終わったドラマと始まるドラマ、そしてNetflixシリーズ「新聞記者」

☆NHK朝の連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」

既にもう始まっていますが、女三代100年のストーリー。1924年大正14年)に生まれた安子(上白石萌音)と、戦争中の1944年(昭和19年)に生まれた娘のるい、そのまた娘の物語。我が家のストーリーだと母の見舞にやってきた妹が言います。母は大正10年生まれの100歳、私はるいと同年生まれ、そして、私は息子二人なので妹の長女(姪っ子)と『合わせて100年の物語よ』と。なるほど、そうです。

戦前からラジオ英語講座の番組があったことにちょっと驚きました。安子がるいを抱いて逃げまどうシーンは母と赤ちゃんだった自分に重なります。るいは稔(北村北斗)が出征するとき男の子でも女の子でも通用する名前をルイ・アームストロングに因んでつけた名前なんですね。母が生き抜いた戦時下をドラマで追体験しました。YOUさんが演じる母親も大事な長男を亡くして可哀そうでした。私たち家族の100年の物語でもあると思って見ます。

★TBS日曜劇場「日本沈没

最終回の北海道と九州の一部を残して日本列島が沈没するCGを見ながら、これは小松左京の小説発表時はフィクションだったはずですが、今ではかなり現実味のある話だと思いました。一つは国力(や道義を入れてもいいかもしれませんが)の沈没という意味、もう一つは、最近の火山活動や地震などの活発な活動期に入って具体的な列島破壊の渦中にあるのではと感じられるという意味で。そういう中で人はどう生きていくのか。希望はあるのか・・・半年前には完成していたドラマだそうですが、なかなかリアルでした。

日曜劇場「DCU(Deep Crime Unit)」1月16日スタート

同じこの番組枠の来年のドラマは潜水もの。「MER」の水中版かな。コピーで:

海上保安庁に「潜水特殊捜査隊」、通称「DCU」が発足した。DCU設立の目的は、島国日本において海や河川で発生する事件の解決や、水際からやってくるテロなどからの防衛。いわば水際捜査に特化したエキスパート集団だ。隊長となったのは、50歳を迎えた新名正義(阿部寛)。メンバーには海保のエリート・西野斗真(高橋光臣)、女性初の潜水士となった成合隆子(中村アン)らがいた。そして過去に水難事件で新名に命を救われた瀬能陽生(横浜流星)の姿も。DCUは海上・水中だけではなく陸上の捜査権限も与えられることになったのだが、そのことが警察関係者との間に溝を生んでいた。

日曜劇場『DCU』|TBSテレビ

★日テレ(水)「恋です!~ヤンキー君と白状ガール~」

物陰がぼんやり見える程度の弱視のユキコ(杉咲花)と喧嘩っ早いヤンキーの森生(杉野遥亮)が運命の出会いをして、お互いに理解を深め、惹かれ合っていく。原作も大ヒットのマンガだそうですが、すれ違いがあったり、二人を取り巻く家族や仲間、盲学校の生徒たちとの優しいやり取りがあったり。

健常者同士でも相手を理解するには相手の立場を想像したり手探り状態になるもの。それが「弱視」という障害を持つユキコを理解するのにはヤンキー君のように一生懸命の努力が必要だし、それは未知の世界を知る楽しみでもあるし、好きな人なら・・・という「恋」の力もありますね。気持ちの良いドラマでした。

★TBS(金曜)「最愛」

事件の発端から関わっていた弁護士の加瀬(井浦新)が、すべての罪を背負って、残された二人の姉(吉高由里子)弟(高橋文哉)の幸せを宮崎(松下洸平)に託して、姿を消すことで終わりました。事件の解決と真実追及とは別物。事件は迷宮入りでも人間ドラマの方の真実は明らかにされてホッとしました。

★日テレ(土曜)「二月の勝者-絶対合格の教室ー」

高瀬志帆さんの同名マンガ(小学館)が原作。「中学受験は課金ゲーム」「子供を合格に導くのは父親の経済力と母親の狂気」といった過激な考えを持つ“最強・最悪のスーパー塾講師”黒木蔵人(柳楽さん)が、現代社会のさまざまな問題に切り込みながら、中学受験に挑む子供たちを成功に導く姿を描く。

黒木が大手の進学塾を何故辞めたのかが最後に明かされました。桜花ゼミナールとは別の「スターフィシュ」という様々な年齢の人たち相手の学習塾こそ黒木がやりたかった塾だった。それは「スターフィシュ=ひとで」、打ち上げられて干からびたヒトデを一つ一つ拾って海に投げ入れること、それが目的だったのだと・・・中学受験という我が家にとっては未知の世界でしたので、面白かったです。

NHK土曜ドラマ風の向こうへ駆け抜けろ」(前編)

平手友梨奈が演じる瑞穂が真っ直ぐ!、そしてやる気をなくして人生を諦めている中村蒼が、瑞穂に影響されて一念発起する過程が説得力があります。話せない板垣李光人の存在も魅力的。厩舎の仲間と再起に賭ける場面で終わったので後編が本当に楽しみ。

騎手、芦原瑞穂のひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、廃業寸前の厩舎が桜花賞に挑む!

原作:『風の向こうへ駆け抜けろ』古内一絵  脚本:大森寿美男    音楽:中島ノブユキ   出演者:平手友梨奈中村蒼、板垣李光人、石井正則奥野壮、高橋侃、剛力彩芽池内博之降谷建志、小沢仁志、玉山鉄二大地康雄奥田瑛二ほか

☆来年1月13日・Netflixシリーズ「新聞記者」スタート

森友問題で近畿財務局の職員だった赤木敏夫さんの自死を受けて妻の雅子さんが起こした裁判に対して国は賠償金1億1千万円を支払うことにしました。『認諾』という、訴えをすべて認めて裁判を終了させるという暴挙に出て、「終り」にしようとしたのです。その前に、アカデミー賞を受賞した2019年公開の「新聞記者」を監督した藤井道人氏は、新たに赤木俊夫さんと雅子さんをモデルとした人物自分の意志に反して改ざん作業を強いられる公務員(吉岡秀隆)とその妻(寺島しのぶを加え、また、政治に無関心な学生(横浜流星)を登場させ一般的な市井の若者の目線を加えて、Netflix版「新聞記者」6回シリーズを完成させ、来年の1月13日から配信がスタートすると発表されました。

 

◎裁判が続けば不利と判断される材料の一つだったのではないか…と考えるのは穿ちすぎかもしれませんが、エンターテイメントの映像作品で森友問題の核心部分が取り上げられるのは、これが最初だと思います。 

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☆タイトルにもなっている東京新聞の望月記者をモデルとした新聞記者を演じるのは米倉涼子さん、官僚で「上の決定を下がどんな思いでやらなきゃならないか」を演じるのは綾野剛さん。米倉涼子さんについては「私失敗しないので」など人気のテレビドラマを藤井監督は一切見ないで演出をつけて「今までにない米倉さん、よねさん」、綾野剛さんは「すっごくストイックな映画アスリート」「(横浜)流星とは10代からやって来て…周りから突如現れたイケメン俳優って思われてるかもしれないけど、めちゃ実直な映画人」と紹介しています。

藤井道人監督が米倉涼子×綾野剛×横浜流星との超強力タッグを語る フィーチャレット