「原発のない日本を目指して福島から叫びます」さんのブログはこのところ見過ごすことのできない記事が続いています。本題の前に取り上げたいのは、ちょうど昨日、「クローズアップ現代」が「原発作業員は今/廃炉現場で何が」という内容でしたので、それについての記事から。その前に番組の内容を少し。
東電は24000人の作業員を確保できていると言っていたのが、現在は8000人の登録しかないという。減る一方の作業員、現場では何が?という問題提起ですが、待遇の悪化が原因の一つ。原発作業員は過酷な放射能汚染の現場で危険を承知で防護服を着てのつらい作業。一日1万円で月20万円という人も。手当のつく除染作業の方が原発作業より高額という現実も。作業員の高齢化、被曝線量の限度が来て続けられなくなる人たちも。
ゲストの解説の大学の先生のお話では、人も必要だがお金も必要。お金は東電任せなら電気料金の値上げ。しかし、東電だけでは無理。国の関与は必要。その為には東電側の身を切る努力は欠かせないが、それを前提にしても国は将来はどうするのかを決めて、福島第一原発の位置づけをすべき というお話でした。
丁度、「福島から叫びます」さんも「原発作業員の証言」を記事にしておられるので、そちらを先に。全文コピーです。
原発作業員の証言 2012/11/5(月) 午後 3:33
知人を通して紹介を受け、同じ故郷の作業員の方と直接、お話できました。最近、開沼博さんの本に釘付けになっていた私としては、心の準備ができていましたが、やはり内容は衝撃的なものでした。
理不尽その1 0.1ミリシーベルトで1000円の値段がつくだそうです。そして仕事前にたかだか、1日5000円の危険手当がつくだけで、将来のことについて、異議申し立てをしない誓約書にサインをさせられるそうです。
私 「何でそんな危険な仕事をするのか」
作業員 「何てことをしてくれたんだ!という前提の気持ちがある。しかし、誰かがやらねばならないから、やっている。被災地の住民として当たり前のことだ」
私 「社会の不条理を感じないのか」
作業員 「今までも、社会は不条理だった。今更、特段、変わったものでもない。」
理不尽その2
私 「作業は、数時間なのか」
作業員 「線量によって、作業時間は違うが、数時間の場合もある。」
私 「放射線をあびると、数日間とか、休みをもらえるのか?」
作業員 「現場作業員は、関係ない。あびても、毎日作業に就いている。東電の社員は現場にはいらなくても輪番体制になっている。」
私 「やっぱり、東電社員は現場に入らないのか?」
作業員 「そうだ。事故前からそういう体制だ」
その他
私 「原発作業員はやくざ、とか暴力団の人がなっていると聞くが、実際はどうなんだ?」
作業員「地元の人が7割だ。また、7次、8次の孫受け、と言う話があるが、実際は10次受けなども存在する。初期の頃は、やくざがらみの人など、実際いたかもしれないが、収束作業にあたったという事実は変え難い事実だ。」
作業員は脱原発で声高に叫ぶ人に対して、ちっとも、胸に入ってこない、と語っていた。自分達の存在をどうしてくれるんだ!!と言っているような感じがした。
つまり、ここから、開沼さんの本にも書いてあったことだが、表面だけ騒いでも、変わらない現実が大きい、と言う事だ。
そのために、彼は、将来に備え、コミュニティーの力、団結の力を蓄えるしかない、と語っていた。
つまり、いろいろな問題意識を個人で持っても、どうしようにもならないと。
(▽開沼さんの名前が出て以降の問題については又別に取り上げたいと思っています)
上記引用先はコチラのブログ:http://blogs.yahoo.co.jp/phkhn641
2つ目はタイトルにした子どもの放射能被害について、「福島第一原発と日本の運命と全国の子供の救出」というタイトルの記事です。
元国連職員の松村昭雄氏が、10月25日、札幌で開かれたシンポジウムで講演した内容です。長い記事を読んでいると途中で切れて引用元へというのでクリックすると出てきたのが「カレイドスコープ」さんでした。これは、最近、サッパリ福島原発事故のその後が報道されませんし、放射能被害についても、その実態については数字も子供への被害についても、表だった報道は消えたようにありません。私でも、以下引用するような内容で人にお話すればオーバーなと受け取られるんではないかと思ってしまうくらい、大阪の私たちも「安心ボケ」しているようです。
それでは、出だしから一部をコピーしてみます:
世界最高峰の学者たちの共通見解を、いまだに理解できない日本の議員たち。日本の破局は彼らが招くだろう
2012年10月25日(木)、札幌市の北海道クリスチャンセンター・ホールにおいてシンポジウム「放射能による福島の子どもたちの健康被害」が行われまた。
ニューヨークから、日本の大勢の政治家たちに、福島第一原発の切迫した危機を伝えるため訪日していた元国連職員の松村昭雄さんも講師として参加しました。
■開場 18:30
■講師:発言順
・松崎道幸氏(深川市立病院内科部長・福島「集団疎開」裁判原告側証人) 00:04:50〜
・中手聖一氏(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク前代表) 00:56:00〜
・松村昭雄氏(元国連職員) 01:29:40〜
これは、IWJ Independent Web Journalが無料で公開しているコンテンツです。
ただし、無料公開期間を過ぎると、ダイジェスト版の短編だけになり、全編を視聴するためには有料会員登録する必要があります。
無料公開期間といえども、全編、文字起こしすることは営業を妨害することになるので、ここでは、松村昭雄氏の講演部分のみを文字起こしします。
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松村昭雄氏:
松村と申します。
数週間前、ニューヨークから日本に着きましたが、今、松崎先生のお話を聴いて、本当に重い感じがいたしますね。
今日は、世界から見て、福島をどう見ているか、ということをお話したいと思います。
おそらく、みなさんほとんど、日本のメディアからの情報としては、入っていないと思います。
それで、何かの参考になればと思いますが。
(福島第一原発)事故が起きたときに、私が知っている世界中の多くの科学者たちから電話があって、「昭雄、日本の危機感と、我々が感じている危機感には大きな違いがある」ということの中で、私は「これは大変なことだ」と感じた結論は、この原発の研究の最高機関、世界最高峰のものは、マックス・プランク・インスティテュート(Max-Planck-Institut)というドイツの研究所です。 100年の歴史があり、アインシュタイン、その他が働いていた場所です。
ここが世界最高の権威ですが、そこの所長をやった、ハンス=ペーター・デュール(Hans-Peter DÜRR:現マックス・プランク物理学・宇宙物理学研究所名誉理事長、ローマクラブ会員、環境学研究科客員教授))は、私の長い友人ですが、この方が言ったことが、私にとって大変、ショックでした。
「昭雄、残念なことだけれど−これは去年の4月、5月の話です−福島の事故は科学的な修復は、もう無理だ。
私たちが、どんなに考えても、この福島の事故は人類が経験したことがないものだ。
私を含めて、解決策となるアイデアの一つもない」。
これは、私にとってはショックでした。
そこで、すぐに私は谷垣総裁(自民党)、桜井新元環境庁長官(自民党・元参議院議員)、民主党の幹部に電話をして、
「この事故は、第二次世界大戦の敗戦とは違いますよ。第二次大戦の20年後には新幹線が走っています。
この事故は、もし起きた場合には、何百年、日本復興は無理です」と言いました。
ということで、日本の指導者に、世界の方々の考えを伝えておりましたが、残念ながら、菅総理、野田総理は動いていなかった。
【4号機の破滅的事態を回避するため海外が動き出した】
(松村昭雄さんは、村田・元駐スイス大使とともに、日本の政府、国連事務総長などに働きかけてきました。
また、松村氏は、アメリカ議会にも働きかけ、さまざまメディアに出たり、数々のプレスで日本の危機を取り上げさせてきました。
日本のメディアが4号機の危険性を取り上げだしたのは、その半年後でした。
総理には、総理官邸まで出向いて、何度も4号機の使用済み燃料プールの危機を訴えてきましたが、日本の最高指導者は何の反応もみせず、今に至っています。)
私自身も、ブログで「4号機と日本の運命」(日本語訳)というのを書きましたら、世界にかなり流れまして。
それで、問題点は、みんな福島の事故のメジャー、何がどのくらい危険なのか、言っている人によって全部違う。
ということで、私が考えましたのは、この使用済み燃料プールの総量、セシウム137の総量を計算してもらうだけでは分らない。世界の使用済み燃料プールの最高権威者は、ロバート・アルバレスという方です。米国エネルギー環境省の長官の特別顧問をされていた権威者ですが、そのボブに、「計算してもらいたい」と。
いったい、どのくらいのセシウムが福島第一原発にあるのか。1号機、2号機から6号機まで。
それから共用プール。全部で約1万4000本の核燃料棒が、福島第一原発にあります。
それで、計算してもらった結果が、世界の176ヶ国に流れた数字ですが、なんと、ボブ・アルバレス博士が最低の数字と上限の数字のうち、いちばん低い、それは科学者の間で議論の余地のない低い数字で出してもらいましたら、4号機だけで、1535本(未使用のものも含む)の使用済み核燃料棒が、地上30メートルの使用済み燃料プールにありますが、それだけでも、チェルノブイリ事故のときの10倍です。これでも最低の値です。
これはヒロシマ原発の5000個分。
「昭雄、この(チェルノブイリの)10倍というのは、最低の数字だよ。(普通に考えれば)20倍から50倍まで高い数字だ。
しかし、昭雄、最低値の10倍であったとしても、この数字ではおさまらない。
なぜならば、1号機で事故が起きようと、2号機で事故が起きようと、その福島第一原発のところに人は入れないんだ。
(それを計算に入れて)総量を計算すれば、なんと(チェルノブイリの)85倍」。ですから、最低でもヒロシマ原爆の5万発から10万発ぐらいになります。
もし、福島第一原発の中で、何かが起きた場合には、残念ながら、何千キロ、この博士が言うには「少なくとも三千キロは避難しなければならない」と。
ボブ・アルバレス博士は、「これを昭雄、日本の指導者は分かっているんだろうか」と。
その起こるシナリオは、こういうことです。
そのペーパーを読んでいただければ分かりますが、一つは地震が来ても、1号機、2号機、3号機は水素爆発して、メルトダウンを起こしていて、人が近づけないんです。
ですから、補強工事は事故以来、されていないんです。ですから、どのくらいの地震に耐えるか、というのは計算できないのです。
しかし、常識からすれば、(震度)6以上で駄目だろうと。
【4号機使用済み燃料プールがカタストロフィーに至るプロセス】
<省略>
実は、1985年に、ノーベル平和賞を受けたヘレン・カルディコット(Helen Mary Caldicott)博士がですね、
「昭雄、原発の政策論を言っているヒマはないのよ。
もうすでに、あなたの子供たちは大変な被曝をしている。今後、5年から15年までの間に出てくる数字は、自分は最低で100万人は超えると思う」と。
Helen Mary Caldicottについて: ヘレン・マリー・カルディコット(1938年8月7日生まれ)は、オーストラリアの医師、著者、反核唱道者。
これまで、原子力や劣化ウラン武器の使用、核兵器拡散、戦争や軍事活動全般への反対を目的とする多くの協会を設立して来た。
ラジオ番組”If YouLove This Planet”を毎週主催し、原子力や核の問題、環境や人体への影響など時代を反映した鋭いトピックと、切れ味の良いトーク、人間味あふれる人柄で多くのファンを獲得している。
2009年には、National Women's History Projectにより、Women's History Month 受賞者に選ばれた。
生い立ち:
オーストラリア・メルボルン生まれ。
カルディコットは、Fintona Girls' Schoolで教育を受けた後、アデレード大学医学部を1961年に卒業。1977年には、ボストンのChildren'sHospital Medical Center のスタッフとなり、1977年から1978年までハーバード医科大学小児科にて教鞭をとる。
1980年、スリーマイル島原子力発電所事故後、世界の目を核競争の「狂気」と発展しつつある原子力依存に注目させるべく、医学の道を去る。
1982年に、オスカーを受賞したNational Film Board of Canadaによる、論争を招いたドキュメンタリー映画If You Love This Planetの主役である。
<以下省略>
チェルノブイリ事故は26年前でしたが、ウクライナ政府が発表したものは、九州と同じくらいのエリアの中からの数字として、これは政府の発表ですよ、260万人です。そのうちの62万人が子供です。(これと比較すれば)関東一帯の人口密度からしたら、何百万人になるでしょう。
ですから、今すぐ、やらなければならないのは、科学的な実証は、松崎先生がおっしゃったように、非常に難しいものがあると思います。
しかし、私はチェルノブイリ事故の実証はあるのだから、子供を実験台に使うべきではないと。
私が国連会議に参加して、いつも感じるのは、実証が出るかでないか、というのは科学者の遊びに過ぎない、ということです。
子供は科学の実験台になるべきではないのです。
ですから、私は、増子政調会長代行(民主党)、鹿野(道彦)先生、昨日夜、東京に鳩山由紀夫元総理が、私の話を聴いて非常に驚かれて、10人の国会議員の有力者を集めて話しました。私は、「日本の政治家は危機感がない」と。
もし、日本の政治家が、この子供の危機に目をつぶっているならば、私は、5年後、10年後には、また日本の国民の破裂は起きると。
しかし、今、みなさんに申し上げたいのは、二つです。もう避けられない事実があります。
それは、(福島第一原発で)破局的なことが起きたら、これはもう終わりです。
もう、原発の再稼動の話も、どうのこうのも、世界に440もの原子炉がありますが、これも全部、もう終わりです。
こうした破局の話を(ないものとして)抜きにしても、避けられない道は二つあるのです。
ひとつは、福島の放射能を止めるまでに、東電は40年間かかる、と言っています。
しかし、私が聞いている科学者は、「昭雄、No, it isn't. 」…60年以上かかる(と言っている)
ということは、間をとっても、50年間、毎日、放射能が吹き続けているということです。そして、その放射能は消えないんです。
今、みなさんが言っている数字は、(事故後)わずか2年の量です。
これから10年、20年と、数字が積み重なるだけです。(消えないので、一方的に累積されていく)
よって、カルディコット博士は、今後、200年以上、日本の国民は広い地域において、放射能(の被曝量)を検査しながら生きていかなくてはならない民族になったことを直視すべきだと言っています。
二番目に、みなさんが覚悟しなくてはいけないことは、この60年間に放出されることの中から、子供の問題が起きてくることは避けられないのです。
これを、どういうふうにするか、政治家、みなさんの運動によって変えなければいけないのですが、子供そのものは、これから5年、10年後には、相当数、出てくることは、もう避けられない事実です。私は、これを訴えるために来ましたが、さっそく札幌に来ましたので、明日、(札幌)市長にも、お会いし、経済界の方々ともお会いしますが、私は、党の幹部ひとりひとりに会って言うつもりです。
政策論についての議論は何十年もかかる話だから、子供の問題については、党を超えて、みなさんが子供を救うという気持ちを持たなければ、すでにtoo late のところに、さらに too lateになると。
ということで、残念ながら、みなさんは(このことに)もう蓋ができないのです。
メディアの人も、蓋をしようと何をしようと、5年から10年後は、もう蓋のしようかないのです。私がいつも考えていることは、「まったく危機感がない」ということです。
驚くほど、日本人の人たちの中には、本当に危機感が…これが、もし起きたら、何百年も(復興は)無理です。ですから、昨日、私、大臣を含めて国会の先生方に言ったことは、「国難を東電に任せるということは、常識的にありえない」。国難であれば、国がやらなければ無理なんです。
チェルノブイリ事故が収束できたのは、みなさん、ご存知ですか、80万人が動員されたんですよ、軍人が。
この福島の問題を収束できるのは、私は、ブログに書きましたけれども、軍隊以外にはないんです。
放射能が高いから、近づけないからでは、(誰かがやってくれるわけもないので)工事の収束はありえません。
私は、その間に、今後、50年間も(福島第一原発にダメージを与えるような)地震が来ないと思える人はいないと思います。
ですから、最悪の事態を起こしたときに、起きたときに、もうどうしようもない、という考えはありえないのです。
起きたときの収束は軍隊しかないんです。人間がつくったものが起こした事故は、人間の犠牲をもってしなければ、国難というのは救えないのです。
私が、党のリーダーに言っていることは、国難に対して、東電がどうの、何がどうの、というのはありえない。
最終的には、軍隊が動かない限りは私は無理だと思います。
【4号機の破滅を防ぐには軍の出動を要請するしかない】
<以下省略>
講演の後、司会者が質問を受けてそれに松村氏も答えておられます。その中から端折りながら一部を:
日本の私の印象は、「安全心」と「平和ボケ」。
これほど、日本という母国が、平和ボケ、安全ボケしているしているとは思わなかったです。
それは、みなさんに言っているわけではないんですよ。
日本全体の中で、なんでもっと、あのような運動が立ち上がらなかったのか。
私のような素人が、書かなくちゃいけないと(ブログを)書き出したのは、そういうことですよ。
もう、メジャー・メディアに頼っていたら無理だと。
そう思ったので、世界の著名人の意見を、どんどん出そうと。
ということで、やっと日本のメディアが僕の数字を使うようになったんです。
だけど、みなさんがこれから立ち上がるのに、みなさんの子供には、今、日本が直面している危機は、率直に言わなければならないと思います。
「なんとかなる」という希望的な観測のものは、かえってマイナスだと思いますね。
まあ、あの僕の結論は、みなさんが民主主義の中で生きていく上で、唯一のやれることは説教(人に教え諭していく、ということ)しかないんですよ。
みなさんの意見を反映するシステムは選挙です。ですから、その選挙の中で、どのように有効的に動くかは、みなさんの運動の能力が変えると思います。
民主主義でみなさんができることは、最終的には選挙ですよ。
●●長いですが、是非、全文を「カレイドスコープ」さんのコチラで:http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1656.html