視発言について、辻愛沙子さんという方が「見覚えがある」と感じた。その理由を聞いたという出だしで始まる記事です。

 森会長の発言の一つは「女性が沢山入っている理事会の会議は時間がかかる」というもの。もう一つは褒めたつもりの「(組織委の理事は)わきまえておられて」でした。

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社会派の企画で活躍 辻愛沙子(つじあさこ)さん 

1995年生まれ。企画会社「a r c a」代表。中高生時代を英国、スイス、米国ですごした。慶大入学後、「社会派クリエーティブ」を掲げ、広告や新規ブランド、イベントを手掛ける。

若い女性の実体験から男性社会の女性を見る目について鋭い指摘がありますのでそのまま書き移してみます:

私はわきまえない

類似の光景ある 

 今回の発言はあまりにひどいですが、これを水で薄めたような出来事は社会にたくさんあり、思い当たる光景がいくつもあります。音声型SNS[クラブハウス」を通じた取材で辻さんは語った。

 会議の出席者が年上の男性ばかりで、女性は辻さんだけだった時のこと。疑問や意見を口にすると話を途中で遮られ、「若いから分からないかも知れないけど」と、内容を聞く前に否定された。

 「でも、私と同じことを別の男性が発言したら手のひらを返して称賛される。若い女性は『教える対象』で、対等な議論が出来る相手とは思っていないのだと感じました。役職とはまた別に勝手につくった想像上のヒエラルキーがあるのでしょう

 発言の背景に透けて見えるものがあるという。

「ただの言葉のあやではなく価値観の根底に根付いているリアルな本音なんだろうと思います。思っていたとしてもせめて心の中でとどめるのが普通で、それを公の場で言うところに感覚のずれがある

 

ごまかす笑い 社会の現実

 発言の後、JOC評議員からは笑い声もあがった。

社会の現実だなと思いました。『これ、ちょっとやばいな』と思ってもごまかすための笑い。そもそも危機感すらないのかもしれません。森さん自身の問題でもありますが、あんな浮世離れした発言を許容してきた側近、メディア、世論も学び、変わっていかなければならない

罪のはずが

 発言の翌日、森氏は謝罪会見を開き、「発言は撤回したい」と語った。

 「『謝罪』は出来ても、一度発した言葉は事実として多くの人の記憶に残るから、本当の意味で撤回なんてできません人は誰しも無自覚な偏見を持っていますから、私自身も常々、人はいつからでも気づけるし、学べると肝に銘じています。

 でも、会見では記者の言葉を遮ったり、笑いながら答えたり、自信の失言を謝罪する場のはずが『あの場で一番偉い人』として振る舞っていた。間違いに気づき、学び、アップデートする気などないんだなと言う印象でした」

 発言が報じられた3日夜以降、ツィッターでは「#わきまえない女」と言うハッシュタグが拡散した。森氏が組織委の女性理事について述べた「みんなわきまえておられて」という言葉を逆手に取ったものだ。

 「単なる言葉遊びではありません。いつの時代にも『わきまえない女』がいたから、今の私たちには参政権があり仕事もできる。それに対するリスペクト(敬意)とシスターフッド(女性同士の連帯)の表れです

 黙っている方が楽だし、声をあげている人にヤジを飛ばす方が簡単だけれど、人を黙らせる言葉よりも、連帯したいアクションに対して賛意を伝える言葉を選ぶ人が多かったのは、すごくポジティブな動きでした」

 今回の問題をきっかけに、社会は変わるのか。

 「今回の発言は、スポーツ界のジェンダーギャップを表したものであり、社会を反映した問題でもあります。スポーツ界は外から見ているととても閉鎖的。中からのアクションだけでなく、外からも変えていけるように声をあげていきたい」                (伊木緑)