「問われる放射性廃棄物処分」(日経記事より)

昨日の「わかった! 日揮の特別扱いの謎。」について、政府がそんなことで特別扱いするような会社じゃないよというコメントをいただきました。それで、もう一度読み直してみましたが、私の早とちりの可能性大ですので、お詫びします。気になっていた疑問に応える形の記事になっていたので飛びついてしまいましたが、引っかかったようです。キチンと確かめてからでないとと改めて・・・どうもお騒がせしました。本文にも緑字で追加を入れています。日揮原発、特に核燃料サイクルにも関連した会社だけど、”特別扱い”がその理由によるものと断定するのは・・・?ということです。

1月の新聞切り抜きで気になっているのがあります。日経新聞、1月15日と22日(火曜)の科学技術頁で2回「問われる放射性廃棄物処分」(上下)です。
トイレなきマンションと言われる原発、最大の問題が核廃棄物の処理問題です。今すぐ脱原発をしたところで、核廃棄物の処理という難題が残りますし、推進すればどうしようもない核のゴミが溜まる一方ですから本当にどうするつもり?? 核のゴミのことを考えただけでも原発はダメです。
「上」では「世界初の試みがフィンランドで前進しつつある」として地下深く埋める「直接処分」の地層処分を。その後、27日(日)には、昨年12月記者が取材で訪ねたというフィンランドのオルキルオト島での処分場の大きなイラスト付きの特集記事が。
まず、直接処分のフィンランドの政策について書き写す前に、各国の最終処分計画の表が出ていますのでそれから。
処分場が決まっているのはフィンランドスウェーデンのみ。操業時期はフィンランド2020年代初頭、スウェーデンも「11年に最終処分場の立地・建設申請を事業会社が政府に提出済観、数年内に本格工事が始まる可能性」があり、操業時期は25年頃の計画。フランスとドイツは処分場の候補地アリで、フランスは操業時期が25年頃、ドイツが35年頃。英国は「暫定保管と恒久的な処分の二段構えを予定する」が、選定中となってる処分場の候補地、カンブリア州の州議会が返上を決定。世界的な観光地湖水地方に影響がでては困るからと何日か前のニュースで。時期は40年頃となっていますが、どうなることか? 米国は検討中となっていますが、「ネバダ州ユッカマウンテンの計画が頓挫し、新たな候補地を探すことになった」ので、48年頃という予定がどうなることか?
フィンランドスウェーデン以外はどこも実現できていない処分問題。地球はどうなるのか・・・ですが、頭の整理で記事をフォローしてみます。(上記「」内は記事から)。それでは、端折りながら:

問われる放射性廃棄物処分(上) 北欧で計画前進 地下に密閉、世界に先行


 フィンランドの政策は直接処分だ。昨年末、事業会社ポシバが最終処分場の建設計画を国に申請した。建設地は人口約5900人のユーラヨキ自治体にあるオルキルオト島花崗岩に似た片麻岩の岩盤を掘り抜いた地下400〜500メートルのトンネルに、腐食しにくい密閉容器に収めた使用済み燃料を埋める。
 すでに地下455メートルまで掘った総延長約5㎞の作業トンネルがあり、処分場はこれを拡張する。(完成時のトンネルの総延長は約75㎞)
 「順調なら建設計画の承認は2015年の初めに得られるだろう」とポシバのユハネ・ヴィラ上級副社長は見込む。20年から処分を始め100年間使い続ける予定だ。容量はウラン燃料約9000トン。国内で稼働中の原子炉4基と計画中の2基の使用済み燃料を埋める
 稼働中の4基のうち2基は、同国の電力卸売会社デポシバ株主のテオリスーデン・ボイマ(TVO)が処分場近くで運営する。14年には隣で仏アレバ製の欧州加圧水型軽水炉(EPR)が稼働。15年にはもう1基の建築申請も出す計画だ。
 使用済み燃料を遠くに運ばなくて済むが、原発関連施設の集積を地元がすんなり受け入れたわけではない。「説得ではなく、事業内容をありのまま説明し住民に判断してもらった」(TVOノケーテ・サラバランタ上級アドバイザー)
 使用済み燃料は現在、敷地内のプールに仮保管しており、増え続けている。当初は処分場の安全性を懸念する声もあったが、地下に埋めた方がよいとの考えが広がったという。岩盤は12億〜18億年前に出来過去100万年間に動いた断層はほとんどないとされる点も支持の背景にある

以下は同じく日経の27日の記事より。記事の冒頭部分と後半から:

 オルキルオト島には居住者はほとんどいない。最寄りの市街地は中世の面影を残し、ユネスコ世界遺産に登録されているラウマ。ここから車で森林や農地の間を30分ほど北上すると、レンガやコンクリートの建物が現れる。フィンランドの電力会社テオリスーデン・ボイマ(TVO)が運営するオルキルオト原発だ。地層処分施設ONKALO(フィンランド語で洞窟の意味)も同じ敷地内にある。TVOなどが株主の事業会社、ポシバが建設・運営する。  <略>

 使用済み燃料は処分場の付属施設でキャニスターと呼ばれる専用容器に密閉する。容器は燃料棒を差し込む穴が開いた鉄製の円柱を、厚さ5センチメートルの銅管で覆った構造。縦穴は粘土質のベントナイトで満たし、地下水が近づいても流れをくい止められるようにする。
 今後、実物サイズのキャニスターを運び、ベントナイトなどと一緒に縦穴に埋め込む実験などをする。使用済み燃料は入れないが、実際と同程度の発熱も再現。10年以上かけて、安全な取扱い法など具体的な手順を入念に詰めていく。 
 処分場予定地の近くでは地下約400メートル付近に3本の破砕帯(断層)が北西から南東方向に延びているといい、トンネルはこれらを避けている。周辺の岩盤の強度や地下水の位置などを詳しく分析し、実際に使う縦穴の掘削に適した場所を決めていく計画だ。
 「日本で活断層が話題になっているのは知っているが、ここでは過去100万年間に動いた断層はほとんどない」とポシバのユハネ・ビラ研究担当上級副社長は自信を見せる。
 ただ、フィンランドでもマグニチュード(M)5級の地震の記録がある。氷河期が終わった頃に、雪や氷が解けた影響で起きたとされる。
 5万年後以降には再び氷河期になると考えられ、それが終わる時にはM7級の地震がおきるとの説もある
。「5万年後、10万年後のことでも影響を分析し、備えておかなければならない」(同上級副社長)
 ポシバは昨年12月に、処分場の建設計画を政府に提出した。15年初めにも認可を得て、建設工事を始められるとみている。処分開始は20年代初めを見込む。総コストは約33億ユーロ(約4000億円)
 地層処分構想が初めて浮上した1983年から数えると、完成まで約40年かかることになる。長丁場なだけに、「悪魔は細部に宿る」と気を引き締めている.(編集委員 安藤淳

●●「keniti3545の日記」さんが東京新聞フィンランドの記事を取り上げておられます。また別の角度からの記事を参考に:「どうする核のゴミ<1> 危険とは知らなかった」(http://d.hatena.ne.jp/keniti3545/20130128/1359357980)と「どうする核のゴミ<2> “共存の歴史”が決めた 」(http://d.hatena.ne.jp/keniti3545/20130129/1359455656

「下」は日本の処分問題について、少し端折りながら:

問われる放射能廃棄物処分(下) 進まない国内立地 定まらぬエネ政策影響


 核燃料のリサイクルをめざす日本は、使用済み核燃料の再処理で残った強い放射能を帯びた廃棄物をガラスで固め鉄製容器に入れた上、深さ300メートル前後の安定した地層に埋める計画だ2000年に処分事業主体である原子力発電環境整備機構[NUMO]を設立02年から立地に関心を持つ自治体の公募を始めた。しかし10年間で応募を経て適地化どうかの調査に入れた場所はひとつもない
 ・・・・・ 着実な進展を見せるフィンランドなど欧州に比べて行き詰まり感が強い。「応募だけで自治体に10億円の補助金を出すといった科学的でもなければ正当性も薄い手法を採用したのが誤り」と指摘する関係者もいる。



 政府の計画では20年後の「平成40年代後半」に最初の処分場を稼働させ約4万本のガラス固化体を埋める。計画は5年ごとの見直しが必要で今年3月末が現行計画の改定期限。だが「不確定要素が多く作業に入れていない」(エネ庁)。
 最大の要因は国のエネルギー政策が未確定なことだ。原子力の依存が下がれば廃棄物の量は減り処分場の稼働時期も変わる可能性があるが、これから何基の原発が動くのか予測がつかない。
 日本学術会議は昨年9月脱原発を念頭に廃棄物の総量管理を提唱、処分についても将来の技術進歩を見込み、最終処分ではなくて、あとから取り出し可能な「暫定保管」が望ましいと提言した。山路理事長は「暫定保管で立地自治体の理解が得られるか」と懐疑的だが政府は学術会議の主張を無視できない。
 さらに福島第1原発事故が安易な計画改定を許さない状況を生み出す。事故炉のプールなどから取り出した核燃料をどう扱うか。その貯蔵や処分には、通常の使用済み核燃料とは別の専用施設が要る公算が大きい。
 日本列島は地殻の活動が活発になり南海トラフなど次の大地震が警告される。処分場は活断層を避けて作る計画だが、それが可能なのか。・・・略…(編集委員 滝順一)

◎トイレのないマンションです。これ以上マンションを作り続けることは誰が考えても間違いですね。それよりトイレです。
 処分方法もまだわからない処分ですが、莫大な費用と年数が掛かることは解ります。原発、止めましょう。お金(経費)、大変。