物言う俳優さんたち「言い続ける強さ 見せなきゃ(小泉今日子)」

たった一輪だけのバラ、ピエールドロンサール。全開です。

★今日は物言う俳優たちを取り上げてみました。小泉今日子さんの記事は朝日新聞5月3日の「大阪【北摂】」頁のもの。

1987年5月3日、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に侵入した男が散弾銃を撃ち、湖尻知博記者(当時29)が死亡、犬飼兵衛記者が重症を負った。事件から36年。言論を封殺しようとする動きは今もはびこる。一方、ネットでの誹謗中傷などで言葉に苦しめられる人もいる。私たちはなぜ喋り、しゃべり続けるためにどうすれはいいのか、考える。

★ダイジェストで

 3年前の5月。政府の判断で検察幹部の定年延長を可能にする法案にSNSで批判が広がった。「#検察法改正案に抗議します」。数日間で数百万件とも言われた賛同の投稿の中には芸能人の物もあった。俳優の小泉今日子さん(57)もその一人だ。

 だが投稿への風当たりは強く、中傷の標的に。

「芸能人が政治的発言をして」みたいな批判をよくされるんですけど、これって政治的な発言かな?って、思うんですよね。国民的な発言なのではないか、と。

 いろいろ言われるのも仕事の内だと思うんで、傷つくって感覚ではないですね。

 私はもう50歳も過ぎた人間だし、言い続ける強さみたいなのも見せてあげないと、とも思いましたね。

政治への意志を表に出す覚悟の裏には、ある若者たちの存在があったという。

 私が生まれたときからほとんど、日本の政治イコール自民党だったんですよね。任せとけば日本はよりよくなると思っていました。でも、2015年頃、(安全保障関連法案への抗議活動を展開した学生団体)SEALDs(シールズ)の若者たちの声に耳を傾けてみて、気づかされたんです。若い頃に、そういうことしてこなかったな、って。

 私たちの世代が若者だったのはバブル真っただ中。政治や社会に積極的に参加していた人ももちろんいたと思うけど、そうじゃない人たちもいっぱいいた。

 日本の現状の不安や不満って、自分たちの世代がつくってしまった現実じゃないか。すごく罪に感じて、若い人たちに、ごめんよ、と思いました。

 残りの人生、そんなに長い時間じゃないかも知れないけれど、意思表示する姿を少しでも見せておかないといけないなと。

 社会にはいろんな意見があってしかり。攻撃的に来る人たちもいるだろうけど、それに耐えられるぐらいの厚かましさを持ってるぞ、っていう気持ちです。

★次の記事は同じく朝日新聞の4月21日のもの。

★映画「ヴィレッジ」は、「社会の同調圧力や事なかれ主義が主題」ということで、主演の横浜流星(26)さんもキネマ旬報誌のインタビュー記事で「社会に向けたメッセージがハッキリある作品に出演すること自体『声をあげる』ことの一環だと捉えていいのか」という質問に、「そうです。自分で出ると決めた以上、作品が訴えるメッセージを背負わないといけないという気持ちは確かにあります。」と答えています。

左の写真は映画「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」に主演した細田佳央太さん。

細田佳央太(かなた)さんは、NHK大河ドラマ「どうする家康」では家康の息子「信康」を演じていますし、昨年の映画「線は、僕を描く」では主演の横浜流星の親友役で共演しています。またドラマでは、障害を持つ青年役が続いたり、「ドラゴン桜」にも出演していました。大活躍の2001年生まれの俳優さんです。

映画では「男らしさや女らしさ」といった価値観に疑問を抱く大学生七森を演じた。

この映画については、やはり「特別な1日」さんが詳しいのでコチラで:孤立無援の籠城戦:映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 - 特別な1日 (hatenablog.com)

本作のようなメッセージ性の強い作品に出たかったのだという。「今やるべき作品だと思いました。常識だったものが非常識になったり、非常識だったものが常識に変化したりする時代ですが、日本のジェンダーフリーへの考え方は、海外に比べてまだ追いついていないと思う」「七森自身は多分自分のことを弱い人間だと思っている。でも、『大丈夫じゃない』って言うにも勇気がいると思うんです。日本は精神論や根性論を大事にしてきた国ですから。だから、その勇気を持っている七森は強いのではないか。『大丈夫じゃないならこうしてみようか』と言えるのが当たり前の社会になればと思います

★次の記事は5月8日のもの。原作漫画をドラマ化し、動画配信サービス「ディズニープラス」で配信中だという「ガンニバル」と公開中の映画「ヴィレッジ」について。

ヴィレッジの藤井道人監督は「僕自身も『映画ムラ』で育ってきた。表現に新たなものを取り入れても、それが異端に捉えられてしまう事への違和感があったし、何か疑問を持っていたとしても、それをまひさせなければ出る杭は打たれる空気は感じて来た」と打ち明ける。「ヴィレッジ」では、山あいの村で暮らす若者たちの閉そく感が印象的だ。かつて父が犯した罪を肩代わりするように生きている青年が、とあるきっかけで光を見出し、本来の自分の良さと自信を取り戻すが、村のしがらみに縛られ葛藤する。藤井監督は「コミュニティーに依存すること自体に問題提起したかった。個人個人がシッカリ自立して社会を形作るべきだ」との思いで制作に臨んだという。

★次の大竹しのぶさんのコラム「まあ いいか」は4月21日の記事の下にあったもの。

神宮外苑の再開発事業で切り倒される樹木のことで坂本龍一さんが都知事に呼びかけた手紙のことをとりあげ、最後に「しかしまた何事もなかったかのように、ことが運ばれていくのだろう。国葬もそうだった。叫んでる人々の声は届かず、分からないことが国民に説明もされずに進んでいく。マイナンバーカードに基地問題……。それでも私たちは叫び続けよう。

◎黙っていては、権力者側の良いようにことが運ぶ・・・それでいいのか。俳優さんたちが少しずつですが声を上げ続けています。新聞記者を殺して言論を封じようという暴力に対して、今の朝日の記者さんたちにも屈するわけにはいかないという記者魂を期待しています。そして、私たちも、ムラやコミュニティーに属するメリットとデメリット、プラスとマイナスを自覚して、個としての自分をしっかり保つことが大事かな…小泉今日子さんの言う同調圧力に『耐えられるくらいの強さ、厚かまし』があってもいいかな。