池内恵批判「信用できない『専門家』」(泥憲和氏)

「村野瀬玲奈の秘書課広報室」さんの「中東情勢、イスラム国日本人人質事件をめぐる、イスラム専門家であるという池内恵氏への批判三つ (メモ)」より、
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-6250.html

池内恵(いけうち さとし)氏という、アラブ研究者でイスラム政治思想を専門とする東京大学先端科学技術研究センター准教授がいます。その池内氏がイスラム国の人質事件に関して書いた一文があります。イスラムの専門家ということで多くの人が読んだようですが、その論には多くの問題があります。池内氏は2003年のアメリカによるイラク攻撃・侵略の際にもアメリカを支援する小泉自民党政府を支持した人であり、思想倫理上、また、研究の方法論的にもきびしく批判されて当然のものを持っているようです。その池内氏の論、および池内氏の研究の方法論に対する批判を三つ紹介しましょう。

と書かれたブログの中から私も泥憲和という方の批判をコピーしてみます。

泥 憲和


Facebook
https://www.facebook.com/norikadzu.doro/posts/430217410462429


【信用できない「専門家」】


人質事件について。専門家の見解。

池内恵(いけうち さとし 東京大学准教授 イスラム政治思想)
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*今回の殺害予告・身代金要求では、日本の中東諸国への経済援助をもって十字軍の一部でありジハードの対象であると明確に主張し、行動に移している。これは従来からも潜在的にはそのようにみなされていたと考えられるが、今回のように日本の対中東経済支援のみを特定して問題視した事例は少なかった。
*安倍首相が中東歴訪をして政策変更をしたからテロが行われたのではなく、単に首相が訪問して注目を集めたタイミングを狙って、従来から拘束されていた人質の殺害が予告されたという事実関係を、疎かにして議論してはならない。.

 ちがうよ。
 日本政府が対テロ戦で政策変更したから、ISISはそのことに的を絞っているのだ。ISISの声明はいう。
 「日本政府はイスラム国に対する戦いに2億ドルを支払うという愚かな決断をした。」


 これはエジプトでの安倍のスピーチにもとづいている。
イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。」


 日本政府が難民支援を対ISIS政策だと語ったのはこれが初めてだ
 人道支援を超えて、対テロ戦に参画することの表明であり、つまり政策変更だ。
 テロリストは日本の対中東経済支援という一般的な政策にではなく、こういった反ISIS政策に対して反発しているのだ。  
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*2億ドルという巨額の身代金が実際に支払われると犯人側が考えているとは思えない。日本が中東諸国に経済支援した額をもって象徴的に掲げているだけだろう。


 
 経済支援一般を象徴的しているのではない。反ISIS支援の額に合わせているのだ。
 それが証拠に、その他の28億6000万ドルの援助については何も抗議していないじゃないか。
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アラブ諸国では日本は「金だけ」と見られており、法外な額を身代金として突きつけるのは、「日本から取れるものなど金以外にない」という侮りの感情を表している。これはアラブ諸国でしばしば政府側の人間すらも露骨に表出させる感情であるため、根が深い。 


 おいおい、読者が知らないと思って、専門家のくせにいい加減な嘘つくな。
 NATO諸国が自国民解放のためにISISに巨額の身代金を支払っており、そのために身代金相場が高騰したと非難されているのを無視して何を言っているんだ。
 
 昨年のニュースを引用する。
 「2008年以来ISISとアルカイダは、身代金の支払いで125百万ドルを掻き集めていると推定されている。このお金のほとんどは、欧州の政府によって支払われた。」
「今年だけでもISISとアルカイダは、4月に解放した3人のスペイン人ジャーナリスト、そして2週間後に解放された4人のフランス人ジャーナリストのための身代金の支払いを受けていると考えられている。」
http://www.dailymail.co.uk/…/The-grubby-multi-million-dolla…
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*「集団的自衛権」とは無関係である。そもそも集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけである。現在日本が行っており、今回の安倍首相の中東訪問で再確認された経済援助は、従来から行われてきた中東諸国の経済開発、安定化、テロ対策、難民支援への資金供与となんら変わりなく、もちろん集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない。今回の安倍首相の中東訪問によって日本側には従来からの対中東政策に変更はないし、変更がなされたとも現地で受け止められていない。


 どこから突っ込んで良いやら。
 「集団的自衛権と個別的自衛権の区別が議論されるのは日本だけである」?
 ISIS攻撃のためのシリア空爆について個別的自衛権と区別してイラクとの集団的自衛権の行使だと発表したのは米国政府自身だ。


 「従来から行われてきた資金供与となんら変わりなく」?
 対ISIS資金だと表明したのは安倍その人だ


 
集団的・個別的自衛権のいずれとも関係がなく、関係があると受け止められる報道は現地にも国際メディアにもない」?


 そもそも中東訪問それ自体がニュースになっていない。
 また日本が軍事介入するわけではないのだから、その文脈で自衛権発動が話題になるはずもない。
 現時点で集団的自衛権が取りざたされるのは、あくまでも日本の内政においてだ。ピントのぼけたこと書いてんじゃないよ。
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*「イスラーム国」側の宣伝に無意識に乗り、「安倍政権批判」という政治目的のために、あたかも日本が政策変更を行っているかのように論じ、それが故にテロを誘発したと主張して、結果的にテロを正当化する議論が日本側に出てくるならば、少なくともそれがテロの暴力を政治目的に利用した議論だということは周知されなければならない


 
 デマを交えた典型的なかかし論法だ。
 安倍のスピーチは明らかな政策変更だし、挑発だ。
 人道支援である難民キャンプ資金さえも対テロ戦にリンクした馬鹿な指導者がどこにいる。
 どの国もそんなことは言わない。
 今後は難民キャンプのNPOボランティアまで敵と見なされるんだぞ。
 安倍の稚拙な路線で、たくさんの日本人が危険にさらされるんだ。
 そういう当然の予測に基づいた批判を「安倍政権批判という政治目的」だと歪曲して何が言いたいのだ。


 テロは許せない。  私はISISとの戦いはやむを得ないと以前も書いた。
 講演でも「シリア空爆に反対とは言えない」と反発を覚悟で正直に述べている。
 だが、日本には日本のやり方があるだろう。どの国もが暴力に参画するのではなく、調停や和解や再建に力を傾注する国がどうしても必要で、日本はその役割を果たすべきなのだ
 その立場がどうして「テロの暴力を政治目的に利用した議論」ということになるのだ。
 安倍政権のために嘘を交えて「テロの暴力を政治目的に利用した議論」をしているのはそちらじゃないか。

泥憲和氏自己紹介はコチラ:http://radiobondoodle.tumblr.com/post/88373244083
〇「☆句の無限遠点☆」さんの「安倍官邸のテロ人質政治利用は順調に成果を収めている」:http://d.hatena.ne.jp/haigujin/20150125/1422189480
〇「天木直人のブログ」さんから「オバマと安倍を結びつけることになったイスラム国人質事件」:http://www.amakiblog.com/archives/2015/01/26/#003107
〇お隣日記から「野良のかぜ 街のかぜー横山秀夫の「日高のかぜ」通信ー」さんの「首相の中東訪問」:http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20150125/p1