「民意を口にして政治をするのは…間違っている」

21日の読売新聞夕刊の10頁はどの記事もとても興味を惹かれるものばかり。
宇宙エレベーター」構想は、ゼネコンの大林組が2050年に実現させると発表。
カーボンナノチューブ」という炭素繊維(鋼鉄の20倍以上の強度)のケーブルを伝って、30人乗りのカゴが、高度3万6000キロのターミナル駅まで一週間かけて向かう計画だとか。ケーブルの全長は9万6000キロ(月までの約4分の1)。根元を地上の発着場に固定し、地球の自転の遠心力で飛び出さないよう頂点をおもりで押さえる。(おもりは浮いてるってこと?)ターミナル駅には実験施設や居住スペースを整備し、かごは時速200キロで片道7.5日かけて地上とを往復。駅周辺では太陽光発電を行い、地上に送電する。動力には電気やリニアモーターカーなどを想定しているそうです。「夢に終わらせず、着実に進めていく」と大林組は偉いですね〜私もあの世の”おもり”のあたりで待ってましょうか・・・


もう一つはiPS細胞を発明した山中伸弥京大教授が寄付金集めのため「京都マラソン完走宣言」の話題。
研究に必要な寄付金の募集をインターネット上で始めた。民間からの寄付金が当初の目標を下回っており、寄付の基金をアピールするのが狙い。iPSs細胞は再生医療の切り札とされ、国は山中教授らに多額の資金を投入している。しかし、国から将来にわたる資金の投入は約束されておらず、2014年度以降の資金確保のめどはついていないという。京大が09年度に個人や団体から寄付を受ける基金を設けたが、目標の5億円には達せず、設立から3年で集まったのは3億円余り。そこで、山中教授は、挑戦項目を宣言して寄付を募るサイト「ジャスト・ギビング・ジャパン」に着目、3月の京都マラソン完走を宣言。早速寄付の応募もあったそうです。


三つ目は、古事記にまつわるお話。日本最古の歴史書古事記」が編纂されて1300年になるのに合わせて、奈良県教委は新年度、編者・太安万侶(おおのやすまろ)(?〜723年)の銅製の墓誌重要文化財)の本格的な科学調査を行う。墓は1979年、奈良市東部の茶畑でみつかった。墓誌(長さ29センチ、幅6センチ)や火葬骨、真珠、木炭などが出土。墓誌には、安万呂が住んでいたとされる平城京の住所「左京四条四坊」や、位階「従四位下」、没年月日「(養老七年)七月六日」など41文字が記されている。


そして、4つ目は、シリーズ「橋下維新を考える」の4回目。
選挙が終わった後も、何かといえば「民意」や「市民のみなさんの考え」を持ち出して発言されているのに少し引っかかるものを感じていましたので、初めて知るこの方の批判には納得でした。若い方のなかでも橋下維新の手法に疑問を感じて厳しく批判している人たちもいます。
11月24日のブログ(http://d.hatena.ne.jp/cangael/20111124/1322103973)「橋下徹氏の言論テクニック」で取り上げた中島岳志氏もそうでしたね。 <多くの人は、橋下氏の言論術に翻弄されています。彼は「ありえない比喩」を駆使し、「前言撤回」を繰り返しながら、人々の心をひきつけて行きます。私たちは、一歩引いたところから、橋下氏の言論戦術を解剖し、冷めた目で客体視する必要があります>と警戒していました。

橋下維新を考える (4)      作家 適菜 収氏(36)  民意頼り 暴走の危険
 
ーー橋下徹大阪市長は、代表を務める大阪維新の会を選挙で支持した「民意」を根拠にして、次々と新たな政策を打ち出している(が?)
橋下氏の手法を「独裁的であり、民主主義の危機につながる」と批判する人がいるが、それは違う。実は、民主主義こそが独裁を生むのだ。トップが民意だけに頼るなら、議会は不要だ。民意の後押しがあるからといって、政治家が暴走していい理由にはならない。民意を口にして政治をするのは、政治家として間違っている。


 民意をそのまま政治に反映させないために三権分立や二院制などのセーフティネットを構築してきたのが、過去の賢人たちの知恵だ。議会は民意を直接持ち込まず、プロの政治家が専門的な議論をするから価値がある。議会で熟議した結果を尊重すべきだ。


ーーメディアを通じて挑発的な言動で世論に訴えるのが「橋下流」だ(が?)
 橋下氏はテレビの視聴者が自分をどう評価するかを計算し、「改革」「現状打破」といった共感を呼ぶ言葉をぶつけている。ターゲットは、若者や主婦、高齢者、ふだんテレビでワイドショーを見ている層だ。
 

 わかりやすい敵を例示して、庶民のルサンチマン(恨み)をくすぐる手法は、郵政選挙抵抗勢力と敵対した小泉元首相と似ている。労働組合に対決姿勢を示すのも、受けるからやっているのだろう。


ーー国政進出を期待する声が広がっている(が?)
 自民、民主による政治の行き詰まりを前提に橋下氏が持ち上げられている感がある。いつの時代でも閉塞感に風穴を開けてくれるリーダーが待望される。官僚機構や古い政治体質と戦うポーズを見せる橋下氏は、テレビ向けの政治家であり、わかりやすいので、ブームになっているのではないか。(聞き手・松永喜代文)

適菜氏の言われる「民主主義のセーフティネット」=「過去の賢人たちの知恵」がここのところキチンと機能していないことが大問題です。
三権分立の司法の独立について、昨日の天木直人氏のブログ(http://www.amakiblog.com/)では「最高裁」について衝撃的な内容が書かれていました。(「最高裁が裁かれる時こそこの国に正義が実現される時だ」というのがタイトルです) 
TBSのドラマ山崎豊子の「運命の人」のあの時代から、あるいは、原発反対の今までの裁判闘争、その他いろいろ、この国の司法は国民の期待を裏切り続けてきました。挙句に検察がストーリーをデッチアゲて権力の敵(=国民の味方)を陥れてまで獄に入れようという暴挙に及ぶ今となっては・・・こういう背景も、素早く問題提起をして解決しているかに見える橋下手法の人気の背景にはあるような気がします。(大阪府の黒字化は実は実現していないとご本人が訂正されているにも拘らず、「橋下さんが黒字にした」と思っている府民が多いのではないでしょうか。私も市長選の時に本当のことを知って「なぁ〜んだ」でした。Wikipediaで「橋下徹」を調べると書いてあります。)
日本をこんな風に形骸化してしまった元凶はやはり長年自民党の長期政権をいいことに官僚が力を持ってきて、官僚のための政治をやり始めたからではないでしょうか。やはり、3年前に「自民党はダメ、変化を!」と政権交代を実現した国民の判断は間違っていなかったと思います。
あとは、その判断に応えて働いてくれる政治家を見つけること。そこのところで橋下さんは「維新の会」を受け皿にしたいと思っているし、私は、もっと大人(人間的に)で危なくない政治家や政党が新しく出てこないかと期待しています。

◎先日の漢詩、作者の南埜さんから修正分が入りましたので差し替え、添えられていた言葉も追加しました。教育現場の先生や元先生方の心配は大変だと思います。思いつきで新しい制度や仕組みに飛びつくって感じのこの度の「留年」についても。
教育は時間がかかります。逆の意味で、半世紀かかって文部省が思っていた通りの管理された教育:一般教員と管理者である校長との対立、(文部省と日教組の対立を学校や教室にまで…)、そして、少数の「受験エリート」と大量の考えない生徒、は実現していると言えます。教育は先生が教室で教材を用いて大勢の生徒たちとともに行う人を育てる総合芸術活動です。