経産省・保安院、根拠のない「安全神話」の罪深し

先週の日経新聞が「原子炉は2度壊れたか」という記事を掲載しましたが、今度は23日(土)の讀賣新聞夕刊の一面左と2面にわたって経産省を追求する記事です。
以前から言われていることですが、讀賣が取り上げているのが不思議?です。
見出しを読んで私は最初「今頃まだ、言ってるの?」と勘違いしました。
3・11以前の経産省のことです。

経産省 原発重大事故 起きない」
震災2年前 不備の指摘 災害拠点 改善怠る


東京電力福島第一原発事故後、放射線量の上昇で使えなくなった原子力災害の対応拠点「オフサイトセンター」(OFC)について、総務省が事故の2年前に放射線防護の不備を指摘したのに対し、OFCを所管する経済産業省が「大規模事故は起きない」として抜本対策を取らなかったことが、同省への読売新聞社の情報公開請求でわかった。当時の基準や対応の甘さが改めて問われそうだ。

オフサイトセンター
原子力災害発生時に、政府の現地対策本部が置かれる施設で、通信設備や事故予報システム端末などがある。1990年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故を契機に商業用原発用に16カ所、使用済み核燃料再処理工業などの原子力施設用に6カ所整備された。

 総務省は2009年2月、経産省に対し、福島第一など各原発から10キロ圏内にある計5か所のOFCに空気フィルターのついた換気設備がなく、屋内に放射性物質流入する危険性があるーーなどと指摘し、改善を勧告した


 情報公開請求で開示された09年3月の文書によると、経産省原子力安全・保安院(当時)は勧告への対応を協議。1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故について、「日本とは原発の安全設計の思想が異なる」とした国の原子力防災指針(当時)を引用し、「(同規模の事故は)日本では想定する必要はない」と結論付けた勧告の半年後には、「放射性物質の放出は短時間で済む」という前提で、「換気を止めて気密性を維持する」との対策総務省へ回答した。原発立地の自治体担当者を集めた会議へ向け「フィルターは必要ない」「施設に不備はない」などと、安全性を強調する問答集も用意していた


 福島原発事故では約5キロ離れたOFC(福島県大熊町)で放射線量が増大し、保安院職員らは事故4日後、約60キロ離れた福島市内へ撤退。同事故後の12年9月、国はフィルター設置などを義務付けたOFCの要件を新設。総務省勧告に沿った対策が進む。旧保安院関係者は読売新聞の取材に、「当時の防災指針には『チェルノブイリと同様の事態になることは極めて考え難い』と明記され、従ったが、大きな誤りだった」と釈明した。

2面に続きがあります:

保安院 根拠ない”安全神話


 原子力災害時の対応拠点「オフサイトセンター(OFC)」に関する読売新聞社の情報公開請求で、経済産業省原子力安全・保安院(当時)内部に根拠のない”安全神話”がはびこっていた実態が明らかになった。現在もOFCの改善は途上で、早期の整備が必要だ。


 福島第一原発事故後、住民避難などの初動対応で混乱を極めたのは対応のかなめとなるべきOFCが機能不全に陥ったからだった。仮に空気浄化フィルターを備えていれば、事故から4日後という早い段階で、OFCを放棄する事態にならなかった可能性が高い。


 福島原発事故を踏まえ、国は、OFCの設置要件を策定。要件では、立地は原発から5〜30キロと定め、放射性物質を除去するフィルター設置なども義務化したが、2月末時点で13道県の全16カ所のうち要件に適合するOFCは1カ所もない。また、海岸近くにある東北電力女川原発宮城県女川町)のOFCが津波被害で壊滅したことから、複合災害に備えることも必要だとしたが、こうした点も総務省が事故2年前の勧告で指摘している保安院に変わる原子力規制委員会は、緊急時に使えない施設を作る愚を繰り返してはならない。(科学部 冨山優介)

総務省の勧告をなぜ経産省保安院は無視することが出来たのでしょう。
原発推進を行ってきたのは経産省のお役人たちで、同じお役人同士でも原子力行政についてはタブーがあったのでしょうか。あるいは原発マネーの効果があったせいのなのか・・・そういうことは一掃されたのか・・・自民党政権でこういったことが改められるのか・・・
まだまだわからないことや、今までやってきたことがキチンと清算されているのか…不明です。マスコミの追及がもっとあっていいと思います。


トップの黄色い水仙は、香りが普通の水仙より強い糸水仙
左はムスカリ。全体では三角錐の形ですが、一つ一つの花は釣鐘型をしています。