「自治体に避難計画を作らせるのは無理」(井戸川元町長&泉田知事)

PS:今日から5月、早速1日のドイツから「明日うらしま」さんの記事(http://tkajimura.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html)です:

ベルリンで「安倍首相訪独歓迎抗議デモ」・両首相記者会見・これでは国際的信頼構築は無理


 前回予告しましたように、本日4月30日、安倍首相の欧州外遊の最初の訪問国であるドイツのベルリンの首相府前で日独韓の市民たちによる「安倍首相訪独歓迎抗議デモ」が元気に行われました。この日のデモと首相府で行われたワーキングランチ後の両首相の記者会見の様子を、写真と簡単な解説でお伝えしましょう。

早速、時事通信が→以下のように報道しています。保存のため写真を除く全文を引用させていただきます。

    安倍首相に脱原発訴え=首脳会談場前でデモ−ベルリン


【ベルリン時事】安倍晋三首相とドイツのメルケル首相の首脳会談が行われたベルリンの首相府前で30日、会談時間に合わせ、市民や在留邦人ら約50人が安倍首相に脱原発を訴えるデモを行った。
 デモ隊は「安倍首相に抗議します」との横断幕を掲げ、「再稼働反対」「さよなら原発」とシュプレヒコールを上げた。
  参加した主婦ヘートウィヒ・ツォーベルさん(63)は「東京電力福島第1原発の事故が起きた日本で原発が再稼働されたら最悪」。タクシー運転手ベルント・ フリーベーゼさん(54)は「安倍首相に国民と子供を守れと言いたい」と話した。(2014/04/30-23:44)

◎デモの様子、警察官の対応の日独の違い、NHKとDW(ドイッチェヴェレ)の「国営放送と公共放送」の違い、記者会見での安倍・メルケル両首相の違いなどたくさんの写真入りの解説は、決して日本のメディアでは得られません。在独梶村氏のブログ「明日うらしま」の全文はコチラ:http://tkajimura.blogspot.jp/2014/05/blog-post.html


〇(ここから今朝アップした記事です)4月26日、自然エネルギー普及を進めている小田原市で開かれた『脱原発をめざす首長会議』は、東京電力福島第一原発事故を教訓に、全国自治体の有志で発足し、政府に新たな原発を造らせず、原発依存のエネルギー政策からの脱却を目指しているそうです。
 今年の第三回年次総会には、加藤憲小田原市長や、茨城県東海村の村上達也前村長ら首長経験のある計19人が出席。役場機能ごと避難した経験を持つ福島県双葉町の井戸川克隆前町長は「国は避難にかかわる法律を作らずに、自治体に避難計画の責任を負わせるのは無理強いだ」と述べたとか。

この避難計画について、新潟県知事の泉田知事がアメリカのNRC元委員長のヤッコ氏と対談(3月12日)した記事(4月17日)の中で、井戸川氏と同じように「国の制度全般を見直さない限り、自治体が有効な避難計画を作るのは不可能だ」と述べています。その部分をコピーしてみます。
引用先は「syuueiのメモ」さんのコチラで:<「再稼働支持しない」 NRC元委員長、新潟知事と対談>(http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140418/1397765828


「再稼働支持しない」 NRC元委員長、新潟知事と対談
奥山俊宏、関根慎一、堀内京子

2014年4月17日18時47分 朝日新聞


 東京電力柏崎刈羽原発のある新潟県泉田裕彦知事が、東日本大震災発生時に米原子力規制委員会(NRC)の委員長だったグレゴリー・ヤツコ氏と対談し、原発事故や地震の複合災害が起きた際の住民避難について「国の制度全般を見直さない限り、自治体が有効な避難計画を作るのは不可能だ」と明言した。柏崎刈羽原発を再稼働させるには有効な避難計画を前提とするとも受け取れる発言で、ヤツコ氏も「問題点の対応をしないと再稼働を支持できない」と述べた。ヤツコ氏は、東日本大震災が発生して3年がたつのにあわせて東京大学で開かれたシンポジウムに出席するため、原発事故に関する「民間事故調」の母体となった財団法人日本再建イニシアティブの招きで来日。対談は3月12日夜、東京都内で行われた。主なやりとりは以下の通り。

◎少し長い対談が4つの項目で続きます。
■ヤツコ「80キロの避難勧告はよい判断だった
■泉田「機能しない避難計画は作れる


 泉田 作ろうと思えば機能しない計画は作れる。指針はできている。が、実効性が伴わない。半径5キロ圏内に2万2千人、30キロ圏内に46万7千人が住む。米国基準では立地不適格に該当するエリアだ。


 2007年の中越沖地震では、変圧器から漏れた油で原発敷地内で火災が起きた。当時、東京電力はこの消火に失敗した。地震で地面が1メートル50センチくらい沈没し、消火栓に水を運ぶ水道管が破壊され、消火活動ができなくなった。消防隊が避難してしまった。


 新潟県庁と柏崎刈羽原発のホットラインが地震のときに機能しなかった原発側でホットラインのある部屋のドアが地震でゆがんで開かず、職員が入れないのが原因だった。地震でも対応できるホットラインのある部屋をつくるよう東電に要求し、できたのが免震重要棟同じ東電の施設なのに新潟にだけあるのはおかしいよねということで、福島第一原発に免震重要棟をつくったのが東日本大震災の8カ月前だった新潟が「免震重要棟をつくってくれ」と言わなければ、福島第一に免震重要棟はなかった今、東京に人が住めていたかどうか疑わしいと思っている


 原発事故が起こるのはおそらく地震津波などとの複合災害だろう。そういう中で、実効性ある避難計画をつくるのは極めて難しい。


 福島では病院や高齢者福祉施設での無理な避難で多くの命が奪われた。複合災害の下で2万人、あるいは46万7千人を避難させる前提で避難計画をつくれと言うのは、極めて現実から乖離(かいり)している。
 

福島の事故では住民避難や物資支援のため新潟からバスやトラックを出したが、民間企業の運転手は危険地帯に入るのを拒否した。避難指示が出ている所に民間人を入れるのは極めて困難だ。日本の労働法制では一般人の被曝(ひばく)限度は定められている。それを破って救助していいとはならない。そんな契約をしてくれる会社は存在しない米国では救助に行く任務を負う州兵が存在している。


 ヤツコ 州兵や地元の保安官だ。


 泉田 日本では、消防隊が行くのか、自衛隊が行くのかという議論すらしていない民間人の被曝線量基準を緩めるか、救助してくれる部隊をつくるか、この合意なしに自治体に避難計画を作らせるのは無理だ。 


 ヤツコ 驚くべきことだ。


 泉田 したがって、避難計画を作った自治体というのは形だけで実際には機能しない計画だ。

■ヤツコ「再稼働は自信をもって支持できない
■泉田「住民の命を守る組織には見えない

〇全文は「syuueiのメモ」さんのコチラで:「再稼働支持しない」 NRC元委員長、新潟知事と対談(http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20140418/1397765828

写真は、我が家で咲いた最初で最後・唯一のドイツアヤメジャーマンアイリス)の花と庭のあちこちで咲いているイチハツ、高知のSさんのお庭がこのイチハツの実家です。