「汚染水告発の上申書」と「廃液漏れで危険作業増」 


◎「東久留米日記」(http://d.hatena.ne.jp/higasi-kurumeda/)さんが、お正月の2日のブログから精力的に市のゴミ収集問題を写真取材を交えて取り上げておられます。有料化の問題やボックスの問題など、じっくり話し合えば解決できそうなのに…とその大変さに同情しつつ、このゴミの後始末問題は、福島の原発問題に直結する問題だと思いながら読ませていただいています。その福島について、「福島原発告訴団」サイトから昨年の12月17日、汚染水問題で新たな上申書を福島地検に提出したというニュースです。


2015年12月17日木曜日

汚染水告発で新上申書提出!



福島民友新聞社の「2015読者が選ぶ県内十大ニュース」の8位に、「東電広瀬社長ら役員32人を書類送検」が入りました。12月13日付の紙面には「原発事故の責任を問う出来事も依然として県民の関心を集めている」と記されました。


このように県民の関心を集める「汚染水漏えい事件」の早期起訴を求めて、12月17日、新たな上申書(文末に記載)を福島地検に提出し、午後から福島市市民会館で県民集会を開催しました。県民集会では甫守一樹弁護士から、福島原発告訴の意義、汚染水漏えい事件の問題点、検察審査会の仕組みなど、事件の推移について詳しい解説が行われ、参加者たちは現状を再確認しました。また、福島地検の事情聴取を受けたいわき市民3人からは、その報告が行われました。


◎上申書には「凍土壁工法の問題点」が挙げられていますし、「速やかに恒久的遮水壁を建設しないことが現在の迷走を招いた」という項目では、東電が「早期に陸側遮水壁を建設しない場合,将来大量の汚染水が海洋に流出することを当時から予見していた」のに、「この計画を撤回した理由は,遮水壁の費用が1000億円レベルとなる可能性があり,これを公表して市場から債務超過に近づいたという評価を受けることをおそれたからである」と書かれています。
上申書の「上申の理由」から、第6項をコピーしてみますと:

第6 止まらない海洋汚染

陸側遮水壁が現在に至っても完成していないことにより,海洋汚染は現在も続いている。
基調報告書89頁記載の通り,福島第一原発付近での沿岸では,セシウム137の放射能濃度は,事故前の100倍程度で高止まりしている
また資料集17頁に記載された原子力コンサルタント佐藤暁氏の試算によると,福島第一原発事故によって放出された放射能量は,平成25年(2013年)10月までで,汚染水によるものが大気放出量の約10倍に上り,チェルノブイリ原発事故の放出量をはるかに上回っている。福島漁業者への打撃は測り知れず,補償を行えば済む問題ではない。
今後,大規模な地震津波等が福島第一原発を襲えば,サイトに蓄えられた大量の汚染水が流出し,さらに汚染が拡大するおそれもある。

★全文はコチラで:http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp/2015/12/blog-post_17.html
◎さて、福島原発事故関連の記事を丹念に拾って紹介し続けている「みんな楽しくHappy♡がいい♪ 2011年3月11日。その後私は変わりました。」さんは、東京新聞の記事を取り上げた「大竹まことゴールデンラジオ」の7日の放送を文字起こしされています。話し言葉での記事の紹介ですのでとても解りやすくなっています。全文はコチラで:http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4515.html
◆ここでは、続けて紹介されている放送の元になった6日の東京新聞の記事をコピーさせていただきます:

福島第一原発 廃液漏れで危険作業増 貯蔵容器で水素ガス発生 2016年1月6日 朝刊 東京新聞



 東京電力福島第一原発事故の発生から間もなく5年。しかし放射能を含む汚染水との闘いが落ち着くどころか、現場に予想もしなかった作業が降り掛かっている。高濃度汚染水処理の際に出る廃液の貯蔵容器で、水素ガスの発生により汚染水があふれることが分かったためだ。作業員たちは日々、点検や危険な水抜き作業に向き合っている。 (小倉貞俊)


 福島第一では、今も原子炉を常に冷やすため大量の高濃度汚染水が発生する。液体で貯蔵するのはリスクが高い。このため特殊な薬剤を混ぜて放射性物質を付着させ、泥状の廃液にし、強固な容器(直径1.5メートル、高さ1.8メートル)に閉じ込める。


 ところが昨年4月、一部の容器の上部や周辺の床にたまった水が見つかり、他の容器をチェックしたところ、計34基で水があふれているのが見つかった。


 東電が原因を調べたところ、高濃度の放射性物質を含んだ汚泥が容器内に沈殿し、水と反応して水素ガスが発生。汚泥が膨張して上澄み水を押し上げ、上部のガス抜き穴からあふれたことが判明したガスが発生することは分かっていたが、水があふれる事態は想定外だったという。


 この容器は現在、約1700基まで増えている。遮蔽(しゃへい)用のコンクリート製の箱に収納しているため、漏えいはただちに外部に影響があるわけではない


 しかし、いずれの容器からも水があふれる恐れがあるため、現場では完全防護の態勢で毎日の点検のほか、容器ごとにガスの発生量を予測し、漏れが起きる可能性が高いものから順次、手作業でホースを使った水抜きを進めている。


 ただ、この水は放射性物質の濃度が高く、作業には危険が伴う放射性セシウムが一リットル当たり約1万ベクレル、放射性ストロンチウムが約3000万ベクレルと、近づくだけで被ばくする恐れのある濃度だ



 さらにやっかいなのは、このうちの約千基が箱内で、三段積みにして収納されている点だ。容器を一つ一つクレーンで動かし、チェックして水を抜き、別の容器を移動させて再び収納する、と気の遠くなるような作業を続けることが必要になっている。


 東電の担当者は「どれをどこに動かすかなどパズル状態。被ばくを最小限に抑えながら、慎重にやっていきたい」と説明している。本来の目標である廃炉に向けたマンパワーを、余計な作業に割かざるを得ない状況だ。


 福島第一原発の汚染水処理> 事故で原子炉内に溶け落ちた核燃料を冷やすためには大量の水が必要。冷却後、発生した高濃度汚染水は、放射性セシウムの大半とストロンチウムの一部を除去し、さらに別の装置で塩分などを取り除く。淡水になった分は再び炉の冷却に使い、塩分を含む水は再度除染しタンクに保管する。この処理過程で出た汚泥状の廃液を貯蔵容器にため敷地内に保管している。