クリント・イーストウッド監督「グラン・トリノ」

連休中に剣岳、土、日は訓練山行にと休みごとに忙しい夫を待って、やっと、今日観て来ました。
一人で見るつもりでしたが、抜け駆けみたいに言われたので、二人で行くことにしたのですが、
すでにお電話で一人の方から、又もう一人の方からは直接、良かったよ〜と聞いていました。
見終わって・・・、とても良かったです。


いかにもイーストウッド流の映画です。主題に肉薄していく非情なまでの虚構のリアリズム。
それはいつも暴力そのものであったり、暴力的な何かであったり、ですが。
今回は希望や救いがあります。


イーストウッドが演じる老人は朝鮮戦争の体験者、隣人のベトナムの奥地のモン族の家族は
ベトナム戦争での移住者。ここにもアメリカの戦争が描かれています。


心通じ合うこの家族の姉弟が巻き込まれる暴力に対して姉弟を守ろうとする老人
暴力が暴力を招き、弟も仕返しされ、姉は辱められる。
本当にこの二人を守るためにはどうすればいいのか、「ここは冷静(calm)に」考える必要があると・・・


彼は最後の決断をして姉弟の従弟達を訪ねる
暴力の連鎖を生まない解決法を、自分の身を挺して・・・


最後、72年製の高級車グラン・トリノのドライブシーンに「グラン・トリノ」のテーマソングが
かぶって流れますが、最初の数小節はイーストウッド本人が歌って、後は息子の歌声?



私は昨日、ジャック・アタリの緊急インタビューを見たせいか、アタリ氏の最後のインタビューの
眼差しが思い出され、それが、イーストウッドと重なって仕方がありません。

若い世代の為に何が出来るのか?
イーストウッド自身と演じる老人、そして、ジャック・アタリ
私も、もう充分に、若い世代の為に何が出来るのかを考える世代です。


イーストウッドは映画人として、それをメッセージとしてこの映画に託しているように、
ジャック・アタリ氏は警告の書を著して、ご自身、「超民主主義」の先達として・・・
一市民の私も私なりに、出来ることは何?と思わずにはいられません。