「国連調査員が"日本の報道の独立性に重大な脅威"」と「15日、改正サイバー法(盗聴法)成立」


昨夜の「報道ステーション」は報道の自由度調査のため来日したディビッド・ケイ氏の外国人記者クラブでの会見の様子の映像を流しながら、日本の自由度ランキングが61位から72位になったことを伝えていました。高市総務相が会見に応じなかったことを、解説の後藤謙次氏は、「応じるべきだった。世界にどう見えるか、世界がどう見ているかだ。72位の実感はないが、外からそう見える」というような発言を。これは重大発言です。「実感がない」という事を現場の人が語るということは、すでに心あるジャーナリストたちが会見を開いて「私たちは怒っています」と声を挙げているのに、報道の自由が侵されている自覚がないのか、あるいは、自由を制限している政府に対して、おもねる言葉なのか・・・。
★日本に一週間滞在して調査していたディビッド・ケイ氏の報告を「国際連合広報センター」が19日付で発表していますのでコピーです:(http://www.unic.or.jp/news_press/info/18693/

日本:国連の人権専門家、報道の独立性に対する重大な脅威を警告

2016年04月19日



東京/ジュネーブ(2016年4月19日)― 「意見及び表現の自由」の調査を担当する国連特別報告者ディビッド・ケイ氏が火曜日(4月19日)、日本政府に対し、メディアの独立性保護と国民の知る権利促進のための対策を緊急に講じるよう要請しました。


日本は、報道の自由を明確に保護した憲法に、当然の誇りを持っています。それにもかかわらず、報道の独立性は重大な脅威に直面しています」と、1週間の日本滞在を終えたケイ氏は述べました。


脆弱な法的保護、新たに採択された『特定秘密保護法』、そして政府による『中立性』と『公平性』への絶え間ない圧力が、高いレベルの自己検閲を生み出しているように見えます」とケイ氏は言います。「こうした圧力は意図した効果をもたらします。それはメディア自体が、記者クラブ制度の排他性に依存し、独立の基本原則を擁護するはずの幅広い職業的な組合組織を欠いているからです


多くのジャーナリストが、自身の生活を守るために匿名を条件に私との面会に応じてくれましたが、国民的関心事の扱いの微妙な部分を避けなければならない圧力の存在を浮かび上がらせました。彼らの多くが、有力政治家からの間接的な圧力によって、仕事から外され、沈黙を強いられたと訴えています。これほどの強固な民主主義の基盤のある国では、そのような介入には抵抗して介入を防ぐべきです


ケイ氏によれば、1950年に制定され政府に放送メディアを規制する直接的な権限を与えた『放送法』は、4条において、ジャーナリストの職業的義務と、放送免許の取り消しを行う政府権限を混同しています。「政府は放送法4条を廃止し、メディア規制から手を引くべきです」と同氏は述べました。


こうした環境下で特定秘密保護法は、実施の初期段階ながら、重大な社会的関心事のメディア報道を委縮させる効果を生んでいるとケイ氏は述べています。例えば、内部告発者を保護する体制が弱いことは情報源の枯渇につながり、ジャーナリスト自身も情報入手によって処罰されることを恐れるようになるでしょう。こうした恐れを持つことで、特に影響を受ける可能性があるのは、原子力産業の未来、災害対応、政府の国家安全保障政策など、日本の今日的な公共の関心事についての報道だとしています


ケイ氏によれば、政府による圧力はさらに、第二次世界大戦中の「従軍慰安婦」問題など、非常に重要性の高い問題の議論も妨げています。複数の国際的な人権メカニズムがこの問題への対処を繰り返し日本に要求していることに触れつつ、ケイ氏は、日本の過去についての議論を制限しようとする試みに対して不満を表明しました。



従軍慰安婦への言及は、中学校で必修科目である日本史の教科書から削除されつつあります」と、このことを知ったケイ氏は述べました。「第二次世界大戦中に犯した罪の現実を教科書でどう扱うかについて政府が介入することは、国民の知る権利を脅かし、国民が日本の過去の問題に取り組み理解する力を低下させます


ケイ氏は国会を訪れ、法務委員会の委員と面会し、ヘイトスピーチの法規制に関する継続中の議論への関心を示しました。「日本は、広範囲に適用できる差別禁止法を採択しなければなりません。ヘイトスピーチに対する答えは、まず、差別行為を禁止する法律を制定することです。そうした法律が整えば、憎しみに満ちた表現に対する政府の広範な対応が、憎悪に反対する教育的かつ公の声明などの形で、差別との闘いに真の影響をもたらすようになるでしょう」とケイ氏は述べています。


さらにケイ氏は「ネット上の自由の分野で、日本がいかに重要なモデルを示しているかについても強調したいと思います」と述べました。「デジタルの自由への政府の介入度合が極めて低いことは、表現の自由に対する政府のコミットメントの表れです。政府が盗聴に関する法律やサイバーセキュリティへの新たな取り組みを検討する際、こうした自由の精神、通信セキュリティ、オンライン上のイノベーションが規制の取り組みの最前線でも保たれることを願っています


ディビッド・ケイ氏は、日本政府の招きにより4月12日から19日まで日本に滞在し、国のさまざまな当局者と会談しました。また、NGO、ジャーナリスト、民間メディアの団体、弁護士とも議論を交わしました。ケイ氏は特別報告者として、今回の訪日による主な調査結果に関する報告書を作成し、2017年に国連人権理事会に提出する予定です

★この中で最後に言及のあった問題で、15日に参議院で「サイバーセキュリティ法」が改正されました。これが、どういう問題なのか、少しネットで拾ってみました。法律は使い方によって…を考えさせられます。
◎まず「日経BPネット」では:(http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/04/19/11199/?rt=nocnt

改正サイバー法が成立、国家資格「情報処理安全確保支援士」を新設

2016年4月18日

 参議院は2016年4月15日の本会議において「サイバーセキュリティ基本法及び情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を賛成多数で可決した。改正法成立により、政府機関や独立行政法人特殊法人のセキュリティ監視に関する内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の機能が強化される。

◎次にNHKニュースです:(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160415/k10010481211000.html

改正サイバーセキュリティ基本法が成立


4月15日 14時55分




サイバー攻撃への監視対象を日本年金機構のような特殊法人にも広げるとともに、専門家の育成に向けて国家資格を新設することを盛り込んだ改正サイバーセキュリティ基本法などが、15日の参議院本会議で可決・成立しました。


「改正サイバーセキュリティ基本法」と「改正情報処理促進法」は、日本年金機構のシステムから大量の個人情報が流出した問題を受けて、政府全体のサイバーセキュリティー対策を抜本的に強化するためのものです。「改正サイバーセキュリティ基本法」は、政府機関へのサイバー攻撃を監視している「内閣サイバーセキュリティセンター」の監視対象を、中央省庁に加え個人情報を扱う日本年金機構のような特殊法人にも広げることを柱としています。また「改正情報処理促進法」には、サイバーセキュリティーの専門家を育成するため、更新制の国家資格「情報処理安全確保支援士」を創設することなどが盛り込まれています。これらの法律は15日の参議院本会議で、自民・公明両党と民進党、おおさか維新の会などの賛成多数で可決され成立しました。

◎これを「カレイドスコープ」(19日)さんは、「国民発言禁止法」と名付けて批判しています:
4月15日、参議院で“国民発言禁止法”が可決・成立」(http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-4319.html)(http://blog.livedoor.jp/aq19cd28bp/archives/2910697.html
◎「盗聴法<組対法>に反対する市民連絡会 > 【なぜ共謀罪に反対するのか】>」の「コンピュータ監視法案 Q&A 」(http://www.anti-tochoho.org/kyz1/qacs.html

◎「世相を斬る あいば達也」さんの今日のブログでは、昨夜の「報道ステーション」について、『後藤謙次に至っては「記者クラブ報道の自由の阻害要因と云うのは、理解しかねる」とトンデモナイ発言をしていた』と。
この発言、私は聞き逃していました。それなら、あの「実感がないが、外から見たら」発言は悪質そのものですね。コチラで:「どこまで行くのか?安倍サド政権 その悪行とどまらず」(http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/d3d8d40ea1c92e590b212d5bba6230da

内田樹さんがリツイート


田中龍作 ‏@tanakaryusaku · 4月19日

【国連・表現の自由調査官〜連投11】
ドイツ記者「記者クラブは政府と密着していると思わないか?」
ケイ氏「記者クラブ制度は廃止すべき。記者クラブはアクセスを制限するツールになっている。政府にとって都合が良い。記者クラブは市民の知る権利を制限している」