◎日曜日は、京大原子炉実験所に勤めておられた小出裕章氏を迎えて「あれから11年! 忘れていませんか?」という講演会がありました。一月ほど前、ヨガに出かけた日,早く着き過ぎて一階に降りて掲示板を見て知りました。早速帰ってから予約の電話を入れて27日が当日でした。この日は桜が咲き出した青空の日、帰りに桜並木を下りながら写真を。若木が一足早く咲き出していました。
桜並木から住宅街に入って、満開のハクモクレン。すごい迫力!
原発とどう向き合う
温暖化防止にもならない最悪の選択
~即刻、全ての原子力発電所の廃絶を~
残念ながら、福島第1原子力発電所の事故は起きた。その事故は今現在進行中であるし、多数の人々の苦難に満ちた避難も続いている。それでもなおこの国には原子力を進めようとする人たちがいる。原子力がなければ停電が起きる、経済が立ち行かない、地球温暖化が進むなどと彼らは主張する。しかし、原子力はそれが抱える危険が大きすぎ、生み出す廃物の始末の方法すら分からない。地球温暖化防止にも役立たないし、むしろエネルギー浪費を加速して地球環境を破壊する。一刻も早く原子力の幻影から抜け出すことこそ求められている。
◎この日は朝、長野県松本から出てこられたそうです。テレビでお見掛けしなくなって大分経ちますが、変わらず若々しく感じました。手元に配られた資料が充実していてお話は分かりやすかったです。後半の地球温暖化、二酸化炭素の話が良かったです。
◎手元の詳細な資料に従ってお話が進みます。大きく2つ、福島原発の現状と地球温暖化とこれからのエネルギー。内容を思い出しながら資料を使ってメモ書きです。
◆原発事故現場、1号基から4基の航空写真。3月11日に3号基までが事故を起こし現在も進行中。
原発の生み出す核分裂生成物の量について、広島原爆で燃えたウラン800gに対して、100万kW の原子力発電所1基が1年間運転するごとに燃やすウランの重量は、広島原爆の1000発分。
現在福島原発敷地内外共に苦闘が続いている。炉心が今どこにあるかさえ分からず、放射能汚染水が溢れ、果てしない放射能封じ込め作業と労働者の被曝。膨大な放射能の放出と汚染地。生活を根こそぎ破壊され流浪化させられた人。汚染地に棄てられた人。帰還させられる人。
国と東電は熔け落ちた炉心を取り出すと言っているが、今もどこにあるか分からないものを取り出すこと自体が不可能。取り出せるというのはウソ。石棺で覆うしかない。
フクシマ原発事故で放出された放射能は広島原爆の168発分。被曝は危険を伴う。特に子どもは被曝に敏感。それなのに、放射能管理区域相当の場所に棄てられている。風評ではない現実。原子力を選んだ大人の責任。
◆地球の大気温は上昇しているし、大気中の二酸化炭素濃度は増えている。
この事から、原子力推進派が主張しているのは、原因は二酸化炭素で、原子力は二酸化炭素を出さないから原子力を使おう。実際、日本政府の対策「地球温暖化対策基本法案第16条」には、『特に原子力に係る施策については、安全の確保を旨として国民の理解と信頼を得て、推進するものとする」という呆れた文言がある。
しかし、本当の因果関係は、気温の上昇が先で、二酸化炭素の濃度増加は結果である。
地球大気温度は19世紀初めから急激に上昇、また二酸化炭素の急激な放出は20世紀後半からである。万年単位で見ると地球の大気温度も大気中二酸化炭素濃度も人類と関係なく大きな変化があった。
確かに化石燃料を燃やせば、二酸化炭素が出る。一方、原子力の燃料であるウランを燃やしても二酸化炭素は出ない、が、しかし、核分裂生成物である死の灰がでる。
二酸化炭素と死の灰を比べる愚
二酸化炭素が無ければ、植物は生きられない。
植物が生きられなければ、動物も生きられない。
二酸化炭素は、地球の生命にとってありがたい必須の物質。
放射線は微量でも生命体に危険が伴う。
生命にとって必須の物質である二酸化炭素を生む火力発電が悪く、生命にとって必ず危険を伴う死の灰がクリーンだなどという主張は初めから間違っている。
◆それに、原子力の燃料のウランは、化石燃料が枯渇する前になくなってしまうほどの埋蔵量しかない。再生不能エネルギー資源(石炭、石油など)は地球が46億年の歴史を掛けて蓄えてきた。太陽はそのすべてを合わせたものの10倍のエネルギーを毎年地球にくれている。その太陽で起きている反応が核融合であり、核融合反応のエネルギーを利用したいというなら、地上に核融合炉を作るより、太陽エネルギーを使う方がはるかに良い。
◆「目指すべきは低炭素社会ではなく、低エネルギー社会」
原子力は二酸化炭素を出さないのではなく、正しく言うなら「ウランの核分裂反応は二酸化炭素を生まない」だけで、ウラン採掘から濃縮、加工、そして原発建設から運転、維持、管理、どれだけ化石燃料を使い二酸化炭素を生み出していることか。
現在地球の生命環境が直面している脅威のどれも人間の際限の無い欲望が生み出した大量生産、大量消費の結果であり、根本的解決はエネルギー消費の抑制である。『足るを知る』暮らしである。
◎最後に人工衛星から見た夜のアジアが映し出されました。日本列島が異常に明るい。東京は勿論一番明るい面積が広くて明るさも強い。が、列島全体、特に太平洋側が数珠つなぎに明るい。日本人、私、考え直さないといけない。戦後、便利で快適な暮らしを求めてきた結果ですね。