「崩れた砂川判決の根拠」と「抗議デモは学生が主導」(WSJ)

内田樹氏のリツィートで山崎雅弘氏のツィートを:


山崎 雅弘 @mas__yamazaki

ホルムズ海峡、米軍艦艇上の日本人母子、砂川判決など、法案の裏付けとなる前提や論理がボロボロと腐った壁のように崩れ落ちている中で形式的審議だけが進行している公聴会をやっても語られる論理の言葉は議員の耳を素通りして消える。国会が、ほとんど「ゾンビの行進」のような様相を呈している。


自分たちでこしらえた特定の主観的前提を理由にすれば「憲法に超越する意思決定」も許されるという思考が、現政権だけでなく政府全体に広がりつつある今の状況は、かなり危ないと思う。爆発しないと思われていた原発が爆発したように、民主主義はこの国から無くならないというのは甘い願望でしかない。


政権与党だけでなく、経済界や中央官庁でももう民主主義や平和主義なんて捨てた方が我々にとって都合がいい」と考える人間が、その考えを隠そうともせず行動で示し始めている兵器輸出を国策の柱にしようと臆面もなく提言し、他国の戦争に自衛隊を参加させることが「積極的な平和だ」とこじつける。

◎安保法案の論拠も根拠も崩壊していく、その一つ「砂川判決」についてです。
朝日新聞デジタル記事」(http://digital.asahi.com/articles/ASH9G5SJ8H9GUTIL045.html
(写真は報道ステーションで放送されたテレビ画面です)


自衛武力持ってよいとは「云はない」 砂川、元判事メモ
編集委員・豊秀一

2015年9月15日17時28分






 米軍駐留の合憲性が争われた1959年12月の砂川事件最高裁判決に関し、裁判に関わった入江俊郎・元最高裁判事(故人)が「『自衛の為の措置をとりうる』とまでいうが、『自衛の為に必要な武力か、自衛施設をもってよい』とまでは、云はない」などとするコメントを書き込んだ文書が見つかった



 政府・与党側は、判決が「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」などと言及したことを引き、集団的自衛権を認める根拠だと主張するしかし、入江氏の書き込みは、自衛隊が合憲か違憲かという個別的自衛権の判断を判決がしていないことを確認したもので、集団的自衛権は検討されていないことがうかがえる


 この文書は最高裁判例集砂川事件の判決要旨が掲載されたページの余白に書き込みがあった。「37・8・3記」とあり、62年8月3日に書かれたとみられる。入江氏の次女(78)によると、書斎として使っていた部屋から見つかった。


 最高裁判決が触れた「自衛のための措置」について入江氏は「『自衛の為に必要な武力、自衛施設をもってよい』とまでは、云はない」と指摘し、判決も自衛隊が合憲か違憲かには踏み込まなかった。



 入江氏は結論として、「故に、本判決の主旨は、自衛の手段は持ちうる、それまではいっていると解してよい。ただそれが、(憲法9条)二項の戦力の程度にあってもよいのか、又はそれに至らない程度ならよいというのかについては全然触れていないとみるべきであらう」と指摘した。


 高見勝利・上智大教授(憲法)は「入江氏は判決の『自衛の措置』の意味内容を確認している。自衛隊の実力が憲法9条2項で禁じられた『戦力』に当たらないか否かという個別的自衛権の問題についても判決は答えを出していない。それなのに『自衛の措置』を引き合いに集団的自衛権容認の根拠とするのは明らかに無理がある」と話す。(編集委員・豊秀一)



入江俊郎氏のメモ全文

A 「自衛の為の措置をとりうる」とまでいうが、「自衛の為に必要な武力、自衛施設をもってよい」とまでは、云はない。

B しかし、必要な措置をとりうるという中には、その為に必要な用意〔、〕整備とその使用は当然みとめているのである。たゞそこまで、積極的に本件としてはいわなくてよかった丈だ(それは砂江〔川〕判決文中の赤線のケ所みよ、特に三二三二Pの赤、青線をみよ。)

C たゞその手段につき他国への安全保障を求めてもよく

D その結果(Cの)としてアメリカ駐留軍がいてもそれはわが戦力でないということを明らかにした。

E 故に、本判決の主旨は、自衛の手段は持ちうる、それまではいっていると解してよい。ただそれが、二項の戦力の程度にあってもよいのか、又はそれに至らない程度ならよいというのかについては全然触れていないとみるべきであらう(37.8.3記)

     ◇


 〈砂川事件最高裁判決〉 1957年7月に東京都砂川町(現立川市)の米軍基地拡張に反対した学生ら7人が基地に立ち入ったとして、刑事特別法違反の罪で起訴された。東京地裁は59年3月、米軍駐留は憲法9条違反として全員無罪としたため、検察側が二審ではなく最高裁に跳躍上告。15人の裁判官で構成される最高裁大法廷は同年12月、①憲法9条自衛権を否定しておらず、他国に安全保障を求めることを禁じていない②外国の軍隊は、憲法9条2項が禁じる戦力にあたらない③安保条約は高度の政治性を持ち、「一見極めて明白に違憲無効」とはいえず、司法審査になじまない――と判断して一審判決を破棄し、東京地裁に差し戻した。

     ◇

 〈いりえ・としお〉 敗戦後の1946年3月に法制局長官となり、日本国憲法の制定作業に関わる。52月8月、史上最年少の51歳で最高裁判事に就任。71年1月に定年退官したが、歴代最長となる最高裁判事の在任期間を記録した。72年7月、71歳で死去。

◎再び、内田樹氏のツィート欄からです:

Tetsuya Kawamoto  @xxcalmo

「この団体の略称はSealdsだが、メンバーはこれに『h』を入れて『Shields(盾)』のように発音する。これは民主主義を守る『盾』になるという彼らの目標を示す」。良心的な記事。 https://twitter.com/WSJJapan/status/643986448710897664


◎このツィートに惹かれて、ウォール・ストリート・ジャーナル(国内)の記事を。半分くらいまでコピーです。
記事の中のトップの写真の本間信和さんは、私が7月にうつぼ公園の集会とデモに参加した時、「ここに入ります」と言って、私たちが4列を作って並んでいる前にマイクを持って立ちました。「齢、関係ないです。僕は今年20回目の夏ですけど」と言って、私は『71回目』というのを言えずに飲み込んだ、あの時の東京から応援にやってきてくれたシールズくんでした。 本町の靭(うつぼ)公園から難波まで、途中、女性と交代しながらも精力的にコールを続けて、戦争法案反対のデモをリードし盛り上げ勇気づけてくれました。

日本の軍事的役割拡大、抗議デモは学生が主導



(安保法案反対の最前線に立つSEALDsの本間信和さん Photo: Mitsuru Obe/The Wall Street Journal
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By
MITSURU OBE

2015 年 9 月 16 日 11:12 JST
原文 (英語)
 【東京】日本の学生たちは、何十年間にもわたって政治的な議論でほぼ沈黙を保ってきた。しかし、ここに来て再び、抗議活動で強大な勢力になりつつある。国会が今週、日本の軍事的役割拡大する安全保障関連法案を可決するとみられ、これに突き動かされた動きだ。


 5月に結成された「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」は、数カ月間にわたる抗議活動の最前線に立っている何万人もが参加した過去数十年で最大級とみられている最近のデモでも中心的な役割を果たした。SEALDsは野党や一部の法学者に同調し、安倍晋三首相の同法案が第2次世界大戦の敗戦後に作られた日本の平和憲法に違反すると主張している。


(写真省略)
Students Emergency Action for Liberal Democracy has emerged as a prominent voice against Prime Minister Shinzo Abe's security bills, spearheading one of Japan's biggest political protests in decades. Photo: Mitsuru Obe/The Wall Street Journal

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 この団体の創設者の1人である筑波大学の学生、本間信和さん(20)は「この法制が通ると、自衛隊は確実に海外に行って、他国の戦争に協力するようになる。自衛官が死ぬ可能性もある。国内外で日本人がテロにあう可能性も高まる」と述べた。


 SEALDsの人数は、創設時のメンバー6人前後からほぼ1000人にまで膨れ上がった。現在は弁護士会労働組合や学者を含む連合組織を率いている。


 学生アクティビズム(運動)が突如湧き上がったことは、多くの人々を驚かせたほか、反対勢力を勇気づけた。反対勢力が高齢化するリベラル派の集まりで、人数も先細り傾向にあったからだ。


 音楽アーティストの坂本龍一さん(63)は、8月30日の大規模なデモに参加した。坂本さんは「(今回の安保法案のことが盛り上がってくる前は、)かなり現状に対して絶望していたが、このSEALDsの若者たち、そして主に女性たちが立って発言してくれているのを見て、日本にもまだ希望があるんだなと思っているところだ」と述べた。


 この団体の略称はSealdsだが、メンバーはこれに「h」を入れて「Shields(盾)」のように発音するこれは民主主義を守る「盾」になるという彼らの目標を示す英語名を使うという判断は、この団体が西側の影響を受け入れていることの表れだ。抗議に使う看板などは英語のみで書かれていることもしばしばある。メンバーの一部は髪を金色に染めており、ほとんど全員が髪の黒い日本人の中では目立つ。そして、ヒップホップのリズムに乗せて政治的なスローガンを叫んでいる。  <後略>

・全文はコチラで:http://jp.wsj.com/news/articles/SB10922328955711303277604581235723761824578#top
公聴会でスピーチした奥田さんは昨日は外国人記者クラブでのインタビューを受けました。

「かっちの言い分」さんで、そのことにふれて:

今日、奥田氏を始めとするSEALsのメンバーが外国記者クラブでインタビューを受けていた。会見後、記者からは、日本にも本当の意味の民主主義が芽生えてきたと述べた。つまり、デモは過激派、労組の専売特許であったが、全くの無党派層が自発的に立ち上がってきたことを評価している。別の外国人学者は、過激派のデモではなく、Healthy民主主義が日本に起こってきたと評価した。

・全文はコチラで:http://31634308.at.webry.info/201509/article_17.html




(写真は昨日夕方の毎日放送のテレビ画面から)