「プルサーマル計画とMOX燃料」(小出さんに聞く)

ここ1か月ほど、風邪気味が長引き6月は1度もプールの水中歩行には行けずで終わりそうです。雨が降る前だったか庭に出ていると母が「撮って撮って」と声を掛けています。母の親友にもらったという「雨だれ草を写して」ということでした。いつも訪れているブログさんで「ゼフィランサス」という名前だと知りました。6月になると咲き出す花で「雨だれ草」でも良い名前です。
さて、昨日、関西電力株主総会が神戸市で開かれました。読売新聞夕刊によりますと「原発の新規制基準の施行が7月8日に迫る中、電力会社側は原発の再稼働に理解を求めるとともに、電気料金の値上げを回避するため、一段の経営改革を進める考えを示した」。

 関電の総会は株主1264人(午後1時現在)が出席。八木社長は電気料金の値上げについて、「お客様の生活や産業活動に多大の負担をおかけしており、改めて深くお詫び申し上げる」と陳謝した。その上で、高浜原発3,4号機(福井県)など保有する原発の早期再稼動に意欲を示した。
 合計で9・37%(議決権ベース)の株式を保有する大阪市京都市は、取締役の報酬を個別に開示するなど6議案を共同提案したほか、大阪市が「可及的速やかに全原発を廃止」など5議案、京都市が「原発に依存しない供給体制の構築」1議案を、それぞれ提案した。午後の採決でいずれも否決された。 
 今年は、大阪市の橋下市長は出席を見送ったが、京都市、神戸市の両市長や、兵庫県の井戸知事が出席した。「脱原発依存を経営方針に明確に位置づけるべきだ」(門川京都市長」などと要求したが、八木社長は「重く受け止める」と述べるにとどめた。
 井戸知事は総会会場で記者団に対し、「脱原発を一つの電力会社に求めるより、原発依存度を下げていく方向に向かうのがよい」と指摘した。

テレビのニュースでは、出席した株主へのインタビューで「福島級の地震が来ても大丈夫と会社側は何の根拠も示さず声を大にして言っているだけ」「モラルが落ちている」とガッカリしている人もいますが、「油代で電気料金が上がるから原発は絶対必要」と話す株主も。
ところで、この関電は、プルサーマル発電の高浜原発3号機向けのMOX燃料をフランスから海上輸送して6月中に受け取ることになっています。(本日午後1時半ごろ船が高浜原発に到着のニュース! ) そこで、プルサーマルとは? MOX燃料とは? について「小出裕章(京大助教)非公式まとめ」の6月22日「 一番始めから平和利用と標榜しながら実はプルトニウムを持ちたかったというのが自民党の狙い」(ラジオフォーラム「小出裕章ジャーナル」)からの記事をコピーしてみます。引用元はコチラ:http://hiroakikoide.wordpress.com/2013/06/22/radioforum-2013june22/#more-6120

◆西谷
え〜、小出さん、今日はですね〜、あのプルサーマル計画とMOX燃料、この〜特集をしたいと思うんですが〜、関西電力がですねぇ、高浜原発3号機で導入されてるプルサーマル向けのですねぇ、いわゆるMOX燃料、プルトニウム・ウラン混合酸化物ですね、これをフランスから海上輸送していてですねぇ、え〜、6月下旬にですねぇ、日本に到着すると発表しているんですよねぇ。◆ もしかすると、この放送がオンエアされてるときにはもう日本に着いてるかもしれないわけですがぁ、ここでちょっとリスナーから質問が来ております。 48歳女性からの質問ですがぁ、現在日本に運ばれているMOX燃料やプルサーマル計画について、もう一度詳しく教えてくださいということなんですがぁ、先生どうでしょうか、これ。


◆小出
はい、え〜と、プルサーマルという名前ですけれども、プルというのはプルトニウムのことです。
サーマルというのは、いわゆる熱という日本語。つまり、プルトニウムを現在使っている普通の原子力発電所で燃やしてしまおうという計画のことです。

◆西谷
あの普通の原子炉は、え〜、ウランを燃やすということで設計されているけれども。その普通の原子炉でプルトニウムを混ぜたもの、つまりMOX燃料を燃やすと。

◆小出
もちろん危険は増加します。

◆西谷
ただでさえ危険な原子炉に、更に危険度をアップさせて、この〜〜〜無理矢理プルサーマルをするというのは、やはり、プルトニウムを燃やさないと都合が悪いということでしょうか。

◆小出
そうです。
プルトニウムというのは原爆の材料だった物質なのです。
え〜、それをこの日本という国は、原子炉で燃やすということをずっと言ってきました。
ただし、その原子炉と言っても、普通の原子力発電所プルトニウムを燃やすというのは今聞いていただいたように危険なことなのであって、日本というこの国が言ってきたのは高速増殖炉・・・◆日本ではもんじゅというまあ実験炉というかちいちゃなものを作ろうとして未だに動いてもいないのですけれども、そういう形の原子炉で燃やすための燃料だとして、イギリスとフランスに頼んで、日本の原子力発電所で生まれたプルトニウムを分離して取り出してもらってきたのです
しかし、もんじゅはもちろん動いていませんし、ほかの高速増殖炉も1台もありませんので、分離してしまったプルトニウムを燃やす手段が日本では無い、のです。
え〜、それなのにプルトニウムは原爆の材料なわけですから、日本というこの国が使い途のないプルトニウムを取り出してしまって懐に入れてしまったという状態になっているのです。

◆西谷
ということは、国際社会は、これはあなたのとこ核兵器を作るつもりなのかと疑われないためにも、燃やさざるを得ないということですか

◆小出
そうです、そうです。
リスナーの皆さんは、この日本という国がいわゆる世界のほかの国々からどのように見られているかということを、どうお考えになっているかなと私は思いますけれども、世界の国々は日本というこの国がそんなに立派な国だとは思っていないのですね。
何十年か前までアジアの国々に侵略をして、たくさんの人々に苦難を味合わせた国だったわけですし、今現在も平和利用だと言いながら、原爆材料になるプルトニウムを着々と懐に入れてきて。
◆西谷
確か40トンぐらいあるとか。

◆小出
はい、現在45トンあって。それで長崎の原爆を作ろうとすれば、4000発も出来てしまうというほど既に懐に入れてしまっている。
◆西谷
だから、自民党の石破さんがね、プルトニウムは持ってるだけで、あの潜在的なあの抑止力になるとおっしゃってたもの。

◆小出
そうです、はい。あの〜石破さんもそうですし、まあ自民党というその政党が日本の原子力をずっと進めてきたわけですけれども、一番始めから平和利用と標榜しながら実はプルトニウムを持ちたかったというのが彼らの狙いだった、のです。 え、そんなことをでも世界の国々が許してくれるわけはないわけで、日本の国は使い途のないプルトニウムは持たないという国際公約をさせられた

◆西谷
ということは、無理矢理でもプルサーマルやっとかないといけない。
◆小出
そうです。
もうどうにもならなくなって、危険なことは承知だし、やればやるだけ経済的に損をするというのも分かっているのですが、もうどうしようもなくなって燃やすしかない、危険を承知で普通の原子力発電所で燃やしてしまおうというところに追い込まれてしまったのです。

◆西谷
あのね、先生ね、このMOX燃料を本来なら日本で作れると僕は思っていたんですが、フランス・イギリスに頼んでいるということは、日本の技術では作れないということですか

◆小出
もちろんそうです。
元々使用済みの燃料というものが原子力発電所から出てくるのですけれども、その使用済みの燃料の中からプルトニウムを取り出すという作業を私たちは再処理と呼んでいます。
え〜、その仕事というのは、原爆材料になるプルトニウムを取り出すために、どうしてもやらざるを得なかったから開発された技術、です。
で〜、核兵器保有国はもちろん皆再処理ということをやったのですが、再処理工場の周辺では猛烈な環境汚染をどこの国でも起こしています
たいへん危険な技術で、日本という国でも六ヶ所村でやろうと今しているのですけれども、え〜、日本というこの国の手には負えないということで、なかなか動くこともできないのが現在なのです。

◆西谷
困ったことになってますねぇ。
あともう一つですねぇ、使用済み核燃料棒が非常にあの〜処理がね、ガラス固化体にしてとかいうことなんですけど、普通の原子炉から出てくる使用済み核燃料棒と、プルサーマルから出てくる使用済み核燃料棒は、やっぱり違うんですか。

◆小出
違います、はい。一度プルサーマルということをやってプルトニウムの燃料を燃やしてしまいますと、私たちが超ウラン元素と呼んでいる特別に寿命の長い放射性物質が。

◆西谷
超ウラン元素

◆小出
超ウラン元素というのですが、ウランを超えるというようなヤツですね、はい。
あのウランというのは自然界にある一番重たい元素なのですけれども。

◆西谷
そうか、プルトニウムは超ウランですよね。

◆小出
そうです。
プルトニウムも超ウランですし、プルトニウムよりもっと重たいキュリウムとかそういうような原子核がたくさんその〜使用済み燃料の中に貯まってきてしまうのです。 それ、取り扱いがたいへん厄介ですし、寿命が長いので、再処理をするにしても、ガラス固化にするにしても、今までやってきたような時間の長さでは到底できないで、何十年もまずは原子力発電所の中で冷やしておかなければいけない。

◆西谷
またこれ、子々孫々までツケを後回しにするということですね。

◆小出
そうです。
日本にある、あるというか作ろうとしている六ヶ所の再処理工場ではプルサーマルの燃料を再処理することすらができませんので、え〜どうしていいかまったく分からないものをまた生み出してしまうということになります

◆西谷
先生、すみません、聞いてたらアタマが痛くなってどうしたらいいのか分からないという、そのどうしたらいいのか分からないということが分かりました。