福島第一原発事故現場で働く人々

昨日は、「消費増税関連法案の衆院採決で反対し、民主党を除籍された小沢一郎元代表らは、衆院議員37人、参院議員12人の計49人と新党『国民の生活が第一』を旗揚げ。小沢元代表が代表に就き、反増税脱原発の主張を鮮明にした。」
これで、脱原発を掲げる野党第二党の政党が生れました。正当性を欠く野田政権が、安全性を無視した原発再稼動は決めるは、オスプレイは受け入れるは、増税は決める、と「決めてほしくない」ことを勝手に「決める」し、大阪市長は「決められる」野田さんを変わり身宜しく「褒めたたえる」は、といよいよ無茶苦茶な政治の世界でブレーキ役になってくれないかと、期待しているのですが・・・



ところで、本題に入る前に、「カレイドスコープ」さんから今日のおススメ記事を:

内部被曝
<福島「線量0」の子でも実は被爆・政府は保護者に通知せず>
国会・事故調査委員会の「福島第一原発は人災」認定から、政府の原子力災害対策本部による国民への犯罪行為が次々と明らかになっています。

災害対策をするはずの政府が子供たちが被曝させてきた事実を隠し、体内に取り込まれた放射性物質を排出できる機会を奪ったのです。

今日のニュースです。(全文はコチラで=http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1422.html

さて、本題。最近2つのブログで見つけた、原発事故現場で働く人々についての記事です。
一つは「一日一尺一寸 本屋の小僧」さん(http://d.hatena.ne.jp/kuromori999/)から、「立ち読み」2冊を紹介です。
「ヤクザと原発 福島第一潜入記」(鈴木智彦)と「犠牲のシステム 福島・沖縄」(高橋哲哉)からです。
また記事の中で紹介されている「上関原発音頭」(引用の中でも青色太字にしました)は30年間、反原発闘争を闘っている祝島の方たちが、80年代に看板に書きつけた歌詞だそうです。
コピーしてみます。

◆◇◆立ち読み・坐り読み◆◇◆


鈴木智彦『ヤクザと原発 福島第一潜入記』文藝春秋刊(71)


《「原発はタブーの宝庫。だからオレらが儲かる!」


  某地方の暴力団組長
  −暴力団専門ライターが実際に動いたからこそ書ける原発という巨大なシノギ
 「原発は儲かる。どでかいシノギだな。電力会社と交渉して、ゼネコンと話付けて、地元の土建屋に仕事を振る。代紋な
  しではとても捌ききれん。原発はタブーの宝庫。裏社会の俺たちには、打ち出の小槌となるんだよ」。
  ヤクザが語る衝撃の事実。日本最大のタブーがいま明かされる! ―誰も書けなかった 命懸けの衝撃ノンフィクション―》
  【表紙帯から】 



▼△第ニ章 放射線 vs 暴力団専門ライター(17)△▼


・作業員死亡事故は人災・(その2)


誰一人、政府が東電に作らせた工程表を守れると思っていない


《「――元々現場では誰一人として、政府が東電に作らせた事故収束までの工程表を守れると思っていない。


協力企業の多くが「それぞれの会社の作業員の数が倍になって、奇跡的に毎日の天候が作業をが阻まず、なんの事故もなく、すべてがスムーズに運んで、ようやくその工程表が実現する」というのだから、まず間違いなく遅延するだろ。

どれだけ政府が圧力をかけようと、東電が懇願しようと、現場では実際に作業を行う人間の発言力が強い。協力企業の発言力は送りこんでいる作業員の数に比例する。

当時の1F(東京電力福島第一原発)は、それぞれの作業員の持つ高いモラルにより、かろうじての安全が担保されている状況だ。

実際、やり放題、好き放題しようと思えば可能である。一例を挙げれば、カメラを協力企業の作業員に渡し、写真を撮ってきてもらっている出版社がかなりある。

10万円から20万円の現金をくれるので、作業員にとってはいいアルバイトだ。作業員が宿泊しているいわき湯本の旅館では、カメラマンが差し入れを運んでくる姿をよく見かけた。

マスコミの他、いわき湯本にはおかしな市民団体もやってくる。作業員に手当たり次第測定器を当て、「あなたも放射能に汚染されています!」と金切り声を上げるのだ。

私が目撃した市民団体は、原発で作業していない人間に対しても「汚染さています!」と叫んでいた。本気で反原発運動をするなら、正確な知識を学び、まともまな測定器を買うべきだろう。
――」》



ヤクザと原発 福島第一潜入記・文藝春秋 (2011/12/15)
・〈目次〉・
序 章 ヤクザの告白「原発はどでかいシノギ
→第1章 私はなぜ原発作業員となったのか
第2章 放射能vs.暴力団専門ライター
第3章 フクシマ50が明かす「3・11」の死闘
第4章 ついに潜入!1Fという修羅場
第5章 原発稼業の懲りない面々
終 章 「ヤクザと原発」の落とし前



関西電力大飯原発3号機の再稼動のニュースを聞いて、浮かび上がってきたのが「上関原発音頭」です。
中国電力の上関原発に反対しつづけた祝島の人たちが、一九八〇年代に大きな看板を掲げ、書きつけた歌詞です。


町長選挙で50万
旅行に誘って1万円
チラシを配って5千円
名前を貸すだけ1万円
印鑑集めりゃ金と酒
ちょいと顔だしゃ寿司弁当
金が欲しけりゃ中電さ
これじゃ働く者がばか
原発推進よよいのよい



放射線やら黒い霧
まみれた金をふところに
チケットもろうてはしご酒
飲む打つ買うで有頂天
バーやキャバレー温泉と
ゆるんだバンドも新品に
これぞこの世の極楽じゃ
女房子供もなんのその
原発さまさま よよいのよい


お釈迦様さえ言い残す
金より命が大事だと
人間ほろびて町があり
魚が死んで海があり
それでも原発欲しいなら
東京 京都 大阪と
お偉いさんの住む町に
原発どんどん建てりゃよい
ここは孫子に残す町
原発いらない よよいのよい
反対反対 よよいのよい



※うそつきに与えられる刑罰は、少な
 くとも彼が人から信じられないとい
 うことではない。むしろ、彼がだれ
 をも信じられないということである。

        バーナード・ショー


福島県 3・11 から1年4ヶ月後も、県内外に16万人が避難中
◆◇◆立ち読みのはしご◆◇◆


高橋哲哉『犠牲のシステム 福島・沖縄』(集英社新書)☆(36)


《経済成長も安全保障も「犠牲」の上に成り立っている。『靖国問題』以来、6年ぶりの書き下ろし新書!
 本書のテーマは、犠牲のシステムとしての福島と沖縄である。
 それは、一九四五年の敗戦以後、今日までの日本を「戦後日本」と呼ぶなら、これら二つの地名が、
 戦後日本の国家体制に組み込まれた二つの犠牲のシステムを表しているからだ。》【表紙帯から】




▼△第ニ章 犧牲のシステムとしての原発、再論 〈10〉△▼
・自然環境の汚染・(その1)


放射能物質の総量は、広島型原爆の一六八個分に相当する
《「――福島という名前が、今やアルファベットで FUKUSHIMA(フクシマ)と表記されるようになった。
ヒロシマナガサキ、フクシマ」とか、「スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ」とか言われるようになった。



3・11は福島県民の核の大惨事をもたらしたのだということを、まず銘記しなければならないと思う。


今回の事故で、福島第一原発から事故後一週間で大気中に放出された放射能物質の総量は、七七七テラペクレル(一テラは一兆)とされている(六月六日、原子力安全・保安院による公表)。


そして、八月ニ五日付の東京新聞報道によると、福島第一原発一号機、二号機、三号機から、放出されたセシウム一三七の放出量は、一万五〇〇〇テラペクレルであった。


これを広島型原爆と比較すると、広島が八九テラペクレルなので、広島型原爆の一六八個分に相当する(政府発表)。


これに対して北欧の研究者らは、世界の各実験監視網で観測したデータから逆算して、第一原発事故初期のセシウム一三七の総放出量は三万五〇〇〇テラペクレルに上り、日本政府の推計の二倍以上になる可能性があると発表している(『ネイチャー』電子版、一〇月ニ五日)。――」》



◎震災後の福島県の人口推移。



人口は4月1日現在で、196万9852人。東日本大震災東京電力福島原発事故前の2011年3月1日の推定人口202万4401人と比べると、5万4549人減っています。


子ども(15歳未満)の数は25万6908人で、前年同期と比べて、1万5494人減少しました。


風評被害は、いまだ、抑えられません。小中学生を対象した教育旅行も減少しました。会津若松市仙台市は、福島第一原発から、ほぼ同じ距離なのに、一昨年は106校も訪れた仙台市からの小学生の教育旅行はたった4校に激減してしまいした。
毎日新聞 07/03 付「原発災害の風化、風評と闘う」 by 佐藤光俊・福島民報社編集局長 )


もう一つは「原発のない日本を目指して福島から叫びます」さんから
「フクイチ原発収束作業員、都市部の反原発運動に悲痛な訴え!」(ttp://blogs.yahoo.co.jp/phkhn641/13598425.html)

福島第一原子力発電所に勤める原発収束作業員。


 皆さん、こんばんは。僕は福島第一原発の収束作業をしています。僕は昨年度、たった3カ月間で7ミリ(シーベルト)の被爆をしています。僕の職場は比較的安全というか、いちばん安全な場所かもしれません。そのようなところでも、すでに労災白血病の認定基準である5ミリシーベルトに2カ月半〜3カ月でなっています。


 皆さん、原発というのは差別を生み出すシステムでした。今、収束作業を行なっているのは、都市部の貧困の人々、そして、寄せ場や福島の貧困な地域(の人々)、東北の出稼ぎ労働者(といった方々です)。皆、本当に日給1万円にも満たない状況のなかで働いています。


 原発労働というのは、実は差別の問題であります。その差別的な状況を、実は推進派であっても、反対派の皆さんであっても(よく分かっておられない)、今、廃炉という作業、収束の作業をやっているのは、紛れもない僕たち人間です。僕たちは人間なんだ。そして、僕たちはその人間としての尊厳を取り戻したい(のです)。


 日給8000円とか1万円とか、そんな金額でどうなんでしょうか?将来の不安もものすごくあります。多分、このままですと、僕たちは健康被害が出たとしても保障されないかもしれません。そして、僕たちのような収束作業員のことを親身に気遣ってくれるのは、福島の現地の住民です。
しかし、都市部の住民は、無責任に「ハイロ、ハイロ」とそのようなコールをします。だけど、その廃炉の作業をしているのは人間です。収束作業員です。都市の人たちに本当に言いたい。無責任な「ハイロ」という言葉ではなくて、その廃炉に向けて皆でこの原子力という技術が生み出す差別の問題を、自問自答しながら、そしてこの新しい社会、新しいエネルギーをこれから皆で考えて(いきたい)。


原子力という技術が生み出した差別の問題を、自問自答していかなければ福島の現地住民や収束作業員と一緒の気持ちで未来に向けた収束作業、廃炉作業はできないと思います。

 皆、本当にこの原発をなくしたいんだったら、人任せの廃炉作業(ではなく)、僕たちに任せるのではなく、廃炉作業を行なう僕たち収束作業員をもっともっと増やして欲しいですし、皆でどのようにこの原発廃炉)を現地の人と一緒にやっていけるのか、考えて、本当に考えてください。


 大飯原発の社長さんに会いました。社長さんはテレビのインタビューがあった時に、「私は再稼働に賛成だよ」という話をしました。しかし、収録が終わった後、社長さんはこう言いました。皆、反対なんだよと。自分の身内は皆反対なんだと。この大飯原発の現状は、賛成、反対がごちゃまぜになっているところに、クサビを埋め込むのが、そして分断していくのが都市部の反原発運動であったり、電力会社であったりするわけです。賛成も反対も同じような支配者の視点からそのような原発住民の分断を図っている。そのようなことを皆さん、もっともっと気付いて、そしてその中で未来に向けて皆でやっていくことを模索していきたいと、そういうふうに皆さんに提案したいと思います。

(写真はどれもYさんのお宅の垣根のアジサイと「草が生えるくらいなら花を」と言うYさんのお宅の玄関前の溝際に咲くオレンジのクロコスミア)