沖縄は早くも梅雨明け、関西は昨日から時々激しい雨が吹き殴り荒々しい雨の日になりました。遅くなりましたが5月から今までテレビで見たドラマや映画をまとめて・・・
●日曜日放送の大河ドラマ「麒麟がくる」は6月7日の放送で撮り溜めが切れて休止になりました。桶狭間の戦いで織田信長が勝利をおさめて切りのいいところでしたが残念。ドラマの収録現場がコロナ禍の3密ということでNHKだけでなくて民放の夏クールのドラマが大きな影響を受けています。そんな中、コロナ以前に撮り終えていたという日台共同制作のドラマ「路~台湾エクスプレス~」を見ました。5月16,23,30日の3回でした。
台湾を南北に走る新幹線プロジェクトを背景に3組の男女の物語でした。最初は新幹線プロジェクトにまつわる日台技術屋の「プロジェクトX」風ドラマかと思っていましたが、ラブストーリーがメインでした。
賛否両論の感想を取り上げた記事がストーリーを手短に書いていますので:
台湾に新幹線を走らせる日台の技術者たちの苦闘を描いた骨太の社会派ドラマだと思って見たら、3組の男女の恋愛模様と1組の高齢男性の友情を描いた人間ドラマであることに「期待が裏切られた」という声が多いのだ。
物語は――1999年、入社4年目の商社社員・多田春香(波瑠)は台湾高速鉄道のプロジェクトの一員として台湾に出向する。春香には大学時代、初めて台湾を訪れた夏の切ない思い出があった。エリック(アーロン)という台湾人青年と偶然出会い、たった一日だけ台北を案内してもらったが、その後連絡が取れなくなっていた。春香には名古屋に婚約者(大東駿介)がいた。エリックへの思いを封印したまま、台湾に赴任すると......。
このほか、妻子を日本に置いたまま台湾人ホステスと恋に落ちる日本人駐在男性(井浦新)、日本人の子を育てる台湾人シングルマザーに恋をする台湾人青年、戦時中、ともに旧制台北高校に学びながら台湾人の親友を「二等国民」と呼んでしまったことを悔いている日本の老人(高橋長英)などの物語が同時進行していく。
◎私も最初は「プロジェクトX」風の内容かと思っていた一人でしたが、これは3組のラブロマンスがメインだと思って楽しみました。波留さんとアーロンくんとの一目ぼれから阪神大震災の行き違いや婚約していることで一度は分かれても又惹かれあう二人。
日台の負の歴史も交え、「湾生」の老人が、同じ「湾生」の妻亡きあと若い世代の勧めで台湾に渡り、親友との和解を果たすエピソードなど、良かったです。アーロンさんがバイクの後ろに乗せて道案内しただけの波留さんとの青春の一瞬を10数年も思い続けるという一途さに説得力を持たせるのが不思議。
◎日本で春香を待ち続ける婚約者を演じた大東駿介さん。振られる役で、もっと早く言いたいことを言える関係になっているべきだったと言うセリフがありましたが遅すぎましたね。返される婚約指輪を受け取る 場面はかわいそうでした。ドラマが終わってからスキャンダルのように報じられテレビでも取り上げられていたのは、独身を装っていたが実際は妻子持ちだった、それも5年ほど前からという話。幼い時に父親とも母親とも縁が切れて、家庭を持つことが怖かったとのこと。ご本人自身がドラマの主人公のような人生で十分納得のいくお話。やっと克服できたということですから、これはスキャンダルというよりいいお話でした。
●NHKのリモートドラマ「ホーム・ナット・アローン」
コロナ禍のなかドラマの製作は制約をうけていますが、その制約の中で生まれるドラマはという実験?がNHKのリモートドラマでした。あれは何だったのかと調べたら関西向けの番組だったような。大好評だった朝の連続テレビ小説「スカーレット」の松下洸平と桜庭ななみの二人だけが出演。好評だったせいか、あとで全国放送が深夜にあったそうです。
私は最初の2分間5日連続放送分(5月18~22日)をまとめて再編集され5月23日(土曜日)の9時50分から10時までの10分間放送された番組を見ました。
在宅勤務中で一人暮らしのマンションのドアが壊れ部屋に閉じ込められたくみ子、テレビ電話で修理を頼んだつもりが間違ってかかった先は居酒屋店長・浩也の自宅。それが切っ掛けで2人はテレビ電話をかけ合うようになり、オンライン晩餐会やオンラインファッションショーを楽しみながら少しずつ自分のことを語り出していく・・・
◎こちらは、関西ローカルの5夜連続2分番組がどうやって生まれ、それがどうやって全国放送(5月30日夜2:05-2:15、NHK総合)になったのかについて「岩手日報」が取材して書いています。1月から放送された土曜ドラマ『心の傷を癒すということ』を担当した桑原亮子氏が脚本を担当。「5月9日の1日で収録し、突貫で編集して、18日から放送。企画から放送まで約1ヶ月」という猛スピードだったそうです。
◎トップの写真はコチラ↓の記事からお借りしました。
◎NHKは他にもリモートドラマと称するドラマをいくつか放送。私も3つほど見ましたが、最初に見た関西ローカルのこの「ホーム・ナット・アローン」がシンプルかつ一番内容が良かったと思いました。人と距離を置かなければならなくなった男女が仕事の不安を抱えながら人恋しくなり語り合う、そこから何かかが生まれる可能性や予感をほのかに感じて終わるショートドラマでした。
●6月11日(木)、夜11時~11時40分「世界は3で出来ている」(カンテレ・フジ系)
林遣都さんによる「一人三役!」。「バッテリー」でデビューした少年もいまや演技派の29歳の俳優。又吉さんの芥川賞受賞作「火花」の主役(売れない漫才師)の演技には目を見張りました。そして評判の良かった朝の連続テレビ小説「スカーレット」でのヒロインの幼馴染・晋作の演技には今までにないひょうきんな役柄を演じて愉快でした。大評判の「おっさんずラブ」はなぜか見ていませんが。「一人三役」が、林遣都さんなら大丈夫と見る前から期待してしまいます。
このドラマ、脚本が「スカーレット」の水橋文美江、監督は2020年新春に「フジテレビ開局60周年特別企画 教場」を演出した中江功。お正月ドラマ、木村拓哉主演の「教場」は2夜連続だったか、見ました。サングラスの下は隻眼の教官木村拓哉が凄くてさすがでした。そこに林遣都さんも出演。人間的に問題アリで途中で破門?になる人物を演じてこれもリアルでした。
さて、ドラマはコロナによる在宅オンライン会議を仕切って会社での評価が挙がって自粛生活もプラスという三つ子の一人の家に久しぶりに兄弟たちが集まるという設定。一人三役ながら時節柄ソーシャルディスタンスを取るという状況が三役の演技をより自然にしているのがオカシイ。それにしても見事な三役。 映像的にもどうやって合成しているのか、これも見事でした。演じ分け、今の林遣都なら十分可能という期待通り巧いものです。1話完結?つづきは?
●映画「 キングダム」(5月29日 読売テレビ・日テレ系)
吉澤亮、長澤まさみの二人が日本アカデミー賞で助演男優、女優賞を受賞していました。長澤まさみさんの戦闘シーンを見て、何年か前のNHKのドラマ「精霊の守り人」の綾瀬はるかさんを思い出しました。精霊の方は架空のファンタジー、こちらは中国のある時代ある地域ということですが、日本映画もスケールが大きくなりました。山崎賢人、吉澤亮、橋本環奈、本郷奏多ら若手に、大沢たかお、宇梶、石橋らが楽しんで演じているようで、まぁ、一寸言いようがない?映画でした。
●映画「天使のいる図書館」(6月4日、日本映画チャンネル)
NHKのドラマ「トクサツガガガ」で特撮オタクの主役を演じた小芝風花(23)さん、最近は売れっ子になって民放ドラマの出演が相次いでいるようですが、撮影時18歳の主演映画。奈良県の葛城地域のご当地映画のようですが、香川京子、森本レオのベテランが助演し、19歳の横浜流星が香川京子の孫で大学を中退した青年を演じています。
映画.com
美しい自然に囲まれた奈良県の葛城エリアを舞台に、図書館で働く女性が地元住民たちとの交流を通して成長していく姿を、「魔女の宅急便」「あさが来た」の小芝風花主演で描いたハートフルドラマ。葛城地域の図書館に、大学を卒業したばかりの新人女性司書が赴任してくる。初めての職場や慣れない環境に戸惑うばかりの彼女だったが、ある老婦人の探しものを手伝うために葛城地域を巡るようになり、地域の歴史や文化を再発見していく。さらに、おおらかで純朴な地元の人々との出会いを通して様々なことに気づき、人間的に成長していく。「リュウグウノツカイ」で注目された奈良出身の新鋭ウエダアツシ監督がメガホンをとり、「天国の本屋 恋火」の狗飼恭子が脚本を担当。
2017年製作/108分/G/日本
配給:ユナイテッドエンタテインメント
公開日: 2017年 2月 18日 (日本)
監督: ウエダアツシ
◎この映画の主人公さくらを見て、私は20数年前障害者労働センターで出会ったYくんのことを思い出しました。少年だったYくんは、座って手作業をしている私たちの周りを歩き回っていて落ち着きません。発達障害のアスペルガーだとスタッフから教わりました。カレンダーの曜日を当てるのが得意だから聞いてあげてと言われ、何年か前の何月何日と言うと、しばらく考えて『Xようび!』と言ってくれます。驚くとともに、カレンダーがあればわかるけど、数年前のだと確かめようがないなんて誰かが言うと、スタッフの方が「そうですよね、でも去年のカレンダーで確かめると合ってるんですよ」「そう、凄いね,どうやって分かるのかしら」とみんなで感心しました。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズの映画「レインマン」も思い出します。
この映画のさくらも数字に強くて記憶力がよく学力も高いアスペルガー障害の傾向がありますが、映画は変わった子という扱いで障害については何も語らず。そして、祖母の死に悲しいと思えず泣けなかったさくらが香川京子のお婆さんと親しくなって感情が豊かになって泣けるようになる様子を描いていきます。起伏のない早口の話し方もYくんと同じ。親や弟や図書館の同僚たちは障害のことが分かっている様子ですが観客には伝えられません。大学を出て就職も出来ているのでYくんとは違います。Yくん、もう40代になってるはずだけど、どうしてるかな…と思いながら見た映画でした。