「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」


4日の予定でしたが、思わぬ出来事の後始末で、1日遅れの一昨日5日、12時半の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を観るのに、暖かい日なので歩いて出かけることに。1日、家族4人そろったところで、この映画の話になりました。夫が、少し話につていけないものの、30年前のスターウォーズの話で盛り上がりました。見ていない人に分かるような、知っている人は皆知っている話ですが、その時の話を少し。

ジョージ・ルーカスの「スター・ウォーズ」の物語は9巻あり、その真ん中の4,5,6話が、先に映画となりました。「むかし、むかし、銀河系の遥か彼方に・・・A long time ago in a galaxy far, far away」という文字が冒頭に出てきて奇想天外な物語が始まります。

ルーク・スカイウォーカーという主人公の少年が、背の高い金色のロボット”C-3PO”と、小さな可愛いロボット”R2-D2”を連れて、巨悪と戦うお話は、桃太郎の鬼退治みたいで、宇宙版おとぎ話ともいえます。勧善懲悪のお話ですが、家族愛や、親子の確執、善と悪との戦い、友情が描かれます。
ジョージ・ルーカスは黒澤映画(黒澤明監督)のファンだと伝えられています。物語の最初、ルークは、オビ・ワンというジェダイの騎士からフォースという力(念力のようなもの?)の使い手として修行を積みますが、この関係は、「赤ひげ」で描かれる師弟関係がお手本です。「ジェダイ」というのも「時代劇」から来ています。最初、オビ・ワンは、三船敏郎に話が行き、「なんだ子供向け映画か」というので三船が断ったと言われています。息子たちは、「断ってくれてよかった、アレック・ギネスで良かったよ」でした。衣装も、ルークが来ているのは、まるで柔道着みたいですし、ジェダイが使う光の剣、ライト・セーバーの戦い方は、西洋風の振り下ろすような扱い方やフェンシング風ではなくて、チャンバラそのものです。黒澤映画の受容・影響が、アチコチに窺えて、それを探すのも楽しいです。

さて、今回はIMAXで見ることに。3Dメガネをかけての立体映像、サラウンドの音響効果でこの映画を観ると、まぁ〜、スゴイ体験でした。70歳以上には普通の映画で見た方が良かったかも…が二人で見終わった時の感想でした。字幕は飛び出して見えるし、空中戦でタイ・ファイターやXウィング・ファイターが飛び込んでくるし、地面が割れたりすれば地響きは身体に伝わってくるし、とても落ち着いて居られません。
物語はあれから30年後。お話は、全く新しいのですが、懐かしい面々が現われます。ジョン・ウィリアムズの音楽は変わらず豪華ですし、出てくる新手の生物?も、よくまぁ、あんな造形を思いつくものと感心します。CGと実写の区別はいよいよ定かではなく、どれもこれも、緻密、リアル。ストーリーは、これまた、親子の確執や、ダークサイドとライトサイドの葛藤も受け継がれています。懐かしい人たち(ハン・ソロ、レイア、ルーク)がそれぞれの年数を重ねた姿で現れることに、歳月と成熟を感じます。
特に主役の女性レイが素晴らしい! 疾走し、闘うレイを完璧に演じています。息つく暇なしの爆発と戦闘、空中戦が続きますが、これは最終シリーズの幕開けで、物語は続きますという未完のままに、期待を持たせて終わります。
夜、NHKでは、密着取材で、この映画のメイキングの裏話を番組にしていました。日本人スタッフも、映画の字幕でもありましたが、活躍していたのですね。上のジョージ・ルーカスの写真はこの時のテレビ画面を写しました。
今回の映画は、2012年10月、ウォルト・ディズニー社がルーカスフィルムを買収したことから、監督が代わりました。11歳でこの映画を観たという若い監督の言葉がパンフレットにありましたので、その一部を。
J.J.エイブラムス(監督・脚本・製作)インタビューから>


−「スター・ウォーズ」のテーマとは?


J.J.多くのことを含んでいる。中核にあるのは家族の物語であり、ファミリードラマだ。己の力を見つけ、知り合うことなど予期しなかったような人々との繋がりを探す。秘密や大義、そして自己よりも何か大きな存在と結ばれることについての物語だ。善と悪。中心には愛すべきキャラクターたちがいる。彼らに笑わされ、同情する。「スター・ウォーズ」「帝国の逆襲」「ジェダイの帰還」、どの作品においても、たとえ他人であっても素晴らしい家族だと思えるその世界観にこそ、この映画の正当性が存在する。弱者たちがファミリーとなり、一丸となる。とても力強い感情だ。人々は、進退窮まる状況に陥ると、瞬時に愛情が湧くような人に助けを請いたいと願うものだ。1人では立ち向かえないような悪と戦う時、自分を救いに駆け付けてくれる仲間が数多く存在する。そんな世界観なんだ。


−あなたにとって「スター・ウォーズ」とは?


初めて観たのが11歳、興奮しまくった。情熱、ロマンティシズム、楽天主義、コメディ、信じられないほどの葛藤、そして、今まで一度も目にしたことのない視覚的効果に満ち溢れていた。ものすごく深遠な作品だった。映画自体に富んだ極楽性のみならず、そこには物事は何でも実現可能なんだというメッセージがあったんだ。望むものには何にでもなれるってだけじゃなく、これはともに参加できる正義の闘いなんだと主張していた同盟を組める相手にめぐりあえて、仲間が存在する世界。シンプルで親密な関係から誕生した威厳。弱者たちの素晴らしい物語がとてつもないイマジネーションで描かれる

ハン・ソロを演じたハリソン・フォードのインタビュー記事から>:

 スクリーンの外でも中でも、(レイを演じた)デイジーと(フィンを演じた)ジョンはとても魅力的だ。物語を通じて2人を知り、見守ることに観客は喜びを感じるだろう。とても独創的で元気な存在だ。


 観客はこの映画を通して、人生の中で誰もが同じような問題に直面し、また、そこには希望があるということ。正しいことも間違ったことも賛美し、僕らを支える真実を認めることには喜びがある、という事。そして、その道中を大いに楽しめるという事を感じるだろうね。

◎「スター・ウォーズ」初めてという方で、この映画をこれから観るという方には、ぜひ最初の3部作「スター・ウォーズ」「帝国の逆襲」「ジェダイの帰還」をご覧になることをお勧めします。
(トップの映画館のドアのポスターの写真は、自動ドアで人が出入りすると開いてしまうので、閉まっている瞬間に写すのに少し時間がかかりました。空いている日で良かったです。)
◎ついでに、映画を観た後、これまでの「SW6作品見倒す」と書いていた内田樹氏の感想も:

内田樹 ‏@levinassien · 2015年12月29日
スターウォーズ・フォースの覚醒」見てきました!朝日新聞の取材で「期待してないけど、見に行きます」と言ったけど、とーっても面白かったです78年からの「スターウォーズ」ファンにフレンドリーな「引用」に満たされておりました。何より画面の切り替えのリズムが「エピソード4」のまま。