ウクライナの今が福島の未来にならないために

9月23日(日)夜10時から放送されたETV特集「シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告」
「第2回 ウクライナは訴える」が放送されました。
内容をNHKのホームページからダイジェストで:(引用先http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2012/0923.html)(色字by蛙)

2012年9月23日(日) 夜10時
2012年9月30日(日) 午前0時50分 再放送
シリーズ チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告「第2回 ウクライナは訴える」



去年4月、チェルノブイリ原発事故25周年の会議で、ウクライナ政府は、汚染地帯の住民に深刻な健康被害が生じていることを明らかにし世界に衝撃を与えた
チェルノブイリ原発が立地するウクライナでは、強制避難区域の外側、年間被ばく線量が5ミリシーベルト以下とされる汚染地帯に、事故以来26年間、500万人ともいわれる人々が住み続けている。
公表された「Safety for the future未来のための安全」と題されたウクライナ政府報告書には、そうした汚染地帯でこれまで国際機関が放射線の影響を認めてこなかった心臓疾患や膠(こう)原病など、さまざまな病気が多発していると書かれている。
特に心筋梗塞狭心症など心臓や血管の病気が増加していると指摘。子供たちの健康悪化も深刻で2008年のデータでは事故後に生まれた子供たちの78%が慢性疾患を持っていたという
報告書は事故以来蓄積された住民のデータをもとに、汚染地帯での健康悪化が放射線の影響だと主張、国際社会に支援を求めている


今年4月、私たちは汚染地帯のひとつ、原発から140キロにある人口6万5千人のコロステン市を取材した。この町で半世紀近く住民の健康を見続けてきた医師ザイエツさんは、事故後、目に見えて心臓病の患者が増えたことを実感してきたという。その原因は、食べ物による内部被ばくにあるのではないかとザイエツさんは考えている。予算が足りず除染が十分に行えなかったため、住民は汚染されたままの自家菜園で野菜などを栽培し続け食べてきた。また汚染レベルの高い森のキノコやイチゴを採取して食用にしている
学校の給食は放射線を計った安全な食材を使っている。しかし子供たちの体調は驚くほど悪化。血圧が高く意識を失って救急車で運ばれる子供が多い日で3人はいるという。慢性の気管支炎、原因不明のめまいなど、体調がすぐれない子供が多いため体育の授業をまともに行うことができず、家で試験勉強をして体調を崩すという理由から中学2年までのテストが廃止された。
被ばく線量の詳細なデータはなく、放射線の影響を証明することは難しいが、ウクライナの汚染地帯で確かに人々は深刻な健康障害に苦しみ、将来に不安を抱えながら暮らしていた。
しかしIAEAをはじめとする国際機関は、栄養状態の悪化やストレスなども原因として考えられるとしてウクライナの主張を認めていない放射線の影響を科学的に証明するには被ばくしていない集団と比較しなければならないが、住民の被ばくに関するデータも、被ばくしていない集団のデータも十分ではなく、今後も証明は困難が予想される。
国際社会に支援を訴えながら、放射線の影響とは認められていないウクライナ健康被害チェルノブイリ原発事故から26年たった現地を取材し、地元の医師や研究者にインタビュー、ウクライナ政府報告書が訴える健康被害の実態をリポートする。

「ランスケダイアリー」さんの<秋彼岸/ウクライナから「未来のための安全」>でもこの番組を取り上げて感想を記されています。:(http://blog.goo.ne.jp/toshiaki1982/e/48c3507bb70a9227766be14547ca17e2
<この番組を観て、無力感に苛まれた。特に後半のチェルノブイリ現地で実態調査をしてきた(日本の)若い研究者の「現実をみてください」という訴えに、原子力関係の学者が「科学的根拠がない」とICRPやIEAEの公式見解を相変わらず振りかざし退ける姿には暗然とさせられた。現実に放射線量が年間5msv以下の低線量被曝地域において、あきらかに異常を訴える夥しい数の子供たちが存在するのに、「科学的根拠がない」、「栄養不足やストレスによるものだ」と退ける科学という名の非情>と嘆いておられます。
若い研究者というのは獨協医科大学准教授の木村真三氏(「ネットワークでつくる放射能汚染地図」に出ていた若い科学者)。「増加傾向にある放射性物質と関連する科学的根拠がない」と断言したのは長崎大学の長瀧重信名誉教授です。そして長瀧教授の断定がそのまま会議の結論になり細野大臣に放射能汚染と関係ないという報告書が手渡されます。同席している科学者の方たちはダンマリです。日本の組織決定の悪しき傾向が福島の子どもたちの健康を損なっていても誰も責任を感じないで済ませてしまう現場です。

さて、ランスケさんも取り上げている福島の問題を「小海キリスト教会牧師雑感」さんでも見つけました。(http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20120924/p1

チェルノブイリの25年前の今の福島がウクライナ報告にならないために是非知っておきたいです。(ぜひ署名も!)

 毎日新聞は8月26日に福島県の子どもたちの検査の結果、今年3月末までに受診した3万8114人のうち35.8%にあたる1万3646人で結節(しこり)やのう胞(液体がたまった袋状のもの)が見つかり、186人が2次検査の対象となった発見されたことに関する記事をとりあげている。(9月11日に発表された検査では、さらに43パーセントに増えている。ちなみに2000年に放射能汚染のない長崎での同様の検査結果では0.8%である。)この記事の末尾に福島県立医科大学副学長山下俊一氏のインタビューがあり、こんなくだりがあった。



記者:放射線の影響をどう判断するのか。



山下俊一:小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。


http://mainichi.jp/select/news/20120826k0000e040108000c8.html



 山下俊一氏の使命感は目の前のこどものいのちを救うことではなく、国家財政の崩壊を救うことにある。たしかに国家財政の破綻は保健行政の破綻にもつながり、ひいては多くの国民の健康被害にもつながりうるのだという理屈である。氏は、医師にではなく政治家になるべきであった。そういうところが福島県知事に見込まれて長崎から呼ばれたのであろうけれども。



 このごろ、民主党代表選、自民党総裁選で候補者たちが、ひとりの国民も住んでいない尖閣諸島がらみで、「・・・国土と国民の生命・財産を守るのが国家の使命」とかいうセリフを、福島の子どもたちをほうっておいて勇ましくしゃべっている。


 医者は医者であってほしい。・・・ああ、牧師は牧師であってほしい、と言われますね。


★先日もお勧めしましたが、読者に下記の署名をお願いします。
 3.11以後、最悪の健康被害の発表「女子小学生の54.1%、女子中学生の55.3%に『のう胞』発見」


http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2012/09/blog-post_3009.html?spref=fb


オーストラリアのヘレン・カルディコット医師の警告。

「この子ども達は追跡調査をしてる場合じゃありません。のう胞や結節などの全ての異常は直ちに生体組織検査をして悪性であるかを調べるべきです。 こういった甲状腺異常が1年も経たないうちに現れるというのは早過ぎます。普通は5〜10年かかるものです。これは、子供達が大変高線量の被ばくをしたことを意味します。もしも悪性なら、甲状腺の全摘出が必要です。子供達に甲状腺結節やのう胞があるのは、まるで普通ではありません!」 

「子どもたちを福島原発事故による被ばくから守るため、集団疎開の即時実現を求める署名のお願い」

趣 旨

本年9月11日、福島県の子どもの甲状腺検査で3万8千人の中から初めて1人が甲状腺ガンと診断されました。通常なら子どもの甲状腺ガンは百万人に1人と言われています(山下俊一「放射線の光と影」(2009年)536頁1〜2行目)。また、今回発表の4万2千人のうち43%もの子どもに「のう胞」が見つかりました(特に6〜10歳の女子の54.1%、11〜15歳の女子の55.3%に「のう胞」が発見。これは、福島県放射線健康リスク管理アドバイザー山下俊一氏が、2000年に長崎の子どもを検査した結果(0.8%にのう胞)や、事故から5〜10年後のチェルノブイリの子どもを検査した結果(0.5%にのう胞)と比較しても、途方もなく高い数字です。明らかに福島の子どもたちに異変が発生しています。このままいくと、福島は健康な子供が2割しかいないという今日のベラルーシウクライナのようになってしまいます。これは政策問題ではありません。危機に瀕している命を救うのか見殺しにするのかという人権の根本問題です。政府は,「命こそ宝」という政治の原点に立ち帰り、チェルノブイリの教訓から学んで、今すぐ、福島の子どもたちを安全な地域に逃がすべきです。
要求事項
子どもたちを空間放射線量が年間1ミリシーベルト以下の環境で教育を実施することを求めます。

●●●署名は9月28日まで:コチラで<http://fukusima-sokai.blogspot.jp/2012/09/blog-post_14.html