ドラマと「キャンペーンのお知らせ『前川さんが会長になったら、またNHKを見る気になるね』」と「高福祉高負担政策のデンマーク」

◎ドラマについて、少し。NHKの朝の連続テレビ小説「舞い上がれ」。主人公は航空学校へ入学していよいよパイロットの道を進んでいますが、先週だったか先々週だったか、五島のお祖母ちゃんが娘(舞の母)の結婚に反対した時のことを語る場面がありました。演じている高畑淳子さんの演技も良くて、送り出した娘のことを「さびしくって、嬉しかった」と。このセリフにはグッときました。ひとり娘がきっと泣き言を言って帰ってくると思っていたのに、結婚相手とうまく行って帰ってこない娘にあてが外れた寂しさと同時に、子どもだと思っていた我が子の自立した成長ぶりが嬉しいという母親の思いが伝わってきました。

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」もいよいよ大詰め、源実朝暗殺の場面、今回は引っ張って引っ張って来週まで持ち越しになりましたが、三谷脚本の意図通り、実朝の人間的な優しさが北条の殺戮に継ぐ殺戮のやり方の中で際立っていますね。あの大階段の横の大イチョウの木。何年か前、横須賀のXさんと訪ねたときに実物を見ました。

実話のドラマ化だという「ファースト・ペンギン」、演じている奈緒さんも好演ですが、脚本が森下佳子さん。森下脚本といえば、「JIN-仁-」(2009、2011・TBS系)、「おんな城主 直虎」(2017・NHK大河ドラマ義母と娘のブルース」(2018・TBS系)など。なるほどです。

昨日の「エルピス」5話。良かったですね。真栄田郷敦、見違えるような顔になって鬼気迫る回でした。4話のイジメ無視の話が生きていました。一人になっても事件を追い続けるのは『楽だから』というのにも説得力が。母親の筒井真理子を問い詰め「母子家庭だったから」という母が赦せない若さ。長澤まさみの方は逆ハニートラップでした。権力が絡んだ捜査妨害に対して抗えるか・・・ますます面白くなってきました。

真実を追求する側にも弱さや間違いがあるという…正義感から真実追及という単純なお話にはなっていない所が渡辺あや脚本です。ニュース番組のディレクター、三浦貴大鈴木亮平の本当の姿(役割)を伝えるアクセント役でしたが、巧かったです。エンタメ番組のチーフ‣村井喬一のフォローぶりも見ごたえあり。次回の展開が楽しみ。

・TBSのプロデューサーが関西テレビに移籍してまで実現したドラマとか、脚本は主演長澤まさみの当て書きだとか。その長澤まさみさんについての記事、前後編の前編:

長澤まさみが歩んできた大女優への道 初主演映画の“一発撮り”で見せた勇気 (msn.com)

◎下の写真は、先日、山麓公園で見たアガパンサスの赤い実。木全体が、昨年より二回りほど大きくなって背も高く、実は何倍にもなっていました。

🔲前川喜平氏をNHKの会長にというキャンペーン:

キャンペーンについてのお知らせ · 「前川さんが会長になったら、またNHKを見る気になるね」(佐高信さん) · Change.org

◎コメントの中から私の知っている方たちのコメントを:

金平茂紀 ジャーナリスト                   NHKは「国営放送」ではない。市民とともに歩む「公共放送」=公共財なのです。そのトップを、この5期15年にわたり、財界人がつとめてきました。しかも選出経緯がよくわからない。戦後の放送の歴史を振り返ってみても、これはかなり異様な事態です。僕はNHKが本放送を始めた年に生まれ、「ひょっこりひょうたん島」をみて育ちました。長らく民間放送で報道の仕事をしてきていますが、NHKにはせめて英国放送協会BBC)の足元くらいにまでは追いついてほしい。前川喜平さんは取材を通じて知り合いました。行政の捻じ曲げに体を張って抗し、公務員のあるべき姿を示されたことを僕らは覚えています。なおかつ健全なユーモア精神がある適材です。もう今のようなNHKを変えようではありませんか。僕は前川さんを強く、深く、推挙します。

鎌田慧 ルポライター                     NHKのドキュメンタリーは好きだ。しかしNHKニュースは政府広報のにおいが強くて困る。心ある市民の声を大事にするNHKであってほしい。

落合恵子 作家、クレヨンハウス代表              あらゆることが、市民の姿勢や思想、願いや思いや生活実感から急速に遠ざかっていきます。わたしたちが多くの情報を受発信できるはずのメディアのそれもまた。それが何であれ、民意から離れたもの(離れつつあるもの)には、異議申し立ての声を上げ続けたいと自分と約束をしています。絶望は、いつだってできる、のですから。アンジェラ・デイヴィスの言葉だったかと思います。……壁も倒せば、橋になる、です。

佐高信 評論家                         前川さんが会長になったら、またNHKを見る気になるね

◎日本の税金問題を考える時、いつも思い出すのは今から40年近く前のことですが、近くに引っ越してきて3年半ほどを過ごしたデンマーク人一家のことです。カルチャーショックというのはこういう事かと思いました。小学校4年生と2年生、それに幼稚園の子ども3人の5人家族。父親がその頃、山手にあった大阪外国語大学デンマーク語の先生としての日本滞在でした。小学校に近いマンションに住んでいました。

その時聞いた話では、収入の6割近くを税金で国に、その代わり、医療、教育、老後の心配はないので貯蓄はしないで生活を楽しむ、が、節税はすると聞かされました。子どもが小さいうちに世界を知っておくべきだと家族で日本に来て、休みは日本中を旅してまわる。最初に広島の原爆資料館に行ってきた。大文字焼の京都や奈良にも精力的に訪れていました。家を建てるにも貯蓄、節約、建てれば返済に追われる我が家の家計とは全く違うシステムで暮らす人たちの考え方や暮らし方を知って驚きました。住宅街に四角いコンクリート製の住居、それも違法の3階建てが建ったときは、なぜ訴えないのかと言われたし、中学校進学の制服の詰襟もなぜ母親はあんな首を絞める服装を許しているのかと迫られました。

今回、税金のことでデンマークを思い出し、国家への信頼がなければ税率を上げて福祉を充実することはできないのでは、そのためには50%前後の投票率では駄目だし、税制度の改革のためにも日本の社会の在り方、投票権のある日本人全体の考え方が変わらないと難しいのでは…なんて考えていました。

そこで、高負担で高福祉を実現しているデンマーク投票率はどのくらいかと調べて見たら、なんと、84.6%でした。それに、やはり税金は所得税55%で世界最高でした。でも、民主主義が徹底しているということも知って、当時なぜ住民として、親として、発言しないのかと迫られたたことに納得でした。常に8割超す投票率 政治と向き合う北欧の小国 日本への教訓は | 毎日新聞 (mainichi.jp)

◎「デモクラチ」、生活の中の「デモクラシー」、すなわち『民主主義』について:

デンマーク投票率が高い理由を、人々の日常から探ってみた

あなたはなぜ投票に行くのですか?」という問いにデンマーク人は口を揃えて「デモクラチ」という単語を返してくる。

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 ーあなたはなぜ投票に行くのですか?

  民主主義を守るための権利であり義務だから
  自分の意見を反映するための機会だから

 

上の2つは、デンマークで投票に関する質問をするとよく返ってくる答えだ。日本語にすると圧倒されるかもしれない。「一般の人も普段からそんなことを考えているの?」とか「政治に興味がある一部の人が言ってるだけじゃないの?」と思われるかもしれない。

デンマークを含む北欧では多くの人々が政治に関心があり、若者の投票率も高いという記事もよく日本で紹介されている。でもこれは単に選挙や政治のみに人々が興味を持っているからではないとわたしは思っている。そのもっと奥深いところに、政治が日常生活の延長線上にあることや、自分たちの生活や生きる環境と深く関係していると知っていることが、理由にあるからだと思っている。

デンマークの投票率が高い理由を、人々の日常から探ってみた | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

◎続いて税金について:

デンマークの所得税は55% - 社長のミカタ (mikata-digital.com)

 

消費税は25%


 世界一税金が高い国は、北欧のデンマークだ。何と所得税55%(市税21%・県税11%・国税23%)、消費税25%(食料品もすべて25%)となっている。車の購入に至っては280%の税金。じつに年収の3分の1以上が税金として持っていかれる。

 

 しかし、納めた税金は、各々の生活内容や所得によって「還付」されるシステムとなっている。そのため老後の生活も安泰だという。教育費は大学まで無料、医療もすべて無料、介護も無料。住宅も全世帯数の25%が国営住宅であるため、ほとんどが無料。だから、日本のように生命保険、国民年金、厚生年金、そして極論すれば預金すら必要ないわけだ。

 

 「老後の資金」を準備せずとも、高水準の医療福祉が受けられるデンマークでは、子どもは18歳で自立すべく家を出る。そして18歳以上の学生に関しては、国から生活費(月額約7・7万円)が支給されるので、親は子どもの学費、生活費を考えずにすむ。

 

 社会に出てからの有給休暇は6週間もあり、家族との時間を大切にできる。ちなみに、デンマーク人にとって働くということは、「生活するため」というよりも、「自立するため」といった意識だという。デンマークで暮らす唯一の難点は、「平安すぎて退屈」と揶揄する人もいる。

 

 莫大な税金の無駄遣いの果ての税負担増、見通しの立たない将来など、まったく退屈する暇がないどこかの国とは大違いだ。(2017/09/06)