金曜デモと参院選挙投票日を前に「『なめんな』」という精神」


いよいよ参議院選挙の投票日前日になりました。
昨日の金曜日、テレビは相変わらず都知事選。そこに、石田純一氏が突然の登場。たくさんの記者に囲まれて、石田氏が発言したのは、「野党共闘の統一候補なら。野党が結集しないと現状では思いを力に変換できない」。この石田氏の意図と役割を、「特別な1日」さんのブログを読んで納得です。これは、その通り! 都知事選に集中しているメディアを逆手にとってのすごい作戦?です。
◎さて、金曜日はいつもの再稼働反対の国会前デモの日、いつものように参加されたブログ主のSPYBOYさん、選挙についてのお話しがいつもに増して熱い! ぜひブログを訪ねて読んでみてください。
ブログのタイトルは、「『#3分の2を取らせない(2)』と読書『日本×香港×台湾 若者はあきらめない』と『ネット炎上の研究』、それに『0708 再稼働反対!首相官邸前抗議』」です。コチラで:http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20160708/1467984776
ブログの最後に紹介されているシールズの動画メッセージは、「●選挙後解散するSEALDsの最後のメッセージだそうです。」 トップに映っているのが、昨年の夏、東京から大阪の戦争法案反対の集会に助っ人で駆けつけてくれた、そのとき20歳だった本間さんです。頑張ってますね。
◎さて、明日の投票日前日の私のブログは、これで締めくくります。

憲法学者お二人、1934年生まれの樋口陽一さんと、1949年生まれの小林節さん、共著の「『憲法改正』の真実」から、引用してみます。

▼「なめんな」という精神


樋口  この対話の冒頭で、小林先生がこう言いわれましたね。「この国の主(あるじ)は、われわれ国民なのですが、その主という資格が奪われようとしている。私たちは侮辱されているのですよ。なめられているのですよ」と。


 この発言は、非常に核心を突いています。そして、これを聞いて、亡くなった作家の井上ひさしさんのことを思い出しました。彼は高校同期の親しい友人です
 井上さんの遺作となった小説に『一週間』という作品があります。シベリアの日本人捕虜六〇万の状況改善を求めて立ち上がった男性が主人公で、井上さんの幼年時に早世された父君がモデルです。作家の大江健三郎さんは、この主人公の闘い方のなかに「人間を・また人間として、辱かしめ・辱かしめられてはならぬとする気質」を読み取った、と書評を書いています。
 辱かしめられてはならないとする、その「気質」が、日本社会を最後のところで支えるものになるはずだと、私は思うのです
 私たち一人ひとりが、誇りをもつ。「なめんな」という精神をもつ。それが、危うげになった日本社会を救うものであるはずです


小林 私自身も、これだけのことが起きても、絶望していないと表明しておきたいのです。この闘いのために全国各地をまわるたびに、樋口先生が今、おっしゃった「なめんな」という精神を忘れていない人に大勢、出会います私たちが孤立しているとは思えないのです
 この危機のなかで、主権者国民は多くのことを学び、専門家である我々と手を組み、多くの国民が「主権者」意識に目覚めている。憲法制定権力者はわれわれ国民です
 この闘いに勝ち、この危機が日本の成熟のために必要な試練だったと感じられる日が来ることを確信しています


樋口 市民に届く言葉をずっと大切にしてきた先生とじっくり議論ができて、今回は本当によかったと思っています。


小林 光栄でございます。しかし、闘いはこれからが正念場です。

◎「対論を終えて」の樋口陽一氏の「あらためて『憲法保守』の意味を訴える」から少し端折りながら:

改めて「憲法保守」の意味を訴える



 強い個性でデザインされた小林節という建物を、離れたところから見ていたにすぎぬ私だったが、2012年「自由民主党 憲法改正草案」なるものが公表されてからの政治の動きは、私たち二人が土台を共有していることの意味の大切さを私たち自身に教える、何よりの反面教師となった。


 その土台とは、立憲主義についての私たちの共通理解に他ならない。
 それは第一に、権力は制限されねばならぬという基本枠組みにかかわる形式こそ専制に枠を課す自由の防壁だという意味での、その形式の大切さである。安倍政権が突き進んできた政治のひとつひとつが、この意味での立憲主義に対するあからさまな挑戦としか言いようのないものだった(1)。


 共通の土台の第二は、近代立憲市議がその形式を通して達成しようとしてきた実質内容にかかわる。言うまでもなく人権であり、さかのぼって「個人」を社会の価値の源泉とする考え方である(2)。この点でも、都合によっては「欧米と価値を共有」と口に出す人々が、現実の言動によってそのことを裏切ってきた。何より、2012年に公にし、次の選挙に向けてそれに対する注目を首相みずから国民にあえて促し始めている改憲草案が、「すべて国民は、個人として尊重される」という現行13条の「個人」を消し、「人」に差し替えてしまっているのだから


 共通する土台の上に建っている建物は、私たち二人それぞれのあいだで似ている点も違いもある。この対論で立憲主義の意味(1)と(2)を共通に確認することの方が基調となったのは土台を押し流そうとする濁流の水位がいよいよ危険値に近づいてきているからなのだその意味で、ただ日本国憲法にとってだけでなく、立憲主義という、人類がともかくも手にした共有財の土台を保守することが緊急の課題なのだからだ
 実際、ここ三年半のあいだに四つ目の国政選挙となる参議院議員選挙への有権者の対応が問われている。土台の「保守」のための知恵を尽くした対応をしたうえではじめて、建物の仕様や壁の模様替えの是非についての、本当の憲法論議が国民のあいだで現実的なものとなるだろう。



 対論の中でもこの文章でも「保守」というキーワードに何度か触れた。それはもとより、頑固に何もしないということではない。
 私が今この言葉に託したいことを言いつづめて表現すれば、次の三つになろう。


 第一は、人類社会が普遍的なるものを求める歴史の中で曲折を経ながら積み重ねてきた、その知の遺産を前にした謙虚さであり、第二は、国のうち・そとを問わず他者との関係でみずからを律する品性であり、第三は、時間の経過と経験による成熟という価値を知るものの落ち着きである


 今私たちをとりまくのは、そのような「保守」とはあまりに対照的な情景ではないかもはや東西の文化に学ぶものなし、と言わんばかりの「日本は日本」といううちへの屈折、国の内外を問わず「あちら側かこちら側か」を決めつけて「決める政治」を求める性急さ戦後70年の自国史を支えてきた基本法を「みっともない憲法」と呼んで国民の矜持(きょうじ)を傷つける政治の最高責任者。− そういうなかで、「改憲ぐせをつける」とまで言う政治勢力基本法を左右させて良いのか自分自身としてなにができるか。共著者二人のあいだで、そして読者とともに問い続けてゆきたい。

◎最後におなじ「対論を終えて」から小林節氏の「主権者としての心の独立戦争」の途中からです:

主権者としての心の独立戦争



(前略)


 きわめつきは、安倍首相が、憲法96条(改正手続き条件)を改悪して、「憲法を国民に近づける」と称して、憲法改悪の突破口にしようとしたときに、私はそれを「裏口入学」と呼んで、世論に少なからぬ影響を与えたと言われたことだ
 この時には、それまで20年以上も憲法学会では「異端」扱いされながらも憲法をめぐる論壇に参加し続けていて、だからこそ発言権があって良かったと感じた。
 そのころに、樋口陽一先生からお声がかかり、ご一緒に活動する機会が与えられるようになった。
 樋口先生とご一緒していると、緊張はするが、楽しいことばかりである。先生の学識の深さは言うまでもないことであるが、なによりも、その「立憲主義」に対する情熱に感動させられる。どこにいて何をしておられても、議論にきちんとした方向性を与えてくださる。こんな「様になる」論客を私は他に知らない。


 今、我が国は、文字通り立憲主義の危機に直面している。そして、そのときに、樋口先生が毅然として論壇で語るお姿は、私には我が国のいわば『命綱』のように見える。


 この戦いは、私たち日本国民に意識の変革を求めるもので、短期間では決着のつかない、主権者としての心の独立戦争のようなものである


 この先数回の国政選挙が決定的に重要なものになるそして、最悪の場合には、私たちは憲法改正の是非を問う国民投票に直面することになるそのためにも、私たちは、今、政権の側から提案されている「憲法改正」が実は「憲法改悪」であるという「真実」を知らなければならない。


 私も、樋口先生のように情熱と余裕をもって戦っていきたい。

◆PS
★「☆句の無限遠点☆」さんのブログから、便利な対比表の案内です:

さて、本題は自民党憲法改定草案が、現行憲法とどう変わっているかを逐条ごとに文章の対比で考察できるものを、知人の熊本大学苫野一徳教授がツイッターにアップしてくれたので、ここに採録しておく。
これはわれわれ素人にもとても解りやすい対比で、いかに自民党草案が国民の人権、自由、平和を規制しようかということが解る
筆者もまだじつくり読んでないので、各論は随時コメントしていきたいと思う。


自民党の変えた憲法をみてみる」http://editorium.jp/blog/2013/08/04/kenpo_jimin-souan/

自民党による憲法の変更履歴」HTML版http://editorium.jp/kenpo/const.html

★リテラの記事、「戦前か! 自民党がHPで“「子供たちを戦場に送るな」という偏向教育を行う教員”の通報を呼びかける密告フォーム」(http://lite-ra.com/2016/07/post-2401.html

茂木健一郎 認証済みアカウント 
‏@kenichiromogi
カフカではなく、今の日本の話です。RT @KazuhiroSoda: 自民党に投票しようという人に読んで欲しい。投票前に。 戦前か! 自民党がHPで“「子供たちを戦場に送るな」という偏向教育を行う教員”の通報を呼びかける密告フォーム



ヒラト ‏@hirako741 · 11 分11 分前

もっと恐ろしいことは、安倍自民党のメディアコントロールと同じで密告されるぞと言うだけで、萎縮や自己規制が始まり、密告制度が取り消されても効果が持続すること。

想田和弘
‏@KazuhiroSoda
僕が子供の頃は、先生に告げ口する生徒は軽蔑された。今は政権与党である自民党が、先生のことを告げ口しろと生徒に対して言っている。これが安倍晋三が考える「美しい日本」の正体である


想田和弘 ‏@KazuhiroSoda · 11時間11時間前

自民党HP。「子供たちを戦場に送るな」を「安保関連法は廃止にすべき」に差し替えて密告フォームが復活。木原氏の元ツイートも削除され、書き換えられた模様だけど密告フォームはマジで実施する模様。これは現代日本版のマッカーシズムではないか?https://ssl.jimin.jp/m/school_education_survey2016?_ga=1.59801455.395835691.1409157024