IAEA「”想定外”を一蹴」と「ひだんれん設立集会」と「『再エネ産業』が終わる日」(古賀氏)

◎本日の「shuueiのメモ」さんから、「想定外」より「人災」の大きなニュースです。(http://d.hatena.ne.jp/shuuei/20150526/1432585210

「想定外」を一蹴 IAEA報告書 「国際慣行に従わず」批判

2015/5/25


 【ウィーン=共同】「勧告した安全評価を十分実施しなかった」「国際的な慣行に従わなかった」。国際原子力機関IAEA)がまとめた東京電力福島第一原発事故の最終報告書は、東電や規制当局の認識の甘さを痛烈に批判している。


 事故当時、東電や日本政府からは「想定外」との弁明が相次いだ。



 しかし、IAEAは日本が何十年にもわたり原発の安全性を過信し、発生の確率が低い災害などに十分備えてこなかったと一蹴した


 IAEAは福島の事故前から加盟国に対し原発の安全性を評価する際、機器の故障などが大事故に至るすべての可能性を把握する確率論的安全評価(PSA)の適用を勧告二〇〇七年の専門家による訪日調査では日本には設計基準を超える事故について検討する法的規制がない」と指摘し、過酷事故に十分備えるよう求めていた。
 

 しかしIAEAの勧告や助言を受けた抜本的な対策は取られず、報告書によると、第一原発ではPSAを十分適用せず、非常用ディーゼル発電機などの浸水対策が不足。十年ごとの定期安全レビューでも地震津波予測の再評価が義務付けられておらず、過酷事故への対応や安全文化の見直しも含めて「国際的な慣行」に十分従っていなかった。


 福島の事故後、中東のヨルダンが「原発の建設予定地を地震が少ない場所に変更」(同国原子力委員会幹部)するなど各国は新設・既存の原発の安全を強化している。

福島原発告訴団(http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/)のサイトから:


2015年5月23日土曜日

ひだんれん設立集会!


明日5月24日(日)、福島第一原発事故による損害の賠償や、責任の明確化を求めて訴訟などを起こした被災者らが集い、「原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」を発足、設立集会を開催します!福島原発告訴団もこの「ひだんれん」に参加します。


設立集会は、5月24日13時から、福島県男女共生センター(二本松市)で開催します。


福島県田村市有機農業をしていた秋山豊寛さん(ジャーナリスト・宇宙飛行士)が記念講演
手をつなごう! 立ちあがろう! みなさま、どうぞお集まりください!


設立集会
5月24日(日)13:00〜16:30
福島県男女共生センター 研修ホール
福島県二本松市郭内一丁目196-1)

◎<「傷つけられた尊厳を取り戻すために、力を合わせて闘う」と原発事故訴訟で全国組織発足>(日経記事)。NHKニュースの記事を:
http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/6054894311.html

原発事故被害者団体連絡会発足



 原発事故を受けて、東京電力や国を訴える裁判などを各地で起こしている13の団体と個人が集まった連絡会の設立集会が24日、二本松市で開かれ、謝罪や完全な賠償、刑事責任の追及などを目指していくことを確認しました。


新たに設立されたのは、「原発事故被害者団体連絡会」で、24日、福島県二本松市で開かれた設立集会には、原発事故を受けて全国各地で東京電力や国を訴えるなどしている、13の団体と個人からあわせておよそ300人が集まりました。


集会では、東京電力福島第一原子力発電所での廃炉作業が続き、住民の不安が払拭されていないにもかかわらず、避難指示の解除や賠償の打ち切りといった動きが進み、被害者がないがしろにされているとして、東京電力や国に対して、謝罪と完全な賠償、それに刑事責任の追及などを目指していくとする設立宣言を採択しました。
そして最後には、集まった人全員で「手をつなぐ」と書かれた紙を掲げて、「私たちはあきらめない」などと声をあげました。


連絡会の参加者はあわせて2万人あまりにのぼるということで、共同代表を務める武藤類子さんは「被害者の救済は十分に行われていない。団体どうしがつながることで大きな声にしていきたい」と話しています

05月24日 19時28分

東京新聞から:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015052201002068.html

東電、月内に汚染水浄化「完了」 福島第1原発
(敷地内に汚染水タンクが立ち並ぶ東京電力福島第1原発=3月)

2015年5月22日 21時24分


 東京電力福島第1原発の地上タンクに保管している高濃度汚染水をめぐり、東電が5月中に全約60万トンの浄化処理を「完了」する見通しであることが22日、関係者への取材で分かった。遅れるとされていた海水成分の多い汚染水についても、処理できるめどが立った。

 25日に福島県いわき市で開催される政府や東電、地元関係者らによる会合で報告される。

 通常の汚染水に比べ海水成分が多く、「処理にはさらに数カ月かかる」としていた約2万トンは、処理設備が順調に稼働したため前倒しして浄化を完了。各タンクの底部に残り、ポンプでは吸い上げられない残水は、タンクを解体する際に別途処理する。(共同)

◎「世相を斬る あいば達也」さん25日のブログ「●変わらぬ日本 敗戦、占領、経済成長、バブル、原発事故etc 」(http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/62cabc09e62a4fda65d0453859391e8d)より、古賀茂明氏の記事です。

「再エネ産業」が終わる日 〜『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より



2030年の電源構成に関する政府案が間もなく決まる原発比率20〜22%、再生可能エネルギーは22〜24%という数字ばかりが報じられるが、 実は、その決定によって、日本の自然エネルギー産業発展の道がほぼ閉ざされようとしているということはほとんど報じられていない。


原子力ムラは、「2030年22%」でも野心的な案だという。しかし、'14年上半期の各国の総発電量に占める自然エネによる発電量の割合は、ドイツ30%、英国18%、スペイン50%、イタリア40%、フランス20%、デンマークは風力だけで41%だ。不安定で大量導入はできないとされる太陽光と風力だけで見ても、'13年時点でさえ主要な欧州諸国は軒並み10%超。スペイン、ポルトガルは20%、デンマークは30%を超えていた。ドイツの風力発電の容量は、'14年末に3823万kW、つまり、原発38基分だ

ドイツは、自然エネ比率を2030年に50%、'50年には80%にする計画。英国でさえ、5年後の2020年の目標が31%だ。


 こうした動きは先進国だけではない。'14年に中国で新たに導入された水力、風力および太陽光発電の容量は5200万kWにものぼる。原発52基分だ。風力だけでも1年で1400万kW、原発14基分建設されたという。もちろん、この建設のスピードは原発建設の何倍も速い。


一方、日本の2030年の計画は、太陽光と風力合計わずか9%弱にとどまる。地熱、水力、バイオマスで最大15%程度を確保するものの、'13年度に約11%だった自然エネルギーの割合を2030年まで15年かけて、やっと2割程度まで引き上げるだけだ。これは、欧州の数年前のレベル。しかも、中国よりはるかに遅れた計画だ



そういう試算になってしまう理由として、自然エネは「高い」から、増やすと経済に悪影響があるという前提がある。しかし、実際には、風力発電は世界中でコストが下がり、石炭火力よりも安いのが常識。自然エネ先進国では、太陽光発電も火力より安くなる国が増えている。 また、天候に左右されて不安定な太陽光と風力は5%から10%までが限界だという「神話」が日本だけには残っている。20年前に欧米で崩壊した神話をまだ信じているのだ。


では、諸外国ではなぜ、20%超の導入が普通に行われているのだろう最大の要因は、発送電分離小売りの自由化この二つがセットで行われる と、電力小売りをする企業は、とにかく一円、一銭でも安い電気を調達しようとする。その結果、既存電源にこだわらず、安い新規参入者の電気を買うのだ不安定な電源だからと言って買い取りを「拒否」している日本の電力会社は言わば殿様商売だが、欧州の企業は、不安定でも何とかそれを使おうと必死の努力をしたから、そのための技術が急速に発達した。今や、10%が限界などと言っている日本の電力会社は、世界の笑い物だ。


いまだに発送電分離さえ実現できず、世界の先進国が最も有望な成長分野だとしてしのぎを削る自然エネ産業で一人蚊帳の外の日本。そして、それに気づかない官僚と政治家たち。日本中枢の質は、世界から見て異様なまでに劣化している。 (現代ビジネス:政治を考える―古賀茂明「日本再生に挑む」週刊現代「官々愕々」より)