京アニ映画「聲の形」と「打ち上げ花火、下から?横から?」と”社会派女性脚本家”と「ギルティ」

8月に入って見た映画とドラマについて書いていたのでアップします。

7月31日(金曜日)読売テレビ金曜ロードショーは「映画 聲の形」(2016年映画聲の形制作委員会)でした。京都アニメーションの映画で海外でも評判の高い映画だということで録画して8月になってから見ました。

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◎アニメとはいえ(ということ自体が時代遅れの昭和の人間のいうことだと自覚していますが)扱われている内容はとても深くて心を打つ話になっています。

聴覚障害者の女の子と妹と、同じ小学校でその子を虐めていた男の子が高校生になって又出会い、それぞれの立場から友達とは友情とは障害者とは家庭とは生とは死とは・・・を体当たりで体験して成長していくドラマを描いています。誰もが経験する青春期の様々な問題は普遍的であり、万国共通。

小さな動きを丁寧に再現して積み重ねながら核心的な大きなドラマを据えて高校生の感情の動きをウソ無く描き切って泣かせます。

聾唖者の声の出し方、手話の描き方も真に迫っていて、それだけにその周りの様々な反応にもウソがありません。ただ、見る方は辛い。その現実を逃げずに描いたからこその二人の挫折と成長です。

虐めていたことで孤立して初めて味わう高校生の孤立感、再会した二人のコミュニケーションの取り方。心を閉じた者にとっては周りは✖印付きの無機質な人の形をした他人ということを、アニメならではの大胆な✖を付けて表す意表を突いた表現。心のバリアーが剥がれるとともに✖が剥がれる斬新な場面。きれいごとで終わらせない描き方が最後に導く喜びのシーン。

異質で異様なものを毛嫌いする衝動から、相手を理解してお互いを認め合う友だちになる過程を丁寧に描いて真に迫ります。とても良い映画でした。京都アニメーション、すごいです。

 1週間後の7日の金曜ロードショーはアニメの「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」でした。岩井俊二原作とありましたが、20年以上も前にテレビでドラマになり映画にもなっていたとは。そういえばタイトルは聞き覚えがありましたが・・・Wikipediaで:

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(うちあげはなび したからみるかよこからみるか)は、1993年にフジテレビで放送された岩井俊二監督のテレビドラマ作品。また、1995年に公開された映画作品。

2017年8月18日、この作品を原作としたアニメ映画が公開された

◎内容は:

 https://news.mynavi.jp/article/20200807-1203710/

 アニメは、とある海辺の町が舞台。主人公の中学生・典道は、クラスメートたちが花火大会を前に「打ち上げ花火は横から見たら丸いのか?」と盛り上がる中、思いを寄せるなずなに「かけおち」に誘われるが、その道中で時間が巻き戻る不思議な体験をする……というストーリー。俳優の菅田将暉さんが典道、女優の広瀬すずさんがなずなを演じ、宮野真守さん、花澤香菜さん、櫻井孝宏さん、梶裕貴さんら豪華声優が集結した。

 ◎アニメによる表現の素晴らしさに圧倒されます。海と空、海中で無重力で浮遊する少年少女はまるで空中を自由に飛んでいるがごとく。白い灯台と時間を自由に往来する物語、青の様々な濃淡の美しさ・・・見ながら私は柳明菜監督の映画「いなくなれ、群青」を思い出しました。アニメの主人公たちは中学生で、実写映画は高校生です。同じような青の美しさと白い灯台、同じように時間を往来する物語。青春は浮遊する自由です。

先週金曜日にコロナ感染からドラマ収録現場復帰された横浜流星さん、映画「いなくなれ、群青」で無口で悲観主義の七草を演じていましたが、上海国際映画祭でこの映画、満席だったとか。柳明菜監督が岩井俊二さんの作品が好きだと知って、それで似ていると思ったのかなとびっくり:

◎山崎氏のツィッターで見つけた紹介記事です。

逃げるは恥だが役に立つ」「MIU404の野木亜紀子さんと「透明なゆりかご」の安達奈緒子さんが取り上げられていますが、私としては「初めて恋をした日に読む話」「ファーストラブ」の吉澤智子さんも女性の立場からの社会派だと思いますので加えてほしい。 

 
 
 
丸尾宗一郎
 
@miduwo
 
西森路代さんに書いていただきました。現在放映中の『MIU404』をはじめ『透明なゆりかご』『逃げ恥』など、近年の日本のドラマが、女性が直面する様々な問題をリアルかつ丁寧に描くようになっていること、そこに見られるジェンダー観の変化を紹介してくださってます。

gendai.ismedia.jp

終わってしまった連続ドラマ「ギルティ~この恋は罪ですか」ですが、メモ代わりに。日テレの木曜夜11時59分から0:54まで。3,4話あたりから見始めましたが全部録画で。不倫ドラマで”ドロキュン”として話題でした。主演の新川優愛さん、町田啓太、小池徹平中村ゆりか神尾楓珠の皆さん好演。

町田啓太さんは、NHKの清原伽耶さん初めての時代劇、葉室麟原作「蛍草~菜々の剣」で好感の持てる役柄を静かに演じておられたので覚えています。丁度「適塾」の若き緒方洪庵を演じたときの窪田正孝さんに遭遇した時のような感じでしたので、とっても印象に残った俳優さんでした。今回は一見優柔不断に見える優しい人柄を好演。5人の俳優さん、それぞれ良かったです。特に新川さん、熱演。虐待の後遺症?で義理の兄に異常に執着して周りを傷つけていく中村ゆりかさんの狂気は恐ろしいくらいでした。

裏切りに継ぐ裏切りで愛憎劇がドロドロということでしたが、言われているほどのドロドロ感はなくて、新川さんと町田さんの純愛が真ん中にあって、別々に結婚、離婚と、母親との葛藤や義理の妹の一方的な激情への戸惑いが描かれていたり、行違う思いや、すれ違う感情も丁寧に描かれていて見ごたえがありました。