五月・「これから」

「これから」のために     水無田 気流


  
あえて言えば、今この国は「戦時」である。
日本は災害から復興するだけでは足りない。
最大の「敵」は、今まで私たちの日常を覆っていた巨大な無関心である。
それこそが、経済効率最優先で人命や安全性を顧みない社会を生んだ。
だからこれから先は、さまざまな問題と闘わなければならない。
何のために? 未来のために。
それを生きる子どもたちや、
今後生まれてくる無数の子どもたちのために。
全てのこの国の「これから」のために。



(みなした・きりう/詩人、社会学者。1970年生まれ。詩集に「音速平和」(中原中也賞)、「Z境」(晩翠賞)。近著に「平成幸福論ノート」(本名の田中理恵子名で刊行)。(日経5月1日文化面記事より最後のパラグラフから)


PS: 本日夕刊(日経)「20ミリシーベルト 安全ではない」より

福島第1原発事故で政府が、福島県内の小中学校などの屋外活動制限の可否に関する放射線量の基準を、年間20ミリシーベルトを目安として設定した事に対して、米国の民間組織「社会的責任のための医師の会(PSR、本部ワシントン)」が2日までに「子どもの発ガンリスクを高めるもので、このレベルの被曝を安全とみなすことはできない」との声明を発表。PSRは1985年にノーベル平和賞を受賞した「核戦争防止国際医師の会」の米国内組織。
声明は、米科学アカデミーの研究報告書を基に「放射線に安全なレベルはなく、子どもや胎児はさらに」影響を受けやすいと指摘。「年間20ミリシーベルトは、子供の発ガンリスクを200人に1人増加させ、このレベルでの被曝が2年間続く場合は、子供へのリスクは100人に1人となる」として「子供への放射線許容量を年間20ミリシーベルトに引き上げたのは不当なことだ」と批判した。