「原発ゼロ」あっ気なく・・・そして「規制委」発足

原発ゼロ」、19日、閣議決定されず!
「14日のエネルギー・環境会議(議長・古川元久国家戦略相)で30年代の原発ゼロや原発の稼働年数を40年に限ることなどを柱とした新戦略をまとめていた。当初、次期総選挙後も「白紙とならない」(古川戦略相)ように新戦略本文の閣議決定を目指していたが参考文書扱いに後退させた。」
5日間の攻防というより、支持・歓迎の声は聞こえず、一方的に押し切られて、あっけなく後退・・・です。でも、こんなものでしょうと冷ややかに納得?している私です。政府の言うことは「またどうせウソでしょう」という反応は身から出たサビ、”狼ドジョウ”と言われても仕方がないほど言葉に真実味がなくなっていますし、野党第一党自民党の総裁選で誰一人「脱原発」を言わない。そんな総裁候補がヒョットすると次の総理大臣かも?という日本の政治状況では、まだまだ・・・そう、脱原発の覚悟のほどを見せるのは、まだまだ・・・これからです。
昨日のサンデーモーニングでも「ニュースアップ!」というコーナーで取り上げられ、野田総理が「原発ゼロ」を打ち出したのは党内事情だ、「代表選で菅さんたちグループを取り込むためで、代表選で勝てるとわかったから閣議決定の必要がなくなった」という穿(うが)った見方がされていました。ところが、「日本がアブナイ!」さんでも「民主党代表選の党員投票の郵送締め切りは18日だったとのこと。まさか脱原発派の票欲しさに、18日までは原発ゼロとアピールしておいて、締め切りが過ぎたので、方針を変更したってことはないでしょうね」と書いてありました。ゲストコメンテーターのお一人が、「それはないでしょう、経済界や原発立地自治体、アメリカはじめ海外の反発を考慮してということでしょうけれど・・・」と発言していました。

■左の写真は18日、「原発ゼロは国益を損ねる」と記者会見で反対を表明する経済3団体のトップの皆さん。右から日本商工会議所の岡村会頭、経団連の米倉会長、経済同友会の長谷川代表幹事。経済3団体が揃って政府方針に異を唱えるのは異例。「責任あるエネルギー戦略を作り直すよう強く求める」と訴えた(脅迫した?)。■IAEAの天野事務局長は17日、ウィーン本部で山根外務副大臣と会談し、「再処理やプルトニウムの扱いをシッカリと見ていきたい」と語った。原発の稼働をゼロにするためには、使用済み核燃料の最終処分場を造る必要がある。日本が原発を止める一方、使用済み核燃料の再処理を続けた場合、核兵器の原料となるプルトニウムが日本国内に大量にたまる懸念があるため。■米紙ワシントン・ポストは17日付の紙面で「日本の原発ゼロの夢」と題した社説を掲載し、2030年代に原発ゼロを目指す日本政府のエネルギー・環境戦略について「経済コストや地球温暖化への深刻な犠牲を伴う」などと懸念する見解を表明した。福島第一原発事故によって多くの日本人が危機意識を持ち、日本人が原発がない将来を夢見るのは理解できるとしながらも、代替エネルギーに関する日本政府の説明は「反原発活動家の主張を取り込んだ」実現性の低いものと批判した。原発によって日本が温暖化ガスの排出量をより抑制できる点を指摘し、原発を稼働しておくことの重要性を強調。ただ、社説では今回の決定は単なる政治的なもので、民主党が次期衆院選での大敗を防ぐために強硬姿勢を示したとの見方があるとも指摘した。(以上日経18日夕刊より)
こういう人たちの思い通りになるのか、それとも古川戦略相がまとめた新戦略の方向(基本方針は閣議決定)へ進んで行けるのか、あるいはもっと進んで継続審議になっている脱原発基本法案を決めることが出来るのか、政治家とそれを支持する国民一人一人、原発立地自治体の市町村民・県民の決意にかかっています。

ところで、記録の意味で、日経の19日一面の記事から引用しておきます:

原発ゼロ閣議決定せず/米・自治体の反発に配慮

 政府は19日の閣議で「2030年代に原発稼働をゼロ」とするエネルギー・環境戦略を参考文書としての扱いにとどめ、閣議決定を実質的に見送った。「自治体や国際社会との議論」を通じて戦略を柔軟に見直すとした基本方針のみを閣議決定し、原発ゼロを含めたエネルギー政策に見直し余地を持たせた。原子力施設の地元自治体や経済界、米国などの反発に配慮した。
 政府がこの日、閣議決定したのは「エネルギー・環境戦略を踏まえて、関係自治体や国際社会などと責任ある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら遂行する」との基本方針のみ。

そして、18日、デタラメハルキと呼ばれた斑目春樹委員長が内閣府原子力安全委員会の最後の会合を終え、記者会見。
東京電力福島第1原発事故を防止できなかったことについて、班目春樹委員長は「備えが足りなかった。国民の皆様におわび申し上げる」と語り、経済産業省原子力安全・保安院とのダブルチェック体制に立脚した従来の原子力規制行政は、「あまりにも形骸化していて、実効的でなかった」と総括した。安全委は同日で廃止となり、19日に発足する新原子力規制組織、原子力規制委員会に業務を引き継ぐ。

そして、20日、「日経」朝刊の一面片隅と二面関連記事からです:

原発、一から審査 規制委員長 再稼動は来春以降

 原子力発電所の新たな安全規制を担う原子力規制委員会が19日発足し、田中俊一委員長らが記者会見した。原発の安全基準について、従来のストレステスト(耐性検査)を含む暫定基準は「充分ではない」とし、全原発の審査を一からやり直す考えを示した。新基準つくりには少なくとも数か月かかるとみられ、次の原発の再稼働は早くとも来春以降になる見通しだ。


「40年廃炉」厳格に 敦賀・美浜の3基濃厚  規制委

19日に発足した原子力規制委員会原子力発電所廃炉も厳しく判断する方針を示した。直下に活断層がある原発廃炉となる可能性がある。電力会社の経営に影響するほか、原発の立地自治体の反発も予想される。運転開始から40年以上たった日本原子力発電敦賀1号機、関西電力美浜1,2号機の3基は廃炉が確実と見られ、地元に波紋が広がる公算が大きい。
  

 改正原子炉等規制法では原発の運転期間を原則40年とし、安全ならば最長20年の延長を認めるとしている。だが、田中俊一委員長は「延長は相当困難だろう」と述べ、40年廃炉の原則を厳格に適用する方針を示した。
 福井県美浜町の山口町長は19日、運転開始40年を超えた美浜1,2号機について、「今、廃炉を決めることではなく、原子力規制委員会が基準を決め、その基準を超えられるか事業者が判断することだ」と述べ、直ちに廃炉とする議論をけん制した。

 島崎邦彦委員は「原発の耐震指針は不十分」と発言。活断層についてもより厳しい規制をつくる意向を示した。建屋周辺に活断層がある原発の扱いが焦点となる。複数の断層が連動して動けば、想定より大きな地震を起こす可能性がある。
 断層の危険性はこれまで注目されなかったが、最近の調査で日本原子力発電敦賀原発や、北陸電力志賀原発などの原発直下に断層が見つかった。規制委の新基準を適用すると廃炉が想定より多くなる恐れもある。全国の原発を今年度中に廃炉すると決めた場合、電力業界全体で4.4兆円の特別損失が発生すると経済産業省は試算している。
 

 田中氏らは規制委の「高い独立性」に繰り返し言及し、規制を厳格にする構えだ。自らが「原子力ムラ出身」と批判されたことも意識したとみられる。前身の原子力安全・保安院は、原子力推進の旗を振る経産省資源エネルギー庁の付属機関で、規制と推進が同居。「規制の独立性には限界があった」(更田豊志委員)
 ただ、「独立性」を協調すれば責任も伴う。ある閣僚は「規制委が原発の安全性を判断して再稼働の責任を持つ。内閣にとっては非常に楽」と話す。首相や経産相が負ってきた再稼働の責任を規制委に押しつけることができるという意味だ。

「規制委の委員長、委員になるには国会の同意が必要だが、通常国会では同意を取れなかった。田中氏と委員4人は規制委設置法の附則に基づき、同意なしで野田佳彦首相が任命して就任。政府はまた、19日、細野豪志環境・原発事故担当相に原子力防災担当相を兼務させると決めた。原子力規制委員会発足に伴う措置で、同日の閣議横光克彦環境副大臣内閣府副大臣高山智司環境政務官内閣府政務官を兼務させることも決めた。」
橋下市長が、大飯原発再稼働をどうするかで新組織の正体がわかる、と。解りやすい言い方ですね。どうするか? 注目です。

●上の写真のガラスの蛙。昨日初めてコメントを頂いた方のブログを訪ねましたらガラスのカエルが。今年長浜のガラス館で買い求めたのとソックリ! 
●下両脇の大カエルはSさんの老人施設勤務の息子さんの作品です。広告の紙で作ってあり、とってもリアル!