「ジャック・アタリ緊急インタビュー」(「21世紀の歴史」)

このブログを今年になって始める切っ掛けになった本、このブログの最初「はじめまして」でも触れた
「21世紀の歴史」の著者のジャック・アタリ氏のインタビュー番組が今朝NHKで放送されました。


去年、この本を読んで、未来の暗さに衝撃を受けました。そして、途中、怖ろしさを覚える程ですが、
最後まで読んでみると、訴えたいことは未来の予言、世界の終末ではなくて、
よりよき未来の為に今行動せよ、ということだとわかりました。


丁寧な番組作りで、一冊の本の内容が映像化されています。
勿論、自分で字をたどって読んでいくのとでは、受け止め方が違うだろうとは思いますが、
本を読んで受けた印象と、番組を見終わって感じたことは同じでした。

「一部、危機の核心とは何か?」「二部、世界を襲う5つの波」として一挙に放送されました。


アタリ氏の述べたいことは最後、「私達はこの歴史の観客ではない、ゲームを戦っているプレーヤーであって、
このゲームには勝たなくてはならない」ということでした。「観客なら、悲観論、楽観論でゲームの解説を
楽しめるだろうが、現実に戦っているものは、楽観論でもなく、悲観論でもなく、敵を知る努力をして、
勝つために戦うことだ」ということです。


今の世界は失敗がやり直せる時代ではなくなったという危機意識、失敗が世界を滅ぼしてしまう時代に
なったという認識が基礎にあります。それは核の問題では早くからそうですし、環境問題や、特に去年の世界的な
金融危機以来、一国の問題が即グローバルな問題に直結すると言う経験を私達はすでにしていることからも判ります。


二部の「5つの波」は、アメリカ支配の崩壊、多極化、超帝国の出現、超紛争、と悪循環が行き着く先が示されますが、
それらを克服する力として超民主主義があげられます。
利他主義」に基づく博愛精神にたどり着けば世界は救われる、というと宗教的な言い方になりますが、
アタリ氏はやはり、ヨーロッパの知性の到達点、緻密に論理的に説いています。そして、ご自身、
ミッテラン大統領の大統領補佐官として政治の世界での、また、ヨーロッパ復興開発銀行で
旧東欧社会主義国家崩壊後の市場経済化を指導された経験が説得力を増しています。


日本では京セラの稲盛さんや文学者の五木寛之さんたちや、あるいは京都や奈良のお寺の宗教者が、
同じ事をすでに言っておられますが、まだ、まだ、政治家さんたちには届いていないような気がします。

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界