集団的自衛権行使容認は徴兵制につながるか?(そもそも総研7/10)

7月1日に閣議決定された集団的自衛権行使容認、これがまさか戦争につながるとは思えない、これがまさか徴兵制につながるとは思えない、と考えている方も多いかもしれません。後藤田さんが「蟻の一穴」と言われたことが、なかなか現実感を伴って響かない・・・とすると、それだけ第2次世界大戦の日本の戦後が遠くなったことなのかな〜と思います。ところで、そうじゃなかったんじゃないの?というのが、10日のモーニングバード、玉川徹キャスターの「そもそも総研」でした。最後の部分を省略し、適当に端折りながら書き起こしてみます。

そもそも[集団的自衛権]の先に本当に[徴兵制]はないのか?

◎政治家の中で「集団的自衛権」は「徴兵制」に結びつくと発言している3人を取り上げて説明。
自民党の例の村上水軍の末裔の村上氏と元自民党の野中氏。
そして民主党の枝野氏。それぞれ、徴兵制につながると発言。
一方、安倍首相は、否定。
その根拠が、憲法!というところが、??
憲法に書いてあっても解釈で変更できるという首相の言うことですから
全く信用できません。
が、まずは、根拠となる憲法第18条とは?です。
そもそも平和憲法で出発した日本の現憲法に交戦権のある軍隊は認められていないという前提ですので、「徴兵制」という言葉が憲法の中にあるはずがないのですが、
自民党は、この18条の「意に反する苦役」が徴兵にあたると考えて、『憲法は徴兵制を禁じている』と「解釈」しているんだそうです。
こんなの誰かさんが聞いたら気を悪くするんじゃないの?と思ったら、その誰かさん、キッパリ、オカシイ!と発言されています。番組でも取り上げられましたのでお楽しみに。
それでは、前置きが長くなりました。書き起こしスタートです。内閣法制局長官坂田雅裕氏に玉川キャスターが聞きます。
玉川:今、集団的自衛権行使容認だという解釈変更ができるんだったら、その先には徴兵制があるぞという話が、今、出て来ているんですけども、国の法律のトップを務められた立場からして、どう思われますか?
坂田雅裕:政府は我国で徴兵制を取ること、これは憲法18条との関係で出来ないと理解してまいりました。18条では、『意に反する苦役』を強制されることはないと書いてある。徴兵というのは、当然のことですが、みんな喜んでいく人ばかりではなく、イヤだと思っている人も義務として行かざるを得なくなるわけですが、それは”意に反する苦役”に相当するというのが、(今までの)政府の考えでございます。
玉川:9条に関しての解釈がああやって集団的自衛権行使ができるということになれば同じことが徴兵にも言えたりするのではないですか。
坂田:そうですね。もっとできる変えやすいと思います
玉川:変えやすいですか?
坂田:ええ。憲法9条は自衛隊が発足してから60年間ずっと政府は同じことを ― とにかく自衛隊は合憲だと我が国が攻撃された時に守るための専守防衛の組織なんだから海外に出かけて行って武力行使することはできません、これは歴代総理が繰り返し仰ってきたことなんです。それでも一内閣の判断で(憲法解釈)を変えることができるということですからこの9条に比べますと憲法18条と徴兵制の関係なんてほとんど議論されていませんのでね、積み重ねの厚みが違う。(集団的自衛権より)もっと簡単にある内閣が決断すれば変えることができる。
玉川:今までいわゆる徴兵制と憲法の関係の話というのは国会での話というのはないんですか?
坂田:少しはありますよ、もちろん、自民党の幹事長をなさっている石破議員などは、徴兵制というのは”国を守る””その国民としての責任”というか”職である”と、それを徴兵制を苦役というのはオカシイというような議論を展開されていることはあります。
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2002年5月、衆院憲法調査会の委員会での石破茂議員の発言:「国を守ることが”意に反した奴隷的な苦役”だというような国は、私は国家の名に値しないのだろうと思っています。徴兵制が憲法違反であるということは、私は”意に反した奴隷的な苦役”だとは思いませんので、そのような議論にはどうしても賛成しかねるというふうに思っております。」(この年9月に小泉内閣防衛庁長官
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阪田:石破議員は政策としてそれ(徴兵)がいいと仰っているわけではないのですが、憲法の読み方としてはおかしいというような主張はされています。
玉川:たとえば、自衛隊員のなり手がなくなって、それでもどうしても兵が必要だと…いわゆる状況が変わったらですね、さっき言った”徴兵は苦役ではない”という論理で解釈変更することはあり得るということですか?
阪田:それはあり得ると思います。18条との関係で問題ないという前提で徴兵のための法律を作ることは可能になると思います
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玉川:徴兵が必要となる変化、というのはどういうことが・・・と。今は必要ない、これから必要となる事態が起こり得る可能性がある、政治的な要請が変わるということが。
今回の9条の改変もそうです。国際情勢の変化があったから、9条解釈改変やるんだという話ですよね。そうなると、徴兵が必要となる変化・事態とはどういうことがあり得るのか、と思ったので、元防衛官僚小池清加茂市新潟県)にお話を伺ってきました。
小池清加茂市長:集団的自衛権をひとたび容認しますとアメリカ並みの派兵をしてもらいたいとアメリカから要求が来たときに、これを簡単に断ることができなくなる。そうしますと自衛隊におびただしい死者が出ます。そうなりますと自衛隊に入るという人はいなくなります。いなくなっても防衛力は保持しなければなりませんから、徴兵制を敷く以外、方法がなくなります、したがって徴兵制になる
玉川:防衛官僚をされていたわけですけども、例えば自衛隊員がこれからは戦闘で死ぬこともあり得るということになった場合に、やはりもうそれだったらやらないという人だとか新たにやろうという人が減るということは、これは自明のことなのですか?
小池:自衛隊に入ってくる人たちは祖国防衛のためなら命がけでやってもいいよと、そう思って入ってくるわけです。ところが今度は祖国防衛のためではないわけですよ〜。世界のいろんなところへ派遣されて、そして戦争させられるわけですから、これはもう(自衛隊に)入る人いなくなりますよ。
ナレーション:実際に自衛隊イラクへ派遣されていた間、防衛大の退校者や任官後の早期退職者は増加している。
玉川:防衛大臣経験者とかそういう人に話を聞くと、仮にたとえば海外で戦闘するようになっても自衛隊員は士気が高いから辞めたり新しく入ってくる人がいなくなったりなんてことはないのだという風に言う人もいるのですが・・・
小池:そういう方は優れた指揮官になれませんわね〜。昔から優れた指揮官というものは、部下を極力こらさないのが優れた指揮官なんですよね。自分の部下じゃないですか〜自衛隊員は。可愛い部下を”部下は士気が高いから(戦地へ)行く”なんていうのはですね、言語道断な話でございましてね〜 イラクへ行って帰ってきた方々の歓迎会に私も出ましたけどね、ご家族がおられるんですよ、奥さんがおられて子どもさんがみんな小さいんですよ〜ぉ〜 そんな小さな子どもたちを置いて士気高く海外なんか内心行けるものかどうか〜 私のこういう風に申し上げる発想の原点はですね、私が防衛庁におりましたときの年一回行われる殉職者の慰霊祭でございますよ〜
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入営中や訓練中の事故などで殉職した自衛隊員は、2000〜2013年までで、153人。
この間を平均すると1年間で11人が殉職している。
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元防衛官僚・小池加茂市長:奥さんが小さい子供さんの手を引いて献花するんですよ、その時には私は特に涙がとまらなくて・・・
玉川キャスター:それがこれからは海外の戦争の・・・
小池:そうなんですよ〜日常化するわけですよ、それが。平和憲法があれば何でもないのに。
玉川:先程、アメリカからの要求が断れなくなるというお話がありましたね。
   防衛官僚をされていて、アメリカから要求されたら断れないもんなんですか?
小池:は〜い! 断れません。本当に断れません。

アメリカからの派兵要請を断れない理由とはー

小池:私の実感ですが、本当に断れません。
   アメリカ、その軍事的派遣・ヘゲモニーを握っているだけではなくて、経済的な覇権も握っておるし、さらにヨーロッパに同盟国も多いし、大変な力を握っているわけですよね、そう簡単に断れないですよ。

玉川:今までは断れたわけですよね。
小池:平和憲法がありますから。
玉川:やっぱり憲法のお蔭なんですか?
小池:まったく憲法のお蔭ですね。これはもう私は湾岸戦争の時に本当に実感しました。
玉川:集団的自衛権行使容認ということになると断れなくなるのですか?
小池:そう思いますね。日本が攻撃されていなくてもアメリカ並みの派兵を要求してくるわけですから全然もう平和憲法の歯止めはなくなってしまいます
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憲法18条の解釈改憲があり得るかについて自民党の船田氏に聞くコーナーは省略です。
例えば、徴兵制は意に沿わぬ苦役とは考えない石破氏が総理になったら、変えるでしょう。
安倍首相が集団的自衛権行使容認を解釈改憲して9条のある現憲法の下でも解釈変更できる道筋を開いたのだから、”解釈改憲、あり得ない”と考える方が無理。
聞くまでもないこと・・・・なので、省略です。
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<スタジオでの話し合い>
玉川:安倍総理は紛争地もしくは戦闘地域には自衛隊は出さないと明言しているんですけども、ただ、アメリカから例えばそういうところにも行ってくれとなったら断れるのかということは、すごく心配になってくる。
小池さんは断れないだろう、例えば、ペルシャ湾の掃海艇を出してくれ、今まだ戦闘が終わってないけど出してくれとなって、掃海艇を出せば、機雷を除去すると、それは戦闘行為とみなされ攻撃される―と多くの方は仰っている。そうするとどうなるのかな〜と思うのですが。

女性コメンテーター:7月1日、閣議決定された日に高校3年生の家庭に自衛隊の隊員募集案内が届いた、ニュースにもありましたね、あれを妙にリアルに感じた。戦争に行く人を募集している、という。日常生活ではなるべく物騒なことは考えたくない、徴兵制度? まさか?!と考えている人が多いと思うんですけど、今考えておかないと一寸舵を切った方向が、後々ものすごい方向に行ってるかもしれないので・・・

玉川:今日の結びです。お話を伺って、理論上、理屈の上では、徴兵制につながる可能性があったんじゃないかな〜

羽鳥:皆さん今そんなことはないと、極論だろうという方もいるかもしれないけど、
   可能性としては十分あり得ますよね。
玉川:・・・と思うんですよね。はい、2年、5年前だと、ない!と言えたけども、
   今はもう「ない」とは言えなくなった今日のそもそも総研でした。