「岸田首相、G7各国歴訪は何故?」と「西日本新聞【提論2023】『貧しき国の防衛戦略(平野啓一郎さん)』」

🔲G7の議長国で議長を務めるから事前に参加国を廻るって、なんで?

自国がG7サミットの議長国だからと言ってその前にG7各国を巡礼する政府トップも、訪米には何か手土産が必要だと思い込んでいる政府トップも、日本の首相だけだと思いますが、なぜそう思うかと言えば、家来のように同行する政治部記者が国内向けにイメージ宣伝してくれるから。
引用ツイート
 
 
 
@aokima33
えっ!岸田氏はG7サミットの議長国なのでG7各国を全部回るんだって?何で?だって、もうじき皆んな来るっしょ、日本に。ん?この大名旅行は楔を刺しに回るんね。各国じゃなくて自民党に。この物価高で皆んな生活が苦しくなってゆとりがなくなってきたのよ。ちょっとは国内見て回ったらどうなの?

🔲アメリカに対して日本の立場と利益を代表して物言える首相であってほしいと思いますが、岸田首相にそれを求めても無理か・・・・・

この「日本に肩代わりさせる」という観点NHKの安保防衛関連ニュースを観る時には不可欠ですよ。 一見すると「それで日本の防衛力がさらに高まる」かのようで、実際は米軍が特定のリスキーな任務を自衛隊に「アウトソーシング」しているだけでは? という事例が少なくない。
 
 
米国はウクライナ支援を縮小。日本に肩代わりさせる布石として、岸田政権は他国への「軍事費支援」解禁を昨年末に決めた ――ほとんどニュースになっていないが、林外相が「ODAとは別に同志国のニーズに応え資機材の供与を行う」と明言防衛省ではなく外務省が軍事支援を行う😵
 
 9日から欧米歴訪の外遊に出かけた岸田首相。5月に広島で開催するG7サミットに向けて環境整備を図ることが目的だとい.う。フランス、イタリア、英
国、カナダを訪れた後、13日に米ワシントンでバイデン大統領と首脳会談を行う。
首相就任以来、熱望していたホワイトハウス訪問がようやくかなうわけだが、そのための手土産が昨年末に決めた防衛費倍増。それに加え
て、ウクライナ問題でも新たな負担を約束させられる可能性がある。

🔲山崎氏のツィッター西日本新聞に寄せた平野啓一郎氏の「貧しき国の防衛戦略」を紹介されています。とても良い内容です:

【提論2023】貧しき国の防衛戦略 平野啓一郎さん(西日本新nishinippon.co.jp/item/n/1038054/
 
・「『日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。』十年来、政府が繰り返してきたプロパガンダだが、その『厳しさ』とは、いつと比べて具体的にどう『増している』のか? 例えば、北朝鮮のリスクは、戦争前夜のような報道がなされていた2017年と比べて、現在『増している』とは言えないだろう。
 
・「政府は、漠然とした不安を煽り、防衛費を5年間で総額43兆円まで激増させる決定を下したが、この新たな防衛戦略は、憲法違反であるだけでなく、凡そ非現実的である」
 
・「食料自給率は30%台で、交戦前の経済制裁だけで餓死者が出る。経済活動は中国抜きには考えられず、しかも軍拡競争で中国を圧倒することなど不可能である」
 
・「『安保法制』を巡り当時の安倍晋三首相は『戦争を未然に防ぐ』と強調していたが、今も安全保障環境が『厳しさを増している』なら、矛盾しているではないか」
 
◆軍事力強化は自滅の道「日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。」--十年来、政府が繰り返してきたプロパガンダだが、「その厳しさ」
とは、いつと比べて具体的にどう「増している」のか? 例えば、北朝鮮のリスクは、戦争前夜のような報道がなされていた2017年と比べて、現在「増してい
る」とは言えないだろう。

🔲西日本新聞、1月9日の「提論2023」を全文コピーしました:

【提論2023】貧しき国の防衛戦略 

            平野啓一郎さん 

 

◆軍事力強化は自滅の道

 「日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。」--十年来、政府が繰り返してきたプロパガンダだが、その「厳しさ」とは、いつと比べて具体的にどう「増している」のか? 例えば、北朝鮮のリスクは、戦争前夜のような報道がなされていた2017年と比べて、現在「増している」とは言えないだろう。

 政府は、漠然とした不安を煽(あお)り、防衛費を5年間で総額43兆円まで激増させる決定を下したが、この新たな防衛戦略は、憲法違反であるだけでなく、凡(およ)そ非現実的である。

 日本にミサイルが飛んでくるというのに、黙って見ているのか?という不安はわかるが、今日のミサイル発射台は固体燃料の移動式で、事前に場所を特定することは不可能とされている。勇み足で先制攻撃などしてしまえば、国際社会での日本の立場はない。仮に最初の一発を阻止できたとしても、中国は日本を攻撃できるミサイルを、核兵器を含めて2千発保有しているとされる。報復による被害は壊滅的だろう。何より、一旦(いったん)始まった戦争を止めることがいかに難しいかは、現在のロシア・ウクライナ戦争を見ても明らかである。

 日本には、ひたすら戦争を回避する選択しかない食料自給率は30%台で、交戦前の経済制裁だけで餓死者が出る。経済活動は中国抜きには考えられず、しかも軍拡競争で中国を圧倒することなど不可能である安保法制」を巡り当時の安倍晋三首相は「戦争を未然に防ぐ」と強調していたが、今も安全保障環境が「厳しさを増している」なら、矛盾しているではないか。

   ◆   ◆

 日本の凋落(ちょうらく)は周知の事実で、しかも、防衛支出で世界第3位の軍事大国を目指せば、周辺諸国にとっては前科があるだけに脅威である。各国は、日本のためにこそ軍事費を増加せざるを得なくなろう。

 政府は欺瞞(ぎまん)的にも、自主防衛路線に舵(かじ)を切ったかのような防衛費増額の主張をしているが、それなら日米安全保障条約とは一体何なのか?

 日本と中国との間に、もし軍事衝突が起きるとすれば、結局、アメリカと一体となって、台湾問題に介入する時であり、攻撃されるのはまず在日米軍基地だが、そのリスクは、ロシアの戦争後、一段と低下したと見る専門家も少なくない。万が一にも、米中戦争が起きるとするなら、日本は両国に外交的に働きかけ、その平和的解決を目指すべきであり、それを煽って自ら参戦するなどというのは、愚の骨頂である。

 結局、このあまりにも非現実的な軍事予算は、国民の生活を犠牲にして、アメリカの軍需産業を儲(もう)けさせるだけではないのか?

   ◆   ◆

 国の平和を維持するのは、外交以外にない。そのためにこそ、軍事力強化が必要だという政治家もいるが、現在の外交の失敗を反省することもなく、平和的共存のヴィジョンもなく、貧しい軍事国家と成り果てた日本が、武力で威嚇しながら有利な外交を展開するなどという夢想に耽(ふけ)るのは、政治的堕落である。

 今回の新しい防衛戦略は、所得の伸び悩みや大学改革の失敗、ジェンダー不平等など、この国のあらゆる問題を放置し、何の成長戦略もないまま、金融政策一本で日本を発展させようとしたアベノミクスの失敗と通底している複雑な外交的問題を、根気強く解決してゆく真面目な努力を怠り、防衛費増額だけで国の平和を守ろうなどというのは、魔法のような話である。

 この法外な予算で今、生活に苦しむどれほどの人を救えるか? 未来に向けて、どれほどの環境整備が可能か?

 あまりにも無思慮なこの防衛戦略を撤回させなければ、日本は自滅する。