ここ数日、お天気が安定しなくて、時々パラパラ雨も降ります。
それをいいことに、庭へは出ないで、水遣りをサボっていました。
昨日は雨も降りそうになく、外に出てみると、椿の木の根方に白い花が見えました。「リュウノヒゲ(竜のヒゲ)」です。
日陰が好きで、細い濃緑の葉が涼しげです。
何十年と椿の木の陰にあって大株になっています。
花が終わると白い花の一つ一つが青色から紺色の実になります。
同じく椿を挟んで反対側には「ギボウシ(擬宝珠)」が、白い花を沢山つけています。
最近は「ホスタ」という名前で苗が良く出ています。江戸時代にシーボルトが持ち出して園芸品種に。大ぶりの美しい葉も見事で最近またもてはやされているようです。
私は子ども時代、母の田舎の実家に咲いていた花として印象に残っています。
松や杉、槙の木々と小さな石の太鼓橋のついた空っぽの池があって、大きなツツジやサツキが取り囲むその池の端っこにこの「ぎぼうし」が花をつけていました。子どもたちが入って遊ぶ庭ではなくて、大きな仏壇の間の縁側から眺める為の庭だったようで、一方は蔵の白壁になっていました。夏休みに帰った時の思い出です。
「宝珠」は橋の欄干についている(五条の大橋!)あの葱坊主みたいな形ですが、 蕾がこの形に似ているからついた名前かな。
こんどは北側の玄関先に咲いている、「秋海棠(しゅうかいどう)」の白い花。
これも西洋の園芸種はベゴニアです。原産地は中国、マレーシア。
日本に渡来したのは江戸時代の寛永年間(1624〜44)。
昭和の初め、七人の文学者たちが、”新 秋の七草”を発表。
葉鶏頭(長谷川時雨)、秋桜・コスモス(菊池寛)、彼岸花(斉藤茂吉)、赤マンマ(高浜虚子)、菊(牧野富太郎)、白粉(おしろい)花(与謝野晶子)、秋海棠(永井家風)でした。
うなだれし秋海棠にふる雨は いたくはふらず只白くあれな 長塚 節「鍼の如く」より
雨ながら朝日まばゆし秋海棠 水原 秋桜子
出で入りの背戸川橋の両側に 秋海棠は花多く持てり 伊藤 左千夫
(以上俳句と短歌は「週刊花百科フルール70」より)
◎秋海棠の白花は変種で、普通は濃いピンクで花つきが良く、簪(カンザシ)のようにしな垂れて咲きます。