二つの線量計といわき市のお母さんのメッセージ(井戸弁護士)

今福島はどうなっているんだろう?ということについて、新聞、テレビでは、殆ど知ることができなくなっています。
そのことについて、「みんな楽しくHappy♡がいい♪2011年3月11日。その後私は変わりました。」さんが取り上げて文字にしておられる記事があります。いつもながら解り易い写真と文字起こしに感謝です。

あの北陸電力志賀原発(石川県羽咋郡志賀町)原子炉運転差止判決(2006年)を言い渡した井戸謙一弁護士が「ふくしま集団疎開裁判から見えてきたふくしまの現状」と題して、9月14日、兵庫県加古川総合庁舎で講演されました。
内容は、子どもの健康調査から心臓や糖尿、高血圧などについて、また、子どもだけ?という問題の後、福島の今とこれからの問題にもついても話をされています。
その中でも私が驚いたのはこの事実でした。

これは、モニタリングポストの虚偽データですけれども、
一つのところに二つのモニタリングポストが並んでいる。
一つは、最初に文科省の入札で落とした東京のアルファ通信という会社のモニタリングポストで、これが福島県の600カ所に設置された段階で、
「データが高すぎる」と言われて、「もっと落とせ」と言われて、社長がそれを拒否したら契約を解除された。
で、その後随意契約で日立系の会社に発注して、その日立系の会社が福島県内3000カ所にこのモニタリングポストを設置した。
アルファ通信はそれを撤去しないので、同じ場所に二つのモニタリングポストが並んで設置されているという状況です。
このアルファ通信は国を相手に東京地裁に損害賠償請求訴訟を起こしている。

この記事は、「今、ふくしまで何が行われているか」で語られた一部です。明らかに線量が低く抑えられているということです。
それでは、最後に読み上げられたお母さんのメッセージをコピーします。

いわき市のお母さんからのメッセージ


「最後にですね、これは福島のいわき市のお母さんからのメッセージというものがありますので、私がお話しするより、それを読み上げた方がより、福島の方の気持ちがお分かり頂けるだろうと思いますので、それを読みあげたいと思います。」(井戸弁護士)


起こってしまったということは認めないという、恐ろしい力で全力での封じ込めが行われ、被害を被害と思わず、何もなかったかのようにしてしまいたいという意図によって、私たちの子どもたちはひどい扱いを受けている。これが福島の実態です。ここに美談などは存在せず、恐ろしい程の封じ込めによって、真実が伝わらないという現実が存在している事を知って下さい。


「なぜ避難せずにそこに住んでいるの?」そのような質問に対し私たちは正直に答えます。
安心してここに住んでいる人がどれほどいるのかわかりませんが、国や行政が子どもたちを守ってくれないという現実を知ってしまった今となっては、少なくとも私たちのように子どもの未来を考え、さまざまな事に対してこのままではいけないと思っている母親たちは、チャンスさえあればすぐにでもこの地を離れ、子どもを安全なところで育てたいと思っています。それがかなわない理由は家庭によって異なりますが、被ばくによる影響を受け入れてここに残っているわけではないという事をお伝えいたします。


私たちはここに住んでいながらも子どもを守ることができるように、リスクを減らすために必要な対策を求めており、いままでは教育の現場にそれぞれが対応を求めてきましたが、それには限界があり、子どもたちも先生も、もちろん私たちも疲れてしまうので、今はそれを行政に申し入れ、交渉を行っています。しかしそれもまた、多くの疲労を伴います。
一番身近にある行政自治が守ろうとしているものは、大切な存在である子どもたちの未来ではなく、地元の経済復興であるという事を私たちは感じてしまいました


このままで本当にいいのだろうか。
この家に残りながらもあらゆる対策によって守られたと、将来子どもたちにそのように思って欲しいと願っていますが、事故から2年が過ぎた今、胸を張って子どもの未来を守っていると言える大人がどれほど存在しているでしょうか。


わたしたちはこの国が、子どもの未来の事をどうでもいいと思っている事、子どもの未来を放り投げ見捨てたという事を知っています
わたしたちの大切な子どもたちは経済復興のためのシンボルとして、原発を再稼働させるために、原発事故の影響など大したことないと思わせるために、原発事故が起こってもすぐに復興する事福島はもう元に戻ったことへのアピールとしての材料として国に利用されているそのような存在です


普段通りの日程で行われた始業式。
高線量の中、被ばくをしながらランドセルを背負い学校に通わなければならない理由は何だったのでしょうか?


情報は正しく伝わらず、ここいわき市では時期を同じくして安全宣言が出され、数々のキャンペーンがスタートしました。「食べて応援」をお願いするためにはここが安全であることをアピールしなければならない。そのためには子どもたちの給食にも地産地消を復活させて、給食でも使用する程安全であることを広く伝える必要があるのです。


冷静に考えて、なぜここに住む子どもたちはこんなリスクを背負わされないようにと全力で守る体制によって守られないのでしょうか。


私たちは子どもを真っ先に疎開させる選択ができなかった国の判断を誤った判断だと思っており、次々に強いられることの数々に対し、これは人権侵害であると感じています


「市民の力は小さくていかに無力であるか」という諦めが、福島全体を覆っているように感じます


3.11という出来事が私たちに投げかけたものは、「大切なものはなにか」という問いかけであったと感じている私たちは、長いものに巻かれることなく、小さい力も諦めずに進み続けていきたいと思っています


私たちの思いが全国に届き、「本当の復興とは何か」を社会全体として考える事ができる事を願っています。

◎是非「Happy」さんを訪ねて全文を:<問題は甲状腺がんだけなのだろうか?井戸謙一弁護士「ふくしま集団疎開裁判から見えてきたふくしまの現状」9/14(内容書き出し)>
(http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3273.html)