「私たちが9条を失うと…」と「イラク派遣の犠牲者?は」

◎「小海キリスト教会牧師所感」さんの19日のブログ「私たちが9条を失う時」(http://d.hatena.ne.jp/koumichristchurch/20140519/p1)から一部をコピーさせていただきます


 解釈改憲」よってであれ、本格的改憲によってであれ、憲法9条を失う時、私たちの国には具体的に何が起こるだろうか。


(1) 9条を失うと、格差社会のなかで職にありつけない若者たちが自衛隊国防軍)に就職し、戦場で「敵」を殺し「敵」に殺されることになる

 米国ではベトナム戦争後、徴兵制はやめた。その代わり、20―30歳代の「ワーキングプア」を政策的につくりだすことによって、彼らを兵士としてリクルートしている。米国では軍隊が高校にリクルートにやって来て、軍隊に行けば退役後、奨学金や就職の世話をするといって宣伝している。しかも、その約束はしばしば空手形に終わる。戦死するか、戦死しなくても、戦地で心的外傷PTSDを負って人格が破壊され、ある人たちは自殺してしまうからである。


(2) 9条を失うと、戦死者を祀るために靖国神社護国神社が息を吹き返し、憲法20条(政教分離・信教の自由)は有名無実となる。
 「国が戦死者を顕彰しないで、だれが戦争に行くものか」と中曽根総理が言ったとおり。戦死者が出れば靖国神社に戦死者を祀るべきだという世論が支配的になり、靖国国家護持という動きになろう。そして政教分離・信教の自由はないがしろにされる。


 

(3)9条を失うと、人道支援に出かけている医師・ボランティア・駐在員たちが信用を失い危険な目にあうことになる

 「9条があるから、海外では、これまで絶対に、銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさを、つくづく感じるんです。


日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれているこれを、外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。」(中村哲 アフガニスタンで、水源確保事業など、現地での支援活動を続ける中村医師の言葉)

 危険な目にあうのは、医師・ボランティアだけでなく、海外駐在員も同じである。首相は海外に住む国民を守るというが、かえって危険な目にあわせることになる。ちなみに、紛争時には自衛隊機は邦人保護のために海外に出動できるとすでに自衛隊法に定められている


(4)9条を失うと、日本国内でもテロの恐怖に怯えて生活しなければならなくなる(略)
 
(5)9条を失うと、PTSDで苦しむ帰還兵の差別と犯罪と自殺が増える(略)

(6)9条を失うと、日本国内での警察の取り締まりなどが厳しくなる(略)

(7)9条を失うと、戦争中毒になる
 経団連所属団体など軍需産業によって一時的に景気がよくなり、軍需産業頼みの国家経済となっていく。ところが、兵器は戦争がないと消耗しないから、10年ごとに「在庫一掃セール」としての戦争をしなければならなくなる。財界は戦争をするように政府に圧力をかける。つまり、戦争依存症状態に陥ってしまう。米国はまさにその典型。

◎翌日20日の「小海キリスト教会牧師所感」さんが紹介されているブログから、「いままで自衛隊の犠牲者は一人もいないはウソ」と言う内容の記事です。
きっこのブログ」さん、19日の<集団的自衛権」という戦争のための大義名分>から、後半部分です:引用元(http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2014/05/post-59dd.html

‥‥そんなワケで、憲法の解釈変更の是非は置いといて、ここからは、日本が憲法に違反して実際に「集団的自衛権」を行使した実例を振り返ってみよう。それは、小泉政権下の2003年12月から2009年2月まで強行されたイラク戦争への自衛隊の派遣だ。これは、その前の湾岸戦争の時に、アメリカから「日本は同盟国なんだからカネだけじゃなくて『血の犠牲』も払え!」と言われたために、アメリカの飼い犬の小泉政権下で強行された悪しき実例だ。



もちろん、日本には「憲法9条」があるし、当時は解釈変更なんていう姑息なゴマカシも行なわれていなかったから、自衛隊を派遣するためには憲法の網の目をすり抜けるためのイイワケを考えなきゃならない。そこで、小泉政権では、「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」というタテマエの看板を作り、その前提として自衛隊の活動できる範囲を「非戦闘地域」に限定した。


だけど、「どこが戦闘地域で、どこが非戦闘地域かなんて、どうして分かるのか?」という野党からの質疑に対して、当時の小泉首相は「自衛隊のいる場所が非戦闘地域です」という支離滅裂な答弁を繰り返した。そして、国民の85%の反対の声を無視して、日本の自衛隊イラクへ派遣されることになった。


で、日本のテレビでは、ヒゲの隊長が現地の人たちに飲料水を配給して感謝されてるような平和的な映像しか流されなかったし、政府は「自衛隊は全員無事に帰還した」なんて報告して、多くの日本国民を騙し続けた。2006年には、当時の外務大臣だった麻生太郎が「日本の自衛隊は、これまで2年半の間に1人の犠牲者も出さずに人道復興支援をやり遂げてくれた。野球で言えばノーヒットノーランぐらいすごいことだ」とコメントした。


でも、実際には、この時点で、複数の自衛隊員が亡くなっていた。この1年後の2007年11月13日、社民党照屋寛徳衆議院議員(当時)の「イラクから帰還した自衛隊員」に関する質疑に対して、当時の福田康夫首相は、「イラクに派遣された隊員のうち在職中に死亡した隊員は35人」と回答した。内わけは「陸上自衛隊14人、海上自衛隊20人、航空自衛隊1人」で、死因は「自殺」が16人、「病死」が7人、「事故又は不明」が12人だ。


これは、自衛隊イラク派遣が始まった2002年から2007年10月末までの人数で、年度別に分けると、2002年が2人、2003年が3人、2004年が4人、2005年が8人、2006年が10人、2007年10月現在が8人だ。なんか、2005年から急に倍増してるよね。



それにしても、「事故又は不明」って何?死因が分からない隊員が、1人や2人じゃなくて、何で12人もいるの?‥‥ってワケで、ここで、麻生太郎が「ノーヒットノーランだ」と言った1年前の2005年7月8日の「イラクレジスタンス・レポート」の「長時間の日本軍基地攻撃はシーア派の敵意増大を反映」という記事の一部を紹介しよう。


「8日午後2時30分、イラク南部の都市サマワにある日本占領軍の基地に対して、イラクレジスタンス勢力は強力なロケット弾と迫撃砲弾を見舞った。イスラム・メモのサマワ通信員は、レジスタンスの砲撃は1時間15分ほども続き、施設内にサイレンが鳴り響くなかで、濃い煙がたちのぼるとともに、日本占領軍の基地内ではいくつもの二次爆発が発生した。いわゆる「人道支援イラク日本合同司令部」で通訳として働く基地内の情報筋は、イスラム・メモに対して、この砲撃は日本占領兵にも死傷者を出したが、犠牲者のはっきりした数字を示すことができないと語った。」

※全文はこちら
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/0708-2005_Resistance_Report.html


‥‥そんなワケで、イラク自衛隊のキャンプが砲撃を受けたというニュースは、当時の日本でもちょっとだけ報じられて、あたしも記憶してるけど、雰囲気としては「大したことはなくて負傷者は1人も出ていない」という感じでサラッと流していた。でも、現地の報道では、1時間以上もの長時間の攻撃が続き、日本の自衛隊員に死傷者が出たと報告している。そして、この年、イラクに派遣された自衛隊員は8人も亡くなっている。さらには、この8人が該当するのかは分からないけど、死因が「事故又は不明」が全体で12人もいる。


で、次は、ドバイ在住のPINKさんというハンドルネームの人のブログの2009年5月2日の「英国軍イラク撤退」というエントリーを紹介する。これは、タイトルの通り、英国軍がイラクから撤退したことについて書かれてるもので、日本人のあたしにとっては、耳の痛いことが書かれている。


911ニューヨーク攻撃犯人は、サウジアラビア人達だと言っておきながら、サウジアラビアは攻めず、イラク人など一人も関わっていなかったにも拘わらず、アルカイダの存在も全くなかったにも拘わらず、イラクへ侵略した欧米日本...イラク人達の犠牲者の数、イラクの苦悩には一言も触れずに、侵略戦争の成功を神様に感謝しながら祈る牧師の姿は、ヤッパリ戦闘服であるのがヤケにピッタリした感じでもあります。」



そして、次のように続いている。


「そう言えば、ワタシが驚いたのは、日本では自衛隊員の犠牲者は一人もなかった...事になっていると言うことでした。何年頃だったか忘れましたが、日本の外では、BBCもCNNも確かに、初めての自衛隊員の銃撃戦による死亡を伝えるニュースを流したことがありました。 少なくとも一人自衛隊員はイラクで銃撃戦の犠牲になっているのは事実です。」

※全文はこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/pinkorangedesert/48038993.html


‥‥そんなワケで、「イラクに派遣された自衛隊員が銃撃戦の犠牲になった」なんて、日本ではまったく報じられていないし、こうしたニュースが海外で報じられたことを知っている日本人は少ないだろう。そして、日本の政府は、亡くなった自衛隊員の死因を「不明」と発表し続けるなぜなら、「銃撃」や「砲撃」と言ってしまったら、そこが「非戦闘地域」ではなくなり、小泉純一郎が、自民党政権が、憲法違反をしたことが立証されてしまうからだ


ちなみに、アメリカの当時の大統領のブッシュも、イギリスの当時の首相のブレアも、イラクには「大量破壊兵器」はなかったと認めているが、日本の当時の首相の小泉純一郎だけは、未だに自分の非を認めず、謝罪も説明責任も果たしていない。


10万人とも15万人とも言われているイラク戦争の犠牲者のうち、9割以上は何の罪のないイラクの一般市民であり、子どもや女性が半数以上を占めると言われてるけど、「集団的自衛権」を大義名分にして戦争をふっかけた側の死者の数は、米国の兵士が4487人、英国の兵士が179人、その他の国の兵士が139人だ。


そして、現在も「集団的自衛権」を大義名分にした戦争が続いてるアフガニスタンでは、2014年4月現在で、米国の兵士が2322人、英国の兵士が453人、以下、カナダが158人、フランスが86人、ドイツが54人、イタリアが48人、デンマークが43人、ポーランドが42人、オーストラリアが40人、スペインが34人、グルジアが30人、ニュージーランドが25人、他にもたくさんの兵士が亡くなっている。


安倍晋三は、「海外で日本人に危機が迫っても、今の憲法解釈では集団的自衛権が行使できないので日本人を救うことができないのです」だの「集団的自衛権が行使できるようになっても、湾岸戦争イラク戦争のような戦闘には決して参加しません」だのと詭弁を並べたけど、ここまで読んでくれば分かるように、この「集団的自衛権」とは「戦争をするための大義名分」なのだ。



もしも日本が「集団的自衛権」を行使できるようになったら、現在のアフガニスタンのように、アメリカとEU各国が「集団的自衛権」を掲げて戦争を始めた時に、日本だけが「参加しない」なんて言えるワケがない。今までは「憲法9条」という盾を使って「非戦」を貫いて来れたけど、その盾がなくなるんだから、結局はナシクズシ的に戦争に参加することになる。


その上、日本はアメリカの子分なんだから、大規模な形での参加を余儀なくされる。さっき挙げたイラク戦争アフガニスタンで戦死した兵士の数を見れば分かるように、どちらもアメリカの兵士の数が突出している。これは、もちろん動員数に比例したものだけど、日本はアメリカから「同盟国なんだからカネだけじゃなくて『血の犠牲』も払え!」って言われてるくらいだから、アメリカに次ぐ人数の動員を迫られるだろう。そうなれば、必然的な戦死者の数も多くなり、兵士の数が不足してくれば、お次は「徴兵」だ。実際、自民党は、過去に「徴兵制」に関する議論を活発化させようとした前科がある。


‥‥そんなワケで、「消えた年金問題は来年の3月までに、最後の1人まで、最後の1円まで、私の責任において解決すると国民の皆様にお約束いたします!」と連呼した2ヶ月後に「最後の1人まで」どころか「最初の1人」すら解決せずに政権を丸投げした安倍晋三、港湾外にダダ漏れで3キロ沖でも海水の放射性物質の濃度が2倍以上に上昇してるのに「汚染水は港湾内で完全にブロックされています!」なんて宣言しちゃう安倍晋三、こんな男の「集団的自衛権が行使できるようになっても、湾岸戦争イラク戦争のような戦闘には決して参加しません」なんて言葉は、たとえ地球が逆向きに自転し始めても絶対に信用できないと思う今日この頃なのだ。