年の初めの「100分で名著」

明けまして おめでとうございます

今年もどうぞよろしくお願いします

暮れから長男が帰省、いつものペースではなく、パソコンが遠のいています。

望むところでしたので、それはそれで良いのですが・・・

ところで、昨夜は台所のテレビで10時から「100分で名著」を見ました。いつもの100分で名著は4回シリーズの合計が100分だったんですね。昨日は、いつまでたっても終わらないし、途中で切り上げるには面白すぎるし・・・と結局続けて100分、1時間40分の長丁場でした。テレビが2台あって良かったです。思いがけずの2日の夜更かしになりましたが、とても良い内容でした。

スペシャル番組 100分deフェミニズム論:100分 de 名著 (nhk.or.jp)

上野千鶴子さんがとても良かったです。長年日本のフェミニズムのリーダーで、今もあり続けておられるだけあって、お話は的確ですし、沖縄の上間さんの活動への理解と優しさにはハッとさせられましたし、最後のやり取り、「知るか!」には大阪弁タンカの切れ味と、マルクスのマネをしたんだという『解説』には参りました。

マルクスは、「階級が無くなった世の中はどんなでしょう?」という質問に「階級がある世界に生きている者には想像がつかない」と答えたようです。上野さんは「性差別がない世界を推しはかることは性差別のある世界に生きている者には想像できないけれど、せめてそういう世界が来るよう今の女性として頑張らなければ」というような意味合いのことを言って締めくくっておられました。

歴史学者加藤陽子さんは伊藤野枝集を挙げて日本のフェミニズムの原点を探ります。昨年9月のドラマ『風よあらしよ』で吉高由里子さんが伊藤野枝を演じていましたが、あのドラマを思い出しました。

沖縄で10代の女性の聞き取り調査を続け、また10代のシングルマザーを支援するシェルター「おにわ」の共同代表でもあるという琉球大学の教授の上間陽子さんはハーマンの「心的外傷と回復」を取り上げます。女性特有だと思われていたヒステリーは実は男性のPTSDと同じ、つまり、男性の戦時暴力と同じだというのに、フロイドは気づいていたが発表せず、ベトナム戦争後に広く認められることになったというお話には驚きました。

翻訳家の鴻巣友希子さんは女性作家アト・ウッドの著作を紹介されていました。司会のバービーさんとMCの安部みちこアナウンサーを交えたトークがとても良かったです。

日本の女性問題を議論する男性国会議員たちの中に女性が入っていないという日本の現実が笑い話にならない現実ですので、まだまだ日本は強固な男社会です。

上野千鶴子さんの『半身で』という言い方は東大で男社会をさんざん見てこられたうえでの処世術で、男と対等の能力を持った女性が男社会で活躍する際、まともにどっぷり全身浸かって男と張り合っても無駄というか、そんなことに全精力を使い果たすのではなくて、どうせ男社会、男が本気で変える気が無くては始まらない・・・と、どこか悟って半身ぐらいで丁度いいのよと達観なさっているような、先達からの忠告のような響きがありました。上野さんが紹介されたのがセジウィックの「男同士の絆」でした。