高浜原発仮処分決定文と基準地震動700ガルについて

◎14日の高浜原発3.4号機の再稼働差し止めの仮処分決定に対して、<菅義偉官房長官は14日午後の記者会見で、「原子力規制委員会の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりはない。粛々と進める」と明言、自民党稲田朋美政調会長はコメントを出し、「先の衆院選の公約で『規制委の基準に適合すると認められた場合には再稼働を進める』と明記しており、これに沿って対応していく」と表明。細田博之幹事長代行は記者団に「不適切な決定だ」と述べ、地裁の判断を批判した。>と、反発、否定、無視の姿勢です。法治国家が、これほど司法を馬鹿にしている政治を許してはいけないと思います。

◎ところで、「ウィンザー通信」さんが、原発に関する記事を引用されている”守田さん”のブログを訪ねてみました。
最近では高浜原発の14日の福井地裁の決定を滞在先のトルコから知らせる記事の紹介がありました。高浜原発加圧水型原子炉で、作ったのは三菱重工。その三菱が、同じ加圧水型原子炉をトルコに輸出しようとしています。守田さんは、トルコの皆さんに日本の原発を輸入しないように訴える講演のためにトルコに行かれたようです。こんな活動をされている方がおられるのですね。

◎守田さんのブログは、「明日に向けて 福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう」です。
14日、判決が出た日のブログのタイトルは「高浜原発再稼働禁止処分決定!しかも新規制基準を痛烈に批判!」です。「決定文要旨」も案内されていて、コチラで樋口裁判長の決定分を読むことが出来ます。きじゅ

今回の決定、再稼働差止が出されたことそのものが素晴しいですが、内容的にもとても意義が深いです。

というのは決定内容が、高浜原発を動かそうとしている関西電力に対する批判にとどまらず、再稼働を認めた原子力規制庁の新規制基準そのものへの明確な批判になっていることです。


これは昨年5月に同じ福井地裁の樋口裁判長が出した大飯原発の運転差し止め決定と同じなのですが、今回は一歩踏み込んで、新規制基準への批判を前面に押し出しています。僕はこの点が素晴しいと思いました。


決定は以下の弁護団のページから読めるのでぜひご覧下さい。

脱原発弁護団全国連絡会

http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/15-04-14/

決定文要旨

https://dl.dropboxusercontent.com/u/63381864/%E8%84%B1%E5%8E%9F%E7%99%BA%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%9B%A3%E5%85%A8%E5%9B%BD%E9%80%A3%E7%B5%A1%E4%BC%9A/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E8%A6%81%E6%97%A8.pdf

◎ここで、守田さんの解説が入ります。詳しく解り易く判決の内容を解説をされています。
700ガルの基準地震動について、関電側の対応のいい加減さは本当に呆れますが、それを良しとする規制委員会も本当にオカシイ。この部分の解説を取り出して見ます:


2つ目にその700ガルまで耐えられるという主張のおかしさも指摘しています。というのはもともと高浜原発は370ガルを基準地震動として設計されたのでした。ところが今回、「実は余裕をもって作ったのでもっと基準地震動を引き上げても大丈夫だ。550ガルまでは大丈夫なことが分かった」と言ってここまでは何の対応もなしに数値をあげてしまいました。


このため耐震補強など何もせずにただ文言上だけで「370ガルまでは耐えられると言ってきたが実は550ガルまで耐えられることがわかった」と言っているにすぎません。ここが本当に酷いのですが、この点も裁判所はきちんと批判しています。ここまではいわば関電のひどさです。


その上で550ガルから700ガルへの基準地震動のさらなる引き上げにおける原子力規制庁の考え方への明確な批判が行われています。


というのが規制庁はこの150ガル分の引き上げにおいて新たな対策を施すことを要請した訳ですが、それがなんと地震で重大事故(過酷事故)が起きない対策なのではなく、「起きた時」の対策になっているのです。


端的に外部電源が喪失し、冷却ができなくなり、原子炉圧力容器がメルトダウンを起こしたときの対策です。

◎基準地震動700ガルについては、「東久留米日記」さんで知った。4月15日の内田樹氏のツィッターで言及されています。これがとても分かり易いかも。
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*おや、もう京都です。AERAのげんこ書き直しました。高浜原発の差し止め仮処分の決定について書きました。久しぶりに(ほんとうに久しぶりに)「まっとうなロジック」に基づく「まっとうな文章」を読みました。それについての官房長官の反論はまったく没論理でした。