米、34年ぶり原発新設承認、原発ビジネス再始動。

お知らせ:<BS1世界のドキュメンタリー>再放送に次いで2つ目です。

昨日のブログで取り上げた大江健三郎さんの12月の「さようなら原発1000万人アクション」での挨拶、後半は日本の原発輸出の動きについてでした。今日取り上げたのは、まさに日本の原発輸出のこれからについての記事です。日経新聞からです。
「世界最多の104基の原子炉を抱える米国が、9日、34年ぶりの原発新設に大きな一歩を踏み出した。福島第1原発の事故後も原子力を主要なエネルギー源とみるオバマ政権の意向を反映している。採算やリスクの見極めが原発新設の潮流を左右しそうだ<ニューヨーク>」(日経11日朝刊)

原発大国 新設に回帰 米、34年ぶり承認 建設コストは上昇


原子力産業にとって歴史に残る成果だ」。米電力大手サザンカンパニーのトーマス・ファニング最高経営責任者(CEO)は9日の声明で強調した。米原子力規制委員化(NRC)は同日、米南部ジョージア州でサザン社が計画するボーグル原発3,4号機に建設・運転認可を出すことを承認。近く正式に認可され手続きが終わる見通しだ。新設が認められるのはスリーマイル島原発事故が起きる前年の1978年以来となる。
 米国ではブッシュ前政権下で原発を再評価する機運が高まり、2008年前後に計画の申請が相次いだ。しかし需要の低迷や、新型天然ガスシェールガス」の増産に伴う火力発電の見直しで建設の熱は冷めていった。昨年3月の福島原発の事故は、安全対策の強化に伴う建設コストの上昇や計画の遅れを招いた。
 ボーグル原発3,4号機の建設費用は総額140億ドル(約1兆円)。一般にガス火力発電所の5倍程度の初期コストがかかるとされる。それでもサザン社が計画を堅持できたのは、米エネルギー省から取り付けた83億ドルの債務保証のおかげだけではない。すでに原発が立地し、電力源の多様化を重視するジョージア州も建設開始と同時に、電力料金に上乗せする形でコストの回収を認める制度を導入。国と州がそろって後押しする環境に恵まれた。
 NRCは現在約20基の計画を審査中。だが業界団体の米原子力エネルギー協会は「20年以前に新設されるのは、ボーグル原発サウスカロライナ州で別の電力大手が計画中の2基くらいだろう」と慎重だ。原発の一部団体は9日、NRCの決定を不服として提訴する方針を示した
 米国では発電量で45%を占める石炭火力に環境規制の逆風が強まる。「シェールガス革命」で急落した米国内のガス価格も「今の水準にとどまっている保証はない」(サザンカンパニーのファニングCEO)。原発は建設後の運転コストが相対的に安く、有力な選択肢との見方は根強い。

 米の原発東芝系が受注 
日本勢、新興国波及に期待


米国で34年ぶりに原子力発電所の新設計画が承認されたことで、福島第1原発事故で停滞していた海外の原発ビジネスが再始動する。「原発輸出」を目指す日本勢にとっては追い風だが、韓国やフランスなどは官民一体で受注活動を強化する。日本は原発輸出の主導役だった東京電力の離脱も痛手で競争を勝ち抜くのは容易ではない。
<中略・左図参照>

原発輸出に力を入れる日本勢にとっては誤算は東電の離脱。今後の原発新設の約8割を占める新興国では、原発運転のノウハウを持つ電力会社の参画を強く求められる。日本で最もノウハウを持つ東電は、事故後、海外事業から撤退した。トルコでは東芝の受注が有力視されていたが、東電の離脱で状況が一変。韓国が政官民一体で逆転受注をめざしている。フランスやロシア、カナダも輸出戦略を強化している。
 一方、日本政府は原発の新設や更新に及び腰だ。地元との合意形成に取り組まず、民間各社を束ねて牽引する役割も担おうとしない。これでは既存の原発の寿命を待つのみで、新技術も専門家も育たない。各国がしのぎを削るこの分野での競争力は落ち込みかねないのが実情だ。

福島の現状や事故の収束、放射能汚染問題、がれきの処理、除染問題、どれ一つとして見通しの見えない今、日経は「政府は原発の新設や更新に及び腰だ」と政府批判をしています。
アメリカでも、スリーマイル島原発事故以来34年間、原発の新設は一基も無かったのです。
日本はまだあの事故から1年も経っていなくて、事故収束は程遠く、事故を起こした原子炉の実態把握もできていません。
それなのに、事故の原因の究明や責任の追及は疎かにして、原発の新設、更新、輸出に励めとはよく言えたものです!!