映画「怪物」と「最後まで行く」  

☆カンヌで脚本賞クィア・パルム賞を受賞した是枝監督の「怪物」を観に夫と出かけました。去年はカンヌの受賞作「PLAN75」を梅田まで観に出かけたのも同じころだったので調べて見たら、6月22日でした。今年は少し早め、それも自転車で行ける地元の映画館での上映でした。時間があったので桜橋を渡って下に降りて千里川沿いを散歩しました。左は北急のターミナル駅新設工事の現場です。

ABOUT THE MOVIE | 映画『怪物』 公式サイト (gaga.ne.jp)

大きな湖のある郊外の町。
息子を愛するシングルマザー、
生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。
それは、よくある子供同士のケンカに見えた。
しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、
大事になっていく。
そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―。

クィア・パルム賞は、映画祭に出品された作品を対象に独自の審査を経て、性的マイノリティーを扱った映画に与えられている賞で、2010年から始まり、日本の映画としては初めての受賞です。

(これから映画を観る方は読まないで・・・)

素晴らしい映画でした。最後のクレジットで流れる坂本龍一さんのピアノ曲が映画の余韻を胸に鼻の奥がツンとしてきます。映画はシングルマザーの麦野(安藤サクラ)の息子の湊・みなと(黒川想也)が「豚の脳が入ってる」と担任の保利先生(永山瑛太)に言われたり、靴が片方亡くなっていたり、水筒の中から泥が出たのでクラスでいじめられているのではと学校へ掛け合いに出かける所から始まります。麦野のシングルゆえの一途な『子を守る』思いは学校側からするとモンスターペアレント、その対策がスタートします。

校長(田中裕子)は孫を失ったばかりで生気がなく、逃げ腰にみえます。それに、保利先生にも言い分があって、暴力を振ったわけではなく、単にひじが当たっただけなのに、もう一人の子ども星川依里(柊木陽太)の「保利先生は怖いから皆本当のことは言えない」というウソで、学校と父兄の間で大問題になり、新聞種になったり、父兄会の席上で謝罪させられるまでに。このあたり黒澤明の「羅生門」のような展開です。親、先生、子どもの立場で、それぞれが事実を語り、それぞれが真実からズレています。

前半は大人の側から。嵐の日、二人がいなくなり、駆け付けた保利先生と母親が車を出して、茂みの中を探し回るところまで。後半は子どもたち二人の側から描かれます。

湊は同じ教室の星川依里が気になります。虐められていると庇ってやりたくて大暴れしてみんなの気を引いたり。そんな二人は「ラ~ブ、ラブ」と囃し立てられたり。湊は依里が着火ライターを持っていたり、火を付けたら消防自動車が来るなどと言ったり、奇妙な点が気になりますが、二人は仲良くなり、廃線跡地に棄てられた車両が二人だけの時間を過ごす秘密基地になります。

二人の親密なやりとり(この辺りがクィア・パルム賞の対象かな)と車両の中の遊びや周りの景色などがとても美しい映像で描かれます。でも、星川依里は実はシングルファーザーの父親(中村獅童)から虐待を受けていて、「豚の脳みそ」という言葉もこの父親が息子に投げかけた言葉でした。依里は父親からも見捨てられてお祖母ちゃんに預けられるという話が進んでいます。モンスターは、親の愛を知らない、まだ愛らしさが残るこの星川依里なのか・・・

あの生気のなかった校長先生が、湊に吹奏楽器を与えて二人で吹くシーンがあるのですが、子どもの世界とリンクしていたのは実はこの田中裕子演じる校長先生だけだったのかもしれません。

大人が見る世界と子どもの世界は全く別物。

「かいぶつ、だ~れだ」は、自分の中のモンスターを暴く問いかけでもあります。

 

「最後まで行く」

連休を挟んで前後1か月近く実家に居た長男と一緒に、私にとっては2度目の「ヴィレッジ」を5月2日、大阪で観た後、息子が東京に戻ることが決まってから地元の映画館で5月の19日の「最後まで行く」公開日に二人で観ました。夫も誘ったのですが、やることがいっぱいあると言って断られました。

韓国映画のリメイクで、監督はじめ主演二人の”笑ってください”の言葉通り、岡田准一綾野剛、二人の「マズい男」VS「ヤバい男」のアクションもので、真剣、熱演のバカさ加減が笑えるという映画でした。片や、「ヴィレッジ」は、深刻極まりない悲劇的映画。藤井監督の映画の幅の広さにちょっと驚きます。タイトルが最後の手前でやっと出て、まだ続くという意表を突く終わり方も面白かったです。柄本明や末広涼子、駿河太郎や磯村隼人、共演。

観終わった後「面白かったね、でも、お父さんはきっと『こんな映画、お金を出してよく観るな~』と云うよね」と二人で。息子は、この映画を観て、元気になった…と私は思っています。

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