矢部宏治「知ってはいけない2」を読んで・・・

発売の日に本屋さんにふらりと立ち寄り、1冊だけ置いてあったこの本、迷った末に買い求めました。それから、読み始めていたのですが、条文を逐一自分でも読まないといけないので、これは集中できないとしばらく離れていました。今週になって風邪気味でヨーガを休んだ日に残りの部分を読み出しました。一気に最後まで読み終えて、何とも言えない気持ちです。
外務省の役人たちが何で無力で、ただひたすら対米隷従なのか、どうして一国のトップが自国の利益よりもアメリカの利益を優先できるのか…が分かったといえます。1960年の安保改定の時、ニュース番組で批准されたというのを見ながら、あれだけ国民が反対していて死者まで出たのに政治はこんな風に無慈悲なんだと無力感を覚えていました。16歳の高校1年生でした。それから、日本の政治には興味を失ったし、選挙権を得てからは共産党に入れておけば正しいと思っていました。これではいけないと思い出したのが小泉元首相の時。靖国参拝は国内問題で外国からの干渉を受けないとアピールするために靖国参拝をしたり、イラク人質事件で自己責任論をふりまいたり、イラク戦争で日本もアメリカに加担したり。無関心でいられなくなりました。民生委員として現実の貧困問題にかかわる中で、政治の土俵外で正論を言う共産党に投票しても現実は変わらないと思ったり、晩生の覚醒でした。この本を読んで、こんなことを思い出すのも不思議ですが。
さて、条約や密約のトリックを見抜いていく作業はなかなか根気のいることで、一度読んだだけではなかなか頭に入りませんがが、「民主党政権になって2009年9月から翌年3月にかけて行われた密約調査の成果」であり、沖縄密約を世に問う書『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』を著して自死した若泉敬氏や「密約研究のパイオニア」春名幹夫氏などの成果も取り入れて綿密に書かれたものです。


結論から言うと、旧安保条約は新安保条約に見事に引き継がれている、密約と公文書の改ざんによって、ということになります。森友問題で安倍政権が公文書改ざんに手を出したのには、戦後日本がスタートした時点からの伝統だったというわけです。国会で嘘ついて平気は自民党の政治の伝統であって良心の呵責や倫理観などくそくらえだったんですね。「日本の主権はこうして失われた」は、この本のサブタイトルですが、内容紹介は挿入されている漫画に譲って、私は気になった言葉を挙げてみます:

アメリカ政府と数多くの重大な密約を結び、しかしその存在を否定して過去の資料を捨て続けた結果、日本はいわば『記憶をなくした国』になってしまったのです。それは同時に、日本がアイデンティティ(自己同一性)を喪失した国になってしまったということでもあります。」

「外交というのは、けっして軍事力だけが武器ではない。「論理」と「倫理」、そして「正義」が、現実の世界においても非常に大きな力になる。論理と倫理を無視してただ強い者(=米軍の主導すする核軍事盟)の言うことにすりよっていれば、自国の安全と繁栄が維持されるという時代は、すでに終わりを告げている」。

◎あとがきに書かれているのですが、この本はこれから日本を背負って立つ若い人に向けて書かれています。そして、保守とリベラル、右派と左派の双方に「それぞれの楽園から出なければならない」とも。
●密約の存在が今の対米隷従を作っていて、その結果が、連日ニュースになっている現実です。戦後の冷戦期、同じ立場にあった韓国は着々と自立した歩みを進めています。「朝鮮半島では、韓国の文在寅大統領の世界史レベルの鮮やかな外交によって、分断された民族の融和と核戦争の回避という「絶対的な善」に向けて、大きく歴史が動き始めています」(272頁)

山崎 雅弘さんがリツイート
AFPBB News
‏@afpbbcom 11月27日

米太平洋空軍のチャールズ・ブラウン司令官は26日、韓国からの要請を受けて、米軍の爆撃機を韓国上空で飛行させないことにした…http://www.afpbb.com/articles/-/3199263

米軍、朝鮮半島爆撃機飛来させず 韓国の要請で2018年11月27日 9:44 発信地:ワシントンD.C./米国 [ 米国 北米 韓国・北朝鮮 ]

米グアムのアンダーセン空軍基地から飛来し、韓国の烏山空軍近くで演習を実施した米空軍の戦略爆撃機B52。米空軍提供(2016年1月10日提供)。(c)AFP PHOTO / HANDOUT / US AIR FORCE / STAFF SGT


【11月27日 AFP】米太平洋空軍(Charles Brown)のチャールズ・ブラウン(Charles Brown)司令官は26日、韓国からの要請を受けて、米軍の爆撃機を韓国上空で飛行させないことにしたと明らかにした。北朝鮮の核問題の解決に向けた外交努力に猶予を与えるためとしている。
 米国防総省(Pentagon)で記者団に語った。「外交交渉を妨げるようなことはしたくない」と説明した。
が、爆撃機の全体の飛行数は変わっていないとしている。(c)AFP

●一方で、日本は米軍と自衛隊の一体化がますます進められ、アメリカから兵器や装備を一方的に買わされることに

山崎 雅弘さんがリツイート
田崎 基(神奈川新聞 記者)
‏@tasaki_kanagawa 11月27日

こうしてどんどん一線を越えていく。
気付いた人から「戦争への道を進んでるよ!」と言わなきゃいけない。


「いずも」戦闘機搭載、空母化へ 政府、防衛大綱に明記調整 http://www.kanaloco.jp/article/374246
岩屋防衛相「せっかくある装備なので、できるだけ多用途に使っていけることが望ましい
共同通信公式
@kyodo_official 11月27日
https://this.kiji.is/439988010116187233?c=39550187727945729


「いずも」戦闘機搭載、空母化へ − 政府、防衛大綱に明記調整
 政府は、海上自衛隊護衛艦「いずも」改修を念頭に、戦闘機を搭載、運用する事実上の空母化の方針を新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」に明記する方向で調整に入った。政府関係者が27日、明らかにした。基地のない太平洋の防空や南西諸島の防衛力強化のため空母化は不可欠と判断したとみられるが、護衛艦の空母化は専守防衛を逸脱するとの懸念もあり周辺国の反発も強まりそうだ。

●戦闘機100機、費用は1兆円超、買わされます:

内田樹さんがリツィート
中沢けい
‏@kei_nakazawa

この件、いい加減にしろと呟いたら、反論がぞろぞろ。強引にやる構えだ。
政府がF35戦闘機100機を購入検討 費用は1兆円超テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20181128-00000003-ann-pol … @YahooNewsTopics


▼れっどゴルゴ
🍤ANTIFA‏
@RedGolgo 11月27日

お金がないから生活保護削ります
お金がないから医療費削ります
お金がないから年金減額します
お金がないから消費税増税します
アメリカに言われたので戦闘機1兆円買います


なぜなのか

F35戦闘機 最大100機追加取得へ 1兆円、政府検討
2018/11/27 11:22
日本経済新聞 電子版

政府は最新鋭ステルス戦闘機「F35」を米国から最大100機追加取得する検討に入った取得額は1機100億円超で計1兆円以上になる。現在導入予定の42機と合わせて将来的に140機体制に増える見込み。現在のF15の一部を置き換える。中国の軍備増強に対抗するとともに、米国装備品の購入拡大を迫るトランプ米大統領に配慮を示す狙いもある。


◎この本の第三章はのタイトルは「CIAの金は、ロッキード社が配る自民党という「密約」がある」ですが、そこに掲げられている二枚の写真。特にアイゼンハワーが見守る中でゴルフをする写真はすぐ、孫である安倍首相とトランプ大統領のゴルフを思い出します。この章の扉に引用されている一節です:「CIAは一九四八年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者[岸首相]をCIAが選んだ最初の国は日本だった」ティム・ワイナー(ピューリッツァー賞・受賞ジャーナリスト) 

 「ゴルフの写真から約一年後の1958年5月、岸は自民党の結党後、初めての衆議院選挙に踏み切り、287議席を取って圧勝。その5か月後には安保改定交渉もスタートさせ、現在までつづく「自民党永久政権」の時代が幕を開けます。」
 「しかし、すでに広く知られている通り、戦後日本の行方を決めたその運命の総選挙において、岸がCIAから巨額の「秘密資金」と「選挙についてのアドバイス」を受けていたことは、2006年にアメリ国務省自身が認めており、すでに歴史的事実として確定しているのです。」(太字そのまま)
◎以下もこの本を書くに至る著者の気持ちを吐露したくだりを引用です:

 ちなみに今年はそれからちょうど60年目に当たりますが、いま東アジアでは、突如始まった朝鮮半島での劇的な米朝関係の改善によって、戦後長らくつづいた「冷戦構造」がヨーロッパから遅れること30年、ついに終焉を迎えようとしています。
 そうした大きな時代の変わり目の中で、結党後、最初の選挙に起きて外国の諜報機関から巨額の資金とアドバイスを受けて勝利し、その後現在まで続く強固な政治基盤を築いた自民党、けれども日本の戦後史において、まぎれもない「国民政党」であり続けたこともまた事実であるこの自民党という政党を、私たち日本人は今後いったいどのように歴史の中に位置づけ、咀嚼して、新しい時代に向かってスタートを切ればよいのか。
 いま、ふと気づきましたが、私はどうやらそのことが知りたくて、この安保改定時に結ばれた三つの密約についての本を書いているようです。