なぜ急ぐ再稼働?

久しぶりに本の紹介です。息子に頼んでいたのが昨夜手に入りました。
探すのが大変だったそうです。児童書に分類されていたんだとか。
つまみ読み?で読んでみたら、脱原発の考え方は3・11以後と以前では大きな変化があり、危険だからという初期の反対理由に加えて、自由競争を標榜する自由主義者も含めた広がりが出た。ところが、推進派、再稼働を目論む人たちは全く変わっていない、と書いてある個所がありました。なるほど、橋下大阪市長脱原発なのはそういう理由もあるのか・・・と一寸納得でしたが、橋下氏の今日の発言を聞いていると、安全性の問題でもシッカリ発言されています。

14歳からの原発問題 (14歳の世渡り術)

14歳からの原発問題 (14歳の世渡り術)

この本については読んでからまた触れてみたいと思います。
今日は、橋下市長(維新の会)のブレーンの一人でもある古賀茂明氏がテレ朝の朝の番組と昼の番組に出演されていましたので、再稼働についての古賀氏の解説を取り上げます。モーニングバードの「そもそも総研」の玉川徹さんのコーナーでの解説から。
脱原発大阪で出来たら日本中でできる?」というテーマでした。
まず、「大飯原発の再稼働の8条件」というのがあるそうですが、その中の主な4点:1、絶対事故を起こさない。2、万一事故が起きても、大丈夫。3、核のゴミの問題解決。4、原発なしでどうしても電力不足なら再稼働もアリ。古賀氏の言い方では、1,2,3とも解決できないので再稼働は無理という条件なんだそうです。
橋下市長は、「このまま大飯が再稼働したら、何も変わらない。変えるための『ワンチャンス』は今しかない」と脱原発で行くと覚悟しているとのこと。
古賀氏は、「本来、根本から見直すはずが、今、ずるずると動かしてしまえば、何も変わらないで、また安全神話が復活し、全原発が動くことになる」と。
で、脱原発の進め方ですが、「電力の平準化」に取り組む。問題は夏のピーク時対策。「ネガワット」という新電力市場を作る。ピーク時を予測して足りない分を売ります買いますなんですが、新しい考え方として「節電」による「売電」を奨励したいということです。ピーク時に「節電」するだけでなく、削減分を市場に取り込む仕組みを作るという計画です。
もう一つは、政府の迷走、というか、再稼働一直線ぶりについて。昨年10月細野大臣が安全性第一といい、今年2月、枝野経産相は再稼働は必要といったかと思うと、今週月曜日は再稼働「反対」、一夜明けた火曜日には「賛成ではない」、野田総理は「暫定的安全基準」の策定を指示。「何、これ!?」でした。
古賀氏の解説です。斑目委員長の「一次審査だけでは安全と言えない」というのを受けて、これはマズイと、専門家抜きで政治家が安全と言える基準を作ろうというのが「暫定基準」である。本当は原子炉の安全についての判断は素人ではなく専門家がすべきだというのは世界の常識。それを専門家が「安全とは言えない」というものを政治家の都合で安全性の判断をしようというのは非常識。
玉川さん、「なぜ、そんなに動かしたいんですかね?」「洗脳されてんです」と古賀氏。情報の出所は電力会社で、足りない足りないと言われ、それを官僚が毎日大臣に吹き込む、どうするんです? 足りなくなったら責任取るのは大臣です、と毎日吹き込んで洗脳している、それで、本来、脱原発のはずの枝野さんも洗脳されて脅されているから」とのことでした。
お昼のテレ朝番組は橋下大阪市長石原慎太郎東京都知事の密談について政治解説。話題作りで中身は民主党自民党も駄目だくらいだろう。政策では一致できていないし、橋下氏は一方で小沢一郎氏とも関係があるので、お互いに話題作りに利用しあって・・・というような。(脱原発については古賀さんから朝と同じような解説でした)

ところで、[eirene's memories」さんの3月29日ブログには東京新聞の27日の記事がそのままとりあげてあります。
26日に新潟県柏崎刈羽原発6号機が止まって、残るは北海道の泊原発3号機のみになったのを受けて、その翌日の記事です。
「野田政権は、原子力安全委員会の確認作業を受けて、関西電力大飯原発の3,4号機(福井県)の再稼働を急いでいる。「政治判断」し、地元の合意を得て<10日後の今は「同意も義務ではない」に変化!!>、ゴーサインを出す構えだ。だが、この性急な方針は倫理面からもうなずけない。」というリードで始まります。
真ん中あたり、「まだ『安全神話』にすがりつくのか?」という見出しの記事は:

福島第一原発事故の原因については、国会の事故調査委員会が6月に報告書をまとめる。原因が分からないのに、そもそも安全評価や対策などできようはずもない
自民党河野太郎衆議院議員は「国会事故調設置は衆議院参議院が全会一致で決めたもの。尊重されなければならないそもそも事故原因が地震か、津波かもはっきりしていない。政府は報告書を待つべきだ」と言います。
河野議員は国会議員の大多数の意見は「再稼働ちょっと待て」だとみている。しかし反対の声は小さい。「自民党にも民主党にも電力利権に絡んでいる議員が党の上層部にいるため、再稼働を急ぐなという意見が抑え込まれている。再稼動派は裏に回って動いているが、そういう意思決定の仕組み自体が問題。特に野党である自民党は表で分かる議論をしないといけないのに

と、河野議員の意見を取り上げています。
最後のデスクメモでは「なぜ政府が乱暴に再稼働を急ぐのか考えた。いま決めないと、準備期間もあるので夏に稼働できない。となると原発ゼロ」状態で夏を乗り切られかねない。そうすると「やっぱり(原発)いらない」世論が高まる。脱原発一直線だ。この流れを恐れているのだろう。逆に言えば、いまが正念場だ」。

この東京新聞の記事は是非全文を読んでみてください。コチラで: http://d.hatena.ne.jp/eirene/20120329/1332995937
北海道の泊原発が止まる5月5日、日本で原発がスタートして以来初めて全原発が停止することになります。
この「こどもの日」を原発ゼロで迎えては困る人たちが、今なんとか再稼働をやってしまおうとしているわけです。
「14歳からの原発問題」に戻りますと、163頁に「日本の電力は原発依存ではない」という書き出しの項があります。

ー 政府やメディアは「日本の電力は3割が原発依存」という言い方をよくします。
その言い方って「原発がなくなったら電力の3割がなくなる」と理解されそうですが・・・?


 原子力発電というのは、動いているか、止まっているかのどちらかしかない。動いているときは常に100%動いている。
今日はあまり電力を使わないから100じゃなくて50にしましょうということは、少なくとも日本ではしていない。
動いている時は100で動いて、止まる時は0になる。発電量の調整は基本的に火力発電所水力発電所でする。ですから、原子力は動かせる時はフルに動かしっぱなしになっているので、調整用の火力発電は出力を下げています。そうすると年間の発電の電力量の占める割合としては原子力が多くなってしまう。
じゃあ、その原子力の30%がなかったらどうかというと、なければ火力、水力をその分動かせば足りてしまう。そういう意味では、原子力はなくてもいい。(後略)
                      (聞き手は雨宮処凛さん、答えているのは「はんげんぱつ新聞」編集長・西尾漠さん)

要は、ピーク時対策が大事という内容です。そうすると、この記事の前に戻って、橋下大阪市長の下、脱原発を目指すブレーンの一人古賀氏が今朝解説していた取組が、大阪で成功するかどうかが注目されます。
「試してみる値打ちがある」(嘉田滋賀県知事)原発ゼロの日本。事故調の報告書もまだ出ない5月5日の子どもの日は、是非とも一度「原発稼働ゼロの日」を実現してみたいと思います。
その為には私たちはどうすれば・・・?