二人の先生

家から阪急電車の駅まで10分ほどかかりますが、その半分程の所にわずかに残った田んぼと畑。そこの菜の花が今満開です。
畑の側を流れている小川は、山から流れてくる二つの水路が合流し、公園を通り抜け、田圃を潤して、と、まだ農業用水の役割を果たしています。時々、青サギが佇んでいることがありますが、川には小魚が沢山いて、時には子供たちが魚取りに入ることも。
20年ほど前の大雨のときはサンショウウオが流されてきたと大騒ぎにもなりました。

ところでこの菜の花、司馬遼太郎が好きだった花でもあって、2月12日の命日は「菜の花忌」と呼ばれています。
その司馬遼太郎河合隼雄が亡くなって、「先生」を失ったと淋しい思いをしていましたが、二人の新しい先生を見つけて喜んでいます。
一人は同い年の松岡正剛(セイゴウ)先生、もう一人は一つ年上の藤原正彦先生です。

松岡正剛はここのところ日本と世界の関わり、日本の今と昔の関わりを縦横無尽に解き明かしてくれる手法を駆使した本に嵌まっています。そして読んでいるうちに、どこかで同じようなことをと思いだしたのが「国家の品格」の藤原正彦氏です。藤原氏の方は一寸乱暴でやんちゃな書きっぷりですが、テーマは同じでした。

文芸春秋」に「名著講義」という連載で藤原氏は学生たちに本を読ませて感想を語り合わせています。私が読み始めたのが1月号からで「きけ わだつみのこえ」と「逝きし世の面影」。それまでに新渡戸稲造内村鑑三福沢諭吉の3回を読み逃しています。講義の相手はお茶の水女子大の学生たち。

同じ世代の先生方の関心が同じ、やっていることも同じ学生相手の講義(正剛先生の「17歳のための・・」は帝塚山学院でした)というので面白い。日本への関心が私たち戦中生まれの戦後育ち、いわゆる戦後民主主義教育の申し子で、その功罪を客観的にも見える年代になって(私の方はう〜んと遅れてではありますが、それゆえ両氏は先生です)、お二人の考察の対象や手法がナットク、ナットクで、このところとっても愉快で楽しいです。

日本を自覚、理解する2冊の本を。

神仏たちの秘密―日本の面影の源流を解く (連塾方法日本 1)

神仏たちの秘密―日本の面影の源流を解く (連塾方法日本 1)

買って読むならこれがお勧めです。
日本という方法 おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)

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