橋下「扇動」市長と脱原発について

昨日お昼、テレビ朝日の番組でゲストに古賀茂明氏が出演。東電の電気料金の問題の後、関電の問題に。例の大飯原発期限限定の再稼働提案で、橋下市長の真意は?という疑問に古賀氏が答えていました。
古賀さんの説明では、「大阪市には再稼働を止める力はない。ところが、関電・国側は何が何でも再稼動という。このままいけば国と関電は大飯原発を再稼働、なし崩しで他の原発も再稼動という事態に。どうしても阻止したいと思った橋下さんは、夏場の電力不足の解消の為というなら、安全性に問題があるのだから期限付きで動かして、ピークが過ぎた時点で止めるという苦肉の提案をした、しかし、関電・国は期限付きでということは安全性に問題があることを認めることになると察知して、その手に乗らず飽くまでフル稼働とつっぱねた」という説明でした。
橋下氏のブレーンである古賀さんや飯田さんの話を聞いていると、再稼働は電力需給と関係がないと以前から説明されていたようですが?
橋下市長が公の場で提案したことに対して、藤村官房長官がハッキリと「電力需給と関係ない(電気が足りないから動かすのではない)」と宣言したのですから、再稼働の目的は何?ということが問題になってきますが、メディアの追及は余りないようです。
先日の日経の「迫真」コラム「国有東電の軌跡」の3回目「選挙に落ちてでも」によりますと:

 閣僚ではない仙谷が東電・原発問題を仕切る閣僚会合に出席する仕組みは自ら考えた。昨秋、政府が関係者向けに作ったペーパーがあり、そこに2つの閣僚会合の調整役として「インナー会議(3+2)設置(非公開)」とある。「3」とは、経済産業相枝野幸男(47)、原発事故担当相の細野豪志(40)、国家戦略相の古川元久(46)の3閣僚のこと。「2」は閣僚ではない官房副長官の斉藤(66)と仙谷由人(66)自身を指す。
<略>
  かつて東大紛争で全共闘を支援し、米原子力潜水艦の横須賀入港に反対するデモにも参加した仙谷。市民派弁護士で社会党出身という経歴から「反原発」の印象を抱かれがちだが、その素顔は「民主党髄一の現実主義者」(閣僚経験者)である。
 仙谷は国家戦略相時代、「安全な原発はジャパン」と原発輸出の先頭に立った。再稼働の旗を振るのも「東電が本格的な事業計画を作れないと債権・株式市場に響く」からだという。
 周囲には自民党路線への転向とも映るが、仙谷自身は「自民党には大人の知恵があった。それで与党であり続けた」と気にするそぶりを見せない。 仙谷は「誰かがやらないといけない。俺たちは選挙に落ちてでも再稼働しないとな」と漏らしている。(敬称略)日経5月16日

「政権の浮沈を握る東電・原発問題を閣僚でない仙谷に委ねる首相官邸。『丸投げ』批判は避けたいが、増税に加えて原発再稼働という不人気政策で矢面に立つには二の足を踏む。そんな思いを仙谷も受け止める」ともありますので、現政権の原発再稼動は仙谷氏がリーダーであり、その思惑は「放射能封じ込め」や「被災者救済」ではなく、電力会社救済・経済最優先であるといえます。細野大臣も今日「2030年で原発依存15%が妥当」なんて言ってるくらいですので、今の政府は40年寿命の自然廃炉待ちで脱原発を進める気はないようです。安全性の問題も政治判断でうやむやに、使用済み核燃料の再利用がまだ前提のようでもあり、核のゴミの処理問題もそのまま。結局、福島の事故はなかったことのようです。こんなことで本当にいいのでしょうか?

ところで、石原慎太郎東京都知事が一方的に大阪維新の会との連携について発言していますが、昨日の「日本がアブナイ!」さんでは、松井一郎府知事がどうもその気ではないようなという記事が載っていました。(引用先:http://mewrun7.exblog.jp/18046743/

地域政党大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は21日、次期衆院選をにらんで維新と共闘する考えを示す東京都の石原慎太郎知事との連携について、「政策の一致がなければ、個人的に親しかろうとも、一緒に政党活動や選挙運動はできない」と記者団に述べ、慎重な姿勢を示した。

 石原氏は6月にも維新政治塾の講師を務める予定。維新代表の橋下徹大阪市長も、石原氏が6月設立を目指す政治塾に協力姿勢を示している。
 しかし、松井氏はこの日、「講師が行き来することと、連携することは全然別だ」と強調した。
 橋下氏と石原氏は、首相公選制などで政策が一致する一方、「脱原発」をめぐっては主張が分かれるなど、隔たりもみられる。(読売新聞5月21日)』


大阪維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事は21日、石原慎太郎東京都知事が維新の会との連携に意欲を示したことについて「同じ政策を掲げられれば一緒に行動できるが、そこまで行くのが大変だ」と述べ、維新の会代表の橋下徹大阪市長が石原氏の政治塾の講師に出席することと政党間の連携は別問題だと強調した。府庁で記者団に語った。(産経新聞5月21日)』

石原都知事原発推進だと思いますので、その点でも橋下氏が石原氏と行動を共にするということは脱原発姿勢はどうなんだろう?と心配になるので、維新の会が脱原発を明確に掲げてくれればいいのに、と思っています。その点、松井府知事が慎重姿勢というのは安心材料ですが。

ところで、同じ番組では橋下氏のこの問題の後、日刊ゲンダイの記事も取り上げていました。

橋下は『扇動市長』 ワシントンポスト紙が一面で紹介
 23日付の米有力紙のワシントンポストの一面に、「扇動市長の陰に日本の不満」と題して記事を掲載。橋下徹大阪市長への期待が日本で高まっている現状を分析した。
 同紙は、橋下市長は「小さな政府」を志向し、野田佳彦首相と同じくらい知名度が高く、支持率は首相の3倍近いと紹介。
 変革を求める橋下氏の呼びかけは、経済に不安を抱え、増税地震復興、エネルギー政策について決められない中央政府に反感を強める国民の心に響いていると指摘した。

3・11(地震津波)とその後の3・12(原発事故)は、日本が変わらなければというキッカケにしてこそ、亡くなられた方や被害にあわれた方たち、放射能被害進行中の地域に住む人たちが報われるのではないでしょうか。変えなければと強く思います。
政治の世界で脱原発を掲げる政治家の出現を切に望みたいと思います。