シェールガスとレンズ風車

脱原発とともに聞くようになった「シェールガス」について、日本経済新聞の日曜日の記事からです。
「日曜に考える」(11頁)で取り上げられた大きな記事から、まず「シェールガス」とは:「地中深く泥土が堆積した頁岩(けつがん=シェール)層から産出する天然ガスのこと。強い水圧をかけ岩盤層を破砕してガスを抽出する。技術革新により生産コストが在来型の天然ガス並みに下がり、2006年ごろから米国で商業生産が本格化、カナダなど北米全体に広がった。中国や欧州などでも事業化調査が進んでいる。日本では埋蔵が確認されておらず、商業生産は難しいとされている。」
14日はドイツツのドキュメンタリー映画「第4の革命ーエネルギー・デモクラシー」が公開された地域もあります。「第1の革命は『農業革命』 第2の革命が『産業革命』 第3の革命は『IT革命』 そして第4の革命は『エネルギー革命』という意味」だそうです。意味するところは自然エネルギーであるはずですが、そこに至る間にこのシェールガスがどう関わってくるのか、関心(心配?)のあるところです。(写真は新聞記事から)

リード部分:地中の岩盤層に含まれる「シェールガス」と呼ばれる天然ガスが、世界のエネルギー需給構造を大きく変えようとしている。技術革新により、従来難しかった採掘が北米を中心に軌道に乗り始め、今後、世界で開発が進めば天然ガス可採年数は2倍以上に伸びると期待されている。東日本大震災以降、ガス火力発電への依存が強まる日本にも朗報だが、開発の拡大に伴う課題も表面化している。



可採250年に倍増
 丸紅経済研究所の所長によると「シェールガスは世界にエネルギー革命をもたらす。理由は豊富な資源量。国際エネルギー機関(IEA)によると、従来の天然ガスの採掘可能な埋蔵量404兆立方メートルにたいして、シェールガスは204兆立方メートルとされる。これにより在来型だけで120年程度と見られていた天然ガスの可採年数は、250年以上に伸びると予測する。

 2つ目の特徴は従来型の天然ガスに比べ埋蔵量が世界各地に広がっていること。北米に加え、中国やオーストラリアなど幅広い地域で探鉱が進む。中東に集中する原油のように地域の隔たりがない。<略>
 IEAによると、35年の世界天然ガス需要は08年比62%増の見通し。世界のエネルギー需要の4分の1を占めるようになり、30年までに石炭の地位を抜く。シェールガスの増産が伸びを支える。
 これまで米国は、20年代天然ガスの国内消費量の3割を輸入に頼らざるをえないとされてきたが、シェールガスの登場により遠からず輸出国に転じる見通し。世界最大のエネルギー消費国の自給体制確立は、貿易収支の改善にも大きく寄与する。(中東情勢に対する米国の関わり方にも関係があると思う・蛙)

 開発競争も激化している。国際石油資本(メジャー)の米エクソンモービルシェールガスに強い米XTOエナジーを総額410億ドル(約3兆1545億円)で買収。日本企業でも伊藤忠商事が米ファンドと共同で米石油・ガス会社サムソン・インベストメント(オクラホマ州)を約70億ドル(約5400億円)で買収、国際石油開発帝石日揮はカナダ西部で3鉱区の権益を約530億円で取得した。「今後も有望権益を狙いたい」(伊藤忠執行役員)と、争奪戦は過熱している。


環境破壊に懸念

 日本では原発事故で発電用の液化天然ガスLNG)需要が急増。電力10社の11年4〜9月期の燃料費負担は前年同期比6600億円増えた。米国産ガスの輸出本格化はエネルギー調達コストの低減につながるとの期待もある。<略>
 三菱商事東京ガスなどと、カナダでシェールガスLNGに加工して日本などアジアへの輸出を目指す。丸紅や伊藤忠も米国から日本への輸出を検討する。米政府は原則、自由貿易協定(FTA)締結国に限りLNG輸出を認めており、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)への参加はこの点でも利点が大きい。15年にもアジア向け輸出が始まる見通しだ。
 とはいえ、課題も少なくない。シェールガス生産は従来のガス田開発と異なる技術やノウハウが必要で、技術者不足がネックになるとの見方がある。採掘では岩盤層を破砕するために大量の水を使い、米国では採掘時に使う化学物質などによる地下水汚染など環境破壊への批判もある。世界規模で開発が拡大していくかは見通せない部分もある。

シェールガスを燃やした時のCO2の環境汚染は大丈夫なのかということも心配です。
昨夕の毎日放送「夢の扉+」では、「レンズ風車 世界初! 洋上の発電所」と題する番組で、化石燃料原子力発電所に頼らない自然エネルギーを利用する新しい技術についてでした。
昨年の10月、博多湾沖600メートルの洋上に六角形の浮体を浮かせ、その上に、2機の”レンズ風車”を設置する様子を紹介していました。将来は「風力+潮力+波力+太陽光」を利用して実用化、小型の原発に匹敵する新しい海上発電所を開発したいと、九州大学の風(渦)の研究者大屋さんと、海洋工学の経塚(きょうづか)教授、メイドinジャパンの技をと頑張る町工場の社長さんたち。「風の流れを利用し、仲間が集まって人の流れとなり、エネルギーの流れが変わる」と大屋先生も。