女たちの「原発ゼロ」アクション(2)

日曜日、前日から沢登りに出かけた夫の帰りが遅くなると連絡が入り、先に息子と二人で食事を始めました。
息子が「情報源は複数持ってないとダメだな。ヤフーなんて脱原発の意見は徹底的に避けてるからな〜。だいぶ推進派の資金が入っているのかな〜」と言い出しました。「ニュートラルでいよう、中庸でいよう、というのは、よっぽど色んな意見を聞いた上でのことやな〜」とも。
「そりゃ〜そうじゃない。右から左までの考え方が分った上での中庸ということだから、情報源が1つとか限られていたのではね〜。でも、そういうことに気付かずに自分は中庸と思っていることが危険よね」と私。
「鉢炉さん、辞めちゃうみたい。経産省原発ゼロにするとハッキリ言ったことと関係あるかもね」、「そら、あるやろ〜」。
月曜になって、代わりがあの枝野さんだから、やっぱりね〜。フランスでも核廃棄物施設で爆発があり1人死亡とか。若い世代の脱原発は迷いがないです。ともいえないですね、先日のマイケル・サンデルさんの白熱教室、日本人のエリートたち(3歳の子供のいる院生の母親を除いて)変なクールさがとても気になりました。経済効率だけで現実を捌いていく考え方が中国やアメリカの学生たちとも違った不気味な?クールさでした。


さて、「女性のひろば」から、「原発ゼロへ! 私のアクション」、2回目は落合恵子さんです。
1945年生まれの落合恵子さんは一つ年下。執筆活動だけでなく、こどもの本の専門店・クレヨンハウスなどを主宰。
「さようなら原発」の呼びかけ人でもあります。

落合恵子さん(作家) やわらかなつながりを広げて


私の世代はスリーマイル島の事故も知っていますし、チェルノブイリもついこの間のような記憶があります。先日、 甘蔗(かんしゃ)珠恵子(たえこ)さん(『まだ、まにあうのなら』の著者)が、チェルノブイリの当時、私が「知らされなかった、知らそうとしなかった、知ろうとしなかった、そのつけをひとりひとりの私が自分で背負うことからしか再びの一歩をふみだすことはできない」というメッセージを書いていたとご連絡いただきました。私自身は忘れていたのですが、読み返して、当時のことがより鮮やかによみがえってきました。チェリノブイリ事故の後、エネルギー問題の学集会をクレヨンハウスで始めたり、脱原発の本を特集したり、さまざまな活動をしてきました。でも、その後、憲法や格差などさまざまな問題にとりくむ中で、どこかで原発に向かう気持ちがゆるくなっていたのではないかというとても大きな反省があります。それは痛感などという言葉では言い表せないほど、本当に無念な思いでした。


世界の何処でも二度と起こしてはならないと思った事故が日本で、福島で、起きてしまった。それは、どこに責任があるのか。国策で進めたことですし、電力会社の責任も大きい。彼らに比べたら責任の重さはまったく違うとはいえ、それをどこかで気付きながらもすぎてしまった私たち一人ひとりも自分の責任を考えることが大切ではないでしょうか。


”3・11”後、「原発とエネルギーを学ぶ朝の教室」を始めました。専門家を迎えて、みんなで意見交換しながら学んでいます。そこから新しい形の柔らかな活動のようなものがうまれていったらという思いでやっていますし、現実にネットワークが生まれています。


「私たちは変わらなきゃ」。それとあわせて大事なのは、自分たちだけが変っても、相手が変らないと何も変らないということ。だから相手も変えていく。原発に依存してきたエネルギーのあり方そのものを問い直していくということも大事なのです。


一人ひとりが自分で考える。自分で選ぶ。自分で立ち止まる。自分で再び一歩踏み出す。それが今、必要だと思います。
「さようなら原発」のアックションがスタートして私も呼びかけ人として入りました。大江健三郎さんや澤地久枝さんたち大先輩が加わっています。いろいろな立場や考え方の人たちが、違いは違いとして残しながら、原発はもういらないというゴールを大事にしてやっていく。集会につどい、学び、署名を集め、並行して自分の暮らしを大事にし、そうやってやわらかくつながっていくーーーそれが基本だと思うのです。


「知らされなかった、知らそうとしなかった、知ろうとしなかった、そのつけをひとりひとりの私が自分で背負うことからしか再びの一歩をふみだすことはできない」という落合さんのメッセージ。チェリノブイリの時だということですが、今でも少しも古くない、ということが、悲しいです。
でも、私も確かに、「知らされなかった、知ろうとしなかった、そのツケを背負う」ところからスタートするしかないと思っています。
そして、今度は、「知らそうとしなかった」という悔いが残らないよう、一歩一歩・・・

★2枚の写真は"季気HOUSE"のお庭で 
◎「さようなら原発1000万人署名」については:http://sayonara-nukes.org/shomei_faq/