工藤函館市長の「提訴について」と12年前の「北海道条例」


4月3日、「函館市大間原発差し止め提訴」という大見出しで、次のように報じられました:青森県で建設中の大間原子力発電所について、津軽海峡を挟んで半径30キロの範囲内にある北海道函館市が「事故になれば大きな被害を受ける」と主張し、国と事業者に原発の建設中止を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。自治体が原発の建設差し止めの裁判を起こしたのは全国で初めてです。
その前日の2日、函館市長は「提訴について」という提訴の理由や原発についての考え方、そして大間原発の問題点などについて次のような文章を発表しています。引用元はコチラ:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140404/1396549365

大間原発の建設凍結のための提訴について

2014年4月2日

平成26年4月 函館市長 工 藤 壽 樹


なぜ建設凍結を求めるのか


平成23年3月11日の東日本大震災から丸3年が過ぎましたが、いまなお、福島県では、福島第一原発の事故処理が終息しておらず、13万人の方々が避難を余儀なくされております。

 私達は、福島第一原発のあの事故の凄まじさを見て、原発をこれ以上増やすべきではなく,建設中や計画中の原発は、当分凍結すべきと考え、国や事業者である電源開発(株)に大間原発建設の無期限凍結を要請してまいりましたが、前政権の下で平成24年10月1日、建設が再開されました。



その後、国は福島第一原発事故を踏まえ,万が一の事故の際には被害が大きく危険となる地域を、これまでの8〜10Kmから30Kmに変更したところです。


 その30Km圏内に入る函館市や道南地域への説明もなく、また、同意を得ることもなく建設が再開され、建設後には、大間原発の事故を想定した地域防災計画や避難計画を定めることを義務づけられることは、整合性を欠き、誠に理解しがたいものです 


平成24年10月、25年2月には、国や事業者に対し、函館市をはじめ道南の自治体や議会、経済界、農漁業団体、住民組織などが名を連ね、大間原発建設の無期限凍結を求めてきたところです。 

 
平成25年7月には、福島第一原発の周辺自治体である南相馬市浪江町を訪問し、事故当時や現在の状況についてのお話しをお聞きし、原発事故が起きれば、周辺自治体も壊滅的な状況になるということを確認いたしました。そして、住民の生命、安全を守らなければならないのは、最終的に基礎自治体である市町村であることをあらためて強く感じたところです。

<略>


函館市原発に対する考え方


原発をこれ以上増やすべきではなく、建設中や計画中の原発は無期限で凍結すべき

原発の新設は、福島第一原発の大事故を起こした我々世代が判断することではなく、他の安全なエネルギー開発の状況を見ながら将来世代の判断に委ねるべき

原発の建設をするとしても、あらかじめ自治体が避難計画を立てられるかどうかを審査し、少なくとも30km圏内の自治体の同意を得るべき

脱原発・反原発原発容認など様々な意見があるなか、本市にとっては大間原発の無期限凍結が最大の課題であり、原発政策に対して特定の立場はとっていないことで多くの理解が得られ、そのことで道南地域がまとまって行動している



大間原発の問題点

福島第一原発事故以前の審査基準により許可され、建設が進められていること

・毒性が強く危険性が指摘されているフルモックス(プルトニウムとウランの混合燃料だけを使用)での世界初の原子炉であること

大間原発の北方海域や西側海域に巨大な活断層がある可能性が高いこと

大間原発が面している津軽海峡国際海峡であり、領海が通常の12海里(22km)ではなく、3海里(5.5km)しかないことからテロ対策をはじめ安全保障上の大きな問題があること

・既存原発の再稼働とは異なり,電力需給の問題を生じるものではないこと

大間原発では使用済核燃料は20年分しか保管できなく、その処理の方法や最終処分地などが決まっていないこと


大間原発で過酷事故が起きた場合

・遮蔽物もなく、最短で23kmに位置する道南地域が危険にさらされ、観光産業をはじめ、漁業や農業を基幹産業としている道南地域にとっては、地域経済に壊滅的な打撃を与える。

・主な避難経路が国道5号を利用して北に向かう道路と国道227号を利用して、厚沢部方面に向かう道路しかなく、交通事情から考えると北斗市七飯町を合わせた函館圏35万人もの大規模な避難は不可能である。

函館市域が放射性物質により汚染され、市民の離散が生じ、地方自治体としての機能が崩壊する。

◎ところで「おとじろうとらいるのひび」さんでは、「12年前に全国に先駆けて、原発ゼロを目指した『北海道新エネ・省エネ推進条例』が施行されているのを知ってましたか」(http://blog.rairu.com/?eid=1577)という書き出しで、「北海道条例」を紹介しておられます。

3/31 北海道の条例と 『脱原発


 北海道は、12年前に全国に先駆けて、原発ゼロを目指した「北海道新エネ・省エネ推進条例」が施行されているのを知ってましたか。

その条例の中には、しっかり『脱原発』という言葉もあるのです。抜粋します。


 『私たちは、積雪寒冷な北海道においてエネルギーが社会経済の健全な発展と生活の安定のために不可欠な要素であることを深く認識し、脱原発の視点に立って、限りある資源を可能な限り将来に引き継ぐとともに、北海道内で自立的に確保できる新しいエネルギーの利用を拡大する責務を有している。 
 このため、私たちは、エネルギーの使用が人の様々な活動から生じていることを心に留め、社会経済活動や生活様式の在り方を見直し、エネルギーをむだなく大切に使用するとともに、北海道の自然や産業に根ざし、環境に優しい新しいエネルギーを育むことにより、人と自然が共生し、環境と調和した社会を築いていくことが必要である。』



いいこと言ってますよね。

私の好きな3点はこれです。
1.自立的に確保できる新しいエネルギー
2.社会経済活動や生活様式の在り方を見直し
3.北海道の自然や産業に根ざし


この条例を実現するために北海道知事、議員さんに真剣に取り組んでもらえるよう何かできないでしょうかね。


今、北海道も含め、日本では原発が全く動いていません。
福島の原発事故が起きる何年も前にできた条例です。
でも、まさしく今こそ、この条例が生きてくるのだと思います。


この条例を本物のものとするのは「今しかない」と私は思うのです。


北海道条例第百八号 北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例全文は以下のページをみてください。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kke/johrei/johrei.htm

◎で、おとじろうさんたちは(1)番の「自立的に確保できるエネルギー」を実現しています。
詳しくはコチラで:「ぞうさん太陽光発電」(http://blog.rairu.com/?eid=1584
(写真は5日の「平家物語」の講座の後、中央学習センター(メープルホール)ロビーのショーケースに飾ってあった創作人形と、桜井からの帰りサンデイ横の小さな菜の花畑)