「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」(矢部浩治著)


10月30日にブログで取り上げた矢部宏治著「日本はなぜ、『基地』と『原発』を止められないのか」があちこちで取り上げられています。日本の現実がこの本の内容通りなのですから、この本の正しさが日々証明されているようなものです。
◎まず、東京新聞の16日の社説は日米ガイドラインについてですが、これが、この本で書かれていることの内容です。日本の国会や憲法を超える存在。すべてはここで決められる…日本がアメリカに従属している、あるいは日本の権力者がアメリカに日本を差し出している、という現実です。原子力ムラと日米安保ムラの存在、認めたくなくても、直視することからしか始まらないと思います。

【社説】週のはじめに考える 自衛隊差し出す防衛指針
2014年11月16日  東京新聞


 安倍晋三内閣は「日米防衛協力のための指針」を再改定します。これにより自衛隊法など関連法改正が進み、集団的自衛権の行使解禁が確実になります。

 この指針は日米ガイドラインと呼ばれています。日米安全保障条約に基づき、日本が他国から攻撃を受けた時の日米の役割分担を定めた文書でしたが、北朝鮮による核開発疑惑を受け、一九九七年に一度、改定されました。日本防衛に加えて、米国が参戦する朝鮮半島有事などを周辺事態と名付け、日本による対米支援を細かく定めています。


◆解釈変更、既成事実化

 支援は憲法の枠内にとどまり、「武力行使との一体化」を巧みに避けた内容となっていました。

 今回の再改定では、安倍内閣が七月に憲法解釈の変更を閣議決定して、限定的に行使できるとした集団的自衛権を盛り込みます。閣議決定には後方支援の拡大も含まれているので米軍の武力行使と一体化する内容となりそうです。

 先月、公表された中間報告では、周辺事態の文字が消え、グローバルとの表現が登場しました。日本は米国の軍事行動に世界規模で協力するというのです。日本周辺から世界へ、自衛隊の行動範囲は限りなく広がっていきます。 

 日米ガイドラインの再改定には問題があります。米国と約束することにより、七月の閣議決定を既成事実化してしまうことです。安倍内閣は長年の国会論議を経て定着した「集団的自衛権の行使は憲法上、許されない」という政府見解を覆しました。一内閣で解釈変更できるなら、国民の権利や自由を守るために国家権力を縛る最高法規としての憲法は意味を失います。国民主権の有名無実化です。
 
 手順もおかしい。再改定を先行させ、自衛隊法などの関連法改正案は来年の通常国会、それも来年度予算が成立した後の四月から会期末の六月までの短期間で成立させるといわれています。


◆米国を巻き込む思惑

 法律に従って日米ガイドラインを規定するのが筋ですが、先に再改定によって米国と約束してしまい、野党に法改正を促すのは順番が逆です。「最高責任者は私だ」と公言した安倍首相の国会軽視の姿勢がうかがえます。


 再改定は昨年十月の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、日本側が求めました。日本の周辺には軍事力を強化し、尖閣諸島をめぐって日本と対立する中国、核兵器弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮竹島をめぐる領有権争いや慰安婦問題を抱える韓国、北方領土問題のあるロシアがあり、日本は東アジアの平和的な秩序を構築できないでいます。

<後略>

○全文はコチラの「shuueiのメモ」さんで:http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20141117/1416169367

◎次は「カレイドスコープ」さんの<密約法体系がある限り、「基地」と「原発」は止められない >http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-3179.html


日本の裏憲法(=密約)は、このニュー山王ホテル(ニューサンノー米軍センター)で開かれている日米合同委員会でつくられている。
日本の“エリート”官僚が忠誠を誓っているのは日本国憲法ではなく、その上にある「密約」という裏憲法である。
それに忠誠を誓い、日本をアメリカに徹底的に売りまくった官僚ほど出世していくのだ。


日米合同委員会は、長谷川正安・名古屋大学名誉教授が名付けた「安保法体系」を基盤としています。
この「安保法体系」は、1959年の砂川裁判の最高裁判決によって日本国憲法の上位概念として確定されてしまったのです。
米軍は、「米軍の日本駐留は憲法第九条に違反している」という東京地裁の一審判決を覆すために、さまざまな政界工作を行い、田中耕太郎・第二代最高裁長官を籠絡して、アメリカの戦後の日本占領を継続させる道筋を作ったのです。

安保法体系が及ぶ範囲は、日米安保だけでなく、日本の経済・500兆円以上のGDPすべてに及んでいるのです。
官僚たちが忠誠を誓っているのは、日本の総理大臣ではなく、この安保法体系という「日米密約法体系」なのです。

日米合同委員会は、日本の各省庁から選ばれた“エリート”官僚と在日米軍のトップたちが、月2回、顔を合わせて、超法規的な取り決めを行っている秘密の会合のことです。

日米合同委員会の存在自体は公になっていますが、話し合いの結果、決められたことについては、原則、非公開にされているのです。

これらのエリート官僚と在日米軍は、いわば「日米安保ムラ」に属する人たちです。彼らが日本の国益のために働いているのではないことは明らかです。国賊という以外にない人々です。

だから、オスプレイが、日本列島の上空を好き勝手に飛び回り、辺野古埋め立てを日本政府と自民党が強行しようとするのも、まったく不思議ではないのです。

なぜなら、彼らは日本国憲法のさらに上位にある「日米密約法体系」という暗黙の「掟」に沿って国政を行い、裁判を行っているのですから。


○最後に「本当の日本を知りたくないか」という項で、<これだけ多くの国民(−それは国民の有権者過半数)が反対しているのに、なぜ「基地」と原発」が止められないのか。その謎が、政府の公式文書をもとにした「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」にすべて書かれてあります。>とこの本が紹介されています。

◎三つめは「生き生き箕面通信」さんの記事<日本を法的に「属国」にしている安保法体系>です。(http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt/e/fff3127a29eb1f9c289e29049f4a7a41
こちらでも本の紹介があります。
◎最後に「社会科学者の随想」さんの「沖縄県知事選挙−在日米軍基地−昭和天皇の戦責問題」(http://blog.livedoor.jp/bbgmgt/archives/1013769966.html
こちらも「生き生き」さんと同様、日曜日の沖縄県知事選の結果から書き起こされていますが、とても長い記事です。やはり最後に、この本からの引用と、この本の紹介で締めくくられています。