◎自民党の総裁選、「世界をリードする日本(小林鷹之氏)」とか「日本を再び世界のてっぺんに(高市早苗氏)」とか、経済に限ったことだとしても、時代錯誤も甚だしい…と思える発言が飛び出しています。一方で、軍事面では、自民党の日米一体化、対米従属が強化されています。9条を持つ日本国民としては心穏やかではありません:
🔲布施祐仁さんの記事をコピーです。(下線と色字 by 蛙)
「米国に見捨てられる…」安倍・岸田の恐怖が生んだ「戦慄すべき」日本の末路「もはや米国のミサイル基地」
日本にとっての「最悪のシナリオ」とは?
政府による巧妙な「ウソ」とは一体…?
国際情勢が混迷を極めめる「いま」、知っておきたい日米安全保障の「衝撃の裏側」が、『従属の代償 日米軍事一体化の真実』で明らかになる。
※本記事は布施祐仁『従属の代償 日米軍事一体化の真実』から抜粋・編集したものです。
急激に進む日米軍事一体化
その裏側には「米国に見捨てられる不安」
「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」ーー近年、日本政府が安全保障について語る時に枕詞のように使うフレーズです。確かに、台湾海峡の緊張激化や北朝鮮の核・ミサイル開発、中国とロシアの関係強化など、日本を取り巻く安全保障環境は第二次世界大戦後最も厳しいものになっていると言ってもいいでしょう。
そんな中、「近い将来、日本が戦争に巻き込まれてしまうのではないか」と不安を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、安全保障を専門とするジャーナリストとして20年以上活動してきた中で、今ほど戦争の危機を感じる時はありません。
「日本は(中略)第二次世界大戦の荒廃から立ち直った控え目な同盟国から、外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきました」
2024年4月に岸田文夫首相が米国連邦議会で行った演説の一節です。首相は、日米同盟をいっそう強固なものにするため、自らが先頭に立って防衛力の抜本的な強化を進めてきた成果をアピールし、「日本は米国と共にある」と強調しました。
この言葉に象徴されるように、日本政府は米国とどこまでも行動を共にすることで、厳しい安全保障環境を乗り切ろうとしています。
防衛の現場を取材していると、私のようにこの分野を専門としている者でもついていけなくなるほど、物凄いスピードで自衛隊の軍備強化と米軍との一体化が進んでいます。首相自身が「戦後の安全保障政策の大転換」と認めるような政策を矢継ぎ早に進める日本政府の対応の陰には、「米国に見捨てられるかもしれない」という不安が見え隠れします。しかし、このまま米軍と軍事的に一体化する道を突き進んでいってよいのでしょうか。
少し前に、「新しい戦前」という言葉が注目を集めました。私たちが生きる現代は、果たして本当に「戦後」でしょうか。このまま、これからも「戦後」であり続けることはできるのでしょうか。未来ある子どもたちに、私たちの時代を「戦前」と呼ばせないためにも、この国の安全保障の在り方を今一度見つめ直してみる必要があります。
日米ミサイル部隊の一体化
最近の動きで私が特に注目しているのは、米軍と自衛隊のミサイル部隊の一体化です。
ハワイ周辺で1年おきに実施される「リムパック(RIMPAC)」という米海軍主催の多国間合同軍事演習があります。
2018年のリムパックでは、日米のミサイル部隊による共同対艦戦闘訓練(洋上の敵艦艇を攻撃する訓練)が史上初めて実施されました。
訓練はハワイ・カウアイ島にある米軍太平洋ミサイル試射場で行われ、日本側は熊本県を拠点とする陸上自衛隊第五地対艦(ちたいかん)ミサイル連隊、米側はワシントン州を拠点とする米陸軍第十七野戦砲兵旅団が参加しました。
米陸軍の無人偵察機と海上自衛隊の哨戒機、そしてオーストラリア軍の哨戒機が太平洋上を航行する「敵艦」の位置情報などを収集し、それに基づいて日米の部隊がミサイルを発射しました。
まず米陸軍がノルウェー製の地対艦ミサイル「NSM」を発射し、続いて陸上自衛隊が「12(ひとにい)式地対艦誘導弾(ミサイル)」を発射しました。発射されたミサイルは火炎を噴射しながら勢いよく上昇し、あっという間に空の彼方に消えました。
日米のミサイルは、共にカウアイ島の沖合約100キロを航行する目標艦(米海軍の退役艦)に見事命中しました。
米軍準機関紙「星条旗」のオンライン版に掲載された記事(2018年7月13日付)によると、米太平洋陸軍のロバート・ブラウン司令官はこう述べたといいます。
「(陸上)自衛隊の兵器システムが、米国の火力統制下(under U.S. fire control)に置かれるのは『史上初』だ」
陸上自衛隊のミサイルは、米軍の統制下で発射されたというのです。これは、陸上自衛隊のミサイル部隊が米陸軍のミサイル部隊に組み込まれる形で一体化していることを意味します。
共同訓練に「ウクライナ軍にも供与されたミサイル」
このように自衛隊と米軍が一体となって地対艦ミサイルで攻撃を行う訓練は近年、日本国内でも頻繁に行われています。これは、これまでにはなかった新しい状況です。
陸上自衛隊と米陸軍の共同対艦戦闘訓練が日本国内で初めて実施されたのは、2019年のことです。米本土から陸軍の「HIMARS(ハイマース)」(高機動ロケット砲システム)部隊が展開し、熊本県の大矢野原演習場で陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊と非実射訓練(ミサイルは発射せずに一連の手順を演練する)を行いました。
HIMARSは機動性の高い小型のミサイル発射機で、ロシアの軍事侵攻に抵抗するウクライナ軍にも供与されています。現在は対地攻撃用ですが、米軍は今後、対艦攻撃にも活用する方針です。
HIMARSは米海兵隊も運用しており、沖縄にも配備されています。陸上自衛隊は米海兵隊とも共同対艦戦闘訓練を繰り返しています。
2022年には、南西諸島※1で初めて、陸上自衛隊と米陸軍による共同対艦戦闘訓練が行われました。
鹿児島県の奄美大島に米本土から陸軍のHIMARS部隊が展開し、2019年に同島へ配備された陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊と非実射訓練を行ったのです。
訓練終盤、太平洋地域の米陸軍トップである太平洋陸軍司令官と陸上自衛隊トップの陸上幕僚長が揃って奄美駐屯地を訪れ、記者会見を開きました。このことからも、米軍と自衛隊がこの訓練を重要視していることがわかります。
米太平洋陸軍のチャールズ・フリン司令官は「最近の中国の振る舞いに強く懸念を抱いている」と語り、共同訓練で米軍と自衛隊の相互運用性を高めることが抑止力強化につながるとして、「(共同訓練こそ)団結と集団的決意を示すものだ」と訴えました。
吉田圭秀(よしひで)陸上幕僚長も「中国が東シナ海で力による現状変更をより強めている。日米の相互運用性をもう一段高いレベルに上げたい」と話し、米軍とのさらなる「一体化」に意欲を見せました。
>>つづく「「ミサイル列島」と化した日本を待ち受ける「最悪のシナリオ」が残酷すぎる」では、日本を破滅的な「核戦争」へ向かわせかねない「日本政府と米軍の動き」が明らかになります。