「たかじんのそこまで言って委員会・憲法スペシャル」

5月3日は62年目の憲法記念日。「たかじんのそこまで言って委員会」も安倍晋三元首相をゲストに憲法スペシャル。
メンバーは小泉首相自衛隊イラク派遣に抗議して外務省を辞めた元駐レバノン大使の天木直人新社会党の女性副委員長の原和美、元共産党の国会議員だった筆坂秀世、後は常連メンバーの宮崎哲弥勝谷誠彦三宅久之桂ざこば、タレント席は山口もえ。司会は、やしきたかじん辛坊治郎氏。

久しぶりにテレビで見る安倍さんはフックラとして健康そう。話し方は相変わらず一寸つっかえるような聞き取りにくい早口。全体に対決というよりは、和気あいあい?に近いムードの中、終わってみれば、本当に話し合えば、護憲も改憲も、折り合いがつくのではないか、と思ってしまう。私のような確固とした立場のない平和主義者が聞いていると、なのかも知れませんが。

9条について、今のような解釈でなんでも遣ってしまうのでは、建て前と本音があまりに違い過ぎて、順法精神を削ぐ結果になるので、よろしくない。今の自衛隊は誰が見ても違憲の存在。だから、憲法を変えるというのが改憲論者の勝谷、宮崎さんたち。だから、自衛隊を無くして憲法の状態に戻すというのが赤いジャケットの原さん。私は、押し付けというのなら選び直して、今度こそ胸張って日本国民が選んだ平和憲法といえるようになればいいな、と思っています。


天木さんは、「自衛隊」はアメリカが日本を武装解除しておきながら、朝鮮戦争を切っ掛けに日本の再軍備を図ったとき、憲法上、軍隊は持たせられないから苦肉の策で「自衛隊」としたもので、戦後の日本の歴史を現わした世界に類例のない呼称。ヒョッとして将来、憲法前文の世界の理想を先取りした平和な時代が実現するかもしれないので、今のままの憲法で変える必要はないという意見で、これは元共産党の筆坂さんとも同じ考えのよう。

自衛隊を論じるとき、日米安保条約とはセットなので、どう考えるかは避けて通れないとして、天木さんが安倍さんに質問。「日本は安保条約ではアメリカから守ってもらえない事がハッキリしてきたが、どう思うか」という質問に、安倍さんは「日米同盟は日本が、世界の平和のために共同で何ができるかを考える、より積極的なもの」。要するに「守ってもらうなんてことより、アメリカのために積極的に何ができるかを考えて行動することが世界の平和のためだ」という風に聞こえた。 

アメリカが今なお軍事大国で日本はその核の傘のもとで「平和」でいられた、というのは分かっていても、だから、それが未来永劫絶対とは思えない。かえって、アメリカと日本が運命共同体だと思い込む方が危険なのでは。敗戦直後からアメリカの反共軍事戦略に組み込まれてしまったことは仕方がなかったとしても、冷戦が終った今、独自の政治的立場を取る可能性は持つべきだし、そのための努力をすることが日本が真に独立した国であることを世界に証明できる道ではないかしら。


憲法の問題は、勝谷さんと同じで、私ももっと国民的な議論が活発になればよいと思います。
62年も経ってガタがきている、古くなったから現状に合わせて変えればよい、という論には、憲法ではなく法律で十分対応できるということで一致できたようだから、後は、9条の問題。
これも、押し付けられたから、与えられたからという論に対しては、天木さんの言う、戦後の日本の運命そのものが凝縮された結果と受け止めて、あえて「改憲」する必要はないと言う考えも一理あるような気がしてきました。

改憲」と言っても、勝手な解釈で軍事力が持てないように憲法でハッキリさせるという平和論者もいれば、「護憲」と言っても、今のまま解釈によって、日米同盟強化、海外派兵だって法律でやってしまえるという立場の人もいる。議論がいつまでもかみ合わない、また、紛らわしい「改憲」か「護憲」かよりは、「自立した日本の安全保障はどうあるべきかが問題」だということが分ってきました。

独立国なら自前の軍隊をもって当然だというのは大いに話しあう必要がある大切な問題点だと思います。
安全保障上、「独立国なら」という仮定が成り立たないのが日本の現状であるからです。
この仮定を夢の現実=フィクションにして「国軍を持つべきだ」と主張するのは現実的ではないと思います。ということは、「自立した日本の」もメルヘンだということです。

戦後60年以上も経ってまだ「独立」「自立」した国とは言えない情けない、という思いが先立って、どうしても陥ってしまうのがこの問題。しかし、ここは現実的になる必要があります。
プロジェクトJAPANでも語られていたように、サンフランシスコ講和条約で日本は同時に日米安全保障条約にも調印しました。その後、アジアの共産主義勢力に対抗して自衛隊をもたされ、日本丸ごと米軍基地化しています(首都圏に外国の基地がある)。それが言い過ぎだとしても、沖縄は丸ごと米軍基地です。そして、冷戦が終った今、アメリカの考えは「世界の平和」のために日本が「自立した国」の役割を共同で果たすことです。

安倍さんの考えでは全くこの路線に自ら乗っかっていくことに繋がります。ここは冷静に日本人として今の安保体制下、日本の平和はどうあるべきか、日本が本当に世界の平和に貢献できる道は何なのか、を考えなければ。そう考えると、今「9条を守る」ということが、別の意味を持ってきます。勝谷さんが原さんに向って「アメリカ嫌いなのに、アメリカが与えた9条が何で好きなん」とカラカッテいましたが、アメリカはすでに9条を廃棄して日本も自前の軍隊を持ってアメリカと一緒に共同の敵と戦うべきだと考えています。ソ連崩壊後のアメリカの変化を見落としてはいけないと思います。軍事的に安保体制下にあって自立できていない日本が、日本がしたくない戦争をしなくて済む方法は、かつてアメリカが日本に与えた9条を逆手に戦争しないことです。

安倍総理の時の2年前、平成19年に、国民投票法が成立、来年22年5月18日には施行されます。
4月からこの法律を宣伝するパンフレットが500万部、公共施設の窓口に置かれているそうです。
手続き上、来年以降、憲法改正が可能になるわけです。


ところで、今日、5月4日は、「みどりの日」だそうです。
以前は、天皇誕生日の4月29日が「みどりの日」でした。それが、知らないうちに「昭和の日」になって、
5月4日が「みどりの日」に。変ったのは2年前だといいます。
大事な憲法もこんな風に気づかない内に変えられてしまっては大変です。まさか?と思いますがしっかりしましょう。それと、憲法は、守らなければならないのは国民ではなくて国(役人)の方だということも改めて肝に銘じておきましょう。と自分に言い聞かせています。