「跳ねる首相 米への笑顔 視野に沖縄はあるか」(朝日新聞)

トランプ大統領の傍ら米軍兵士の居並ぶ前で、満面の笑みでイエーイ!の高市首相。

私だけではなかったという思いの書き出だしで始まる朝日新聞編集委員高橋純子氏の「多事総論」(11月8日)。全文、記録です。出だし部分写真で:

 

跳ねる首相

  米への笑顔 

   視野に沖縄はあるか

 

 今回、首相の振舞いを目の当たりにし、自らの古傷をうずかせている私と同世代からちょっと上くらいの女性は少なくなく、首相を支持する/しないを超えて、ニュースを見られない、精神的につらいと一葉にげんなりしている。「そういうこと」はおかしいと気づき、あらがい、闘い、必死に克服してきたはずなのに、なんで又こんなことに―――。

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 首相たるもの、外交の場でへつらうな。毅然としてくれ。これらは首相の性別とはまったく関係のない一般的な要望だ。ところが、へつらいをへつらいと指摘すると「女性首相の仕事をおとしめるな」「『毅然』は『男らしい』ふるまいで、その強要が女性の社会進出を遅らせてきたのだ」などという批判が飛んでくる。は? 首相として当然されるべき批判や論評を、女性に対しては控えろと? 

 それこど女性差別では? トランプ氏をノーベル平和賞に推薦だなんて鳥肌もののへつらいである。だいたい、説明も議論も一切ないまま勝手に決めて、答弁すら拒否するなんておかしいだろう。

 米国と日本、戦勝国と敗戦国。男と女。入れ子状態の抑圧を一日でもろに可視化させた首相。ツイてるねノッてるね仕事が早いね Yeah! セカイノマンナカデサキホコルニッパンガイコウ!!

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 入れ子状態の抑圧ということでは、沖縄のことを考えずにいられない。日本の米軍専用施設の7割が集中し、日米地位協定によって「守られている」米兵らによる性暴力被害が絶えない沖縄の女性は、首相の振る舞いをどう見ただろう。

「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんに電話すると、開口一番「もうニュース見たくないですよ。怒ってますよ」。石破前首相は、結局何もできなかったけれど、沖縄を「見ていた」。しかし、米軍基地ではじける笑顔を見せる高市氏の視野に沖縄が入っているとは思えない。「沖縄に冷酷だった安倍・菅政権がよみがえってきた。そんな感じがします」

 今年は、米兵3人が小学生をレイプした沖縄少女暴行事件から30年。米国―日本―沖縄、そして女性。社会の矛盾やゆがみのしわ寄せは、最も弱いところにいく。そのしわの上で踏ん張って闘ってきた1940年生まれの高里さんは「このあいだ骨折しちゃって、言葉もすっと出てこなくなった」と言いつつ、毎週水曜日、米軍普天間飛行場辺野古移設に抗議するため辺野古は通い続ける。

 世界の真ん中がどこにあるかは知らないが、自国の最南端の県に負担を押し付け、住民の犠牲を養分にして咲く花は、よほどグロテスクに違いない。